番外編 005
○同・個室内
冬子と話す夏。
冬子「最初は孝ちゃんに、赤ちゃんができたって言ったら凄く喜んでくれて」
「赤ちゃんのこととか色々心配してくれて……」
夏「やっぱり……」
冬子「え?」
夏「あ、いえ」
冬子「でもその後、元カレと店で偶然会って」
「今の彼の子が出来たって話しているところを、孝ちゃんがたまたま見かけたみたいで……」
「(うつむいて)それ以来、何度言っても信じてくれないんです」
「僕の子じゃない、先輩の子だって……」
夏「……そうだったんですか」
冬子「私!! 絶対に浮気なんてしていません!!」
「元カレの先輩と二人で話していたことは、配慮が足りなかったと後悔しているし――」
夏「分かりました。それ以上は大丈夫です」
冬子「ありがとう立花さん。孝ちゃんには出産に立ち会って欲しい」
「(お腹をさすって)でないとこの子が可愛そうで……」
夏「――三人で話しましょう」
○同・会議室(昼)
時計の針は12時。
――会議テーブルの書類を整える加奈の父。
会議室から出ていく他の先生たち。
――ため息をつく加奈の父。
鬼島先生「お疲れ様でした秋園先生、悩み事でしたら相談してくださいよ?」
と、声をかける鬼島の父(47)。
加奈の父「あ、お疲れ様です鬼島先生。いえ、雪が心配でしたが、もう止みましたから……」
と、窓の外を見て。
鬼島先生「(見て)ホント、早めに止んでくれて良かったです」
加奈の父「あ、今日もお昼行きます?」
鬼島先生「(拝み手)あ……今日はちょっと」
加奈の父「(会釈して)ではまた明日」
会釈して出ていく鬼島先生。
――再び窓の外を見つめる加奈の父。
加奈の父「立花さん、上手くいったかな……」




