表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
番外編 『あれから一年』
194/206

番外編 004

○同・駐車場~個室内

   病院玄関前の駐車場で、はしゃぎながら雪だるまを作る子供たち。

   ――個室内で話す三人。

孝一「ありがとうございました立花さん。後は僕がやりますので――」

冬子「孝ちゃん!! 立花さんは私の為にわざわざ時間を割いて――」

孝一「だから後は僕がやるから、帰ってもらったほうが――」

夏「あ、いえ、気にしなくていいですよ。帰りますから」

   と、会釈して出ていこうとする。

冬子「ここに会いに来てくれたってことは、孝ちゃんの子だってやっと信じてくれたの?」

夏「(立ち止まって)え?」

孝一「それは……僕はトロ子が心配で駆けつけたんだ。……だからそれとこれとは」

冬子「(うつむいて)やっぱり……」

孝一「(うつむいて)……」

夏「え……? あの、お二人ご結婚は?」

冬子「まだなんです。でもお付き合いはしています」

夏「なんだ、じゃあお腹の赤ちゃんは――」

孝一「僕の子じゃない」

夏「え?」

冬子「まだそんなこと言って!!」

夏「え? あ……急に昼ドラ展開!?」

 「ちょちょ、彼氏さん、一旦外に行きましょう!!」

 「もうすぐ赤ちゃんが生まれるんです。今の冬子さんは精神的に凄くナイーブですから、ね?」

孝一「……分かりました」


○同・個室前の廊下

夏「元カレの子!?」

   と、個室前の廊下で立って話す夏と孝一。

孝一「はい。たまたま目撃したんです……浮気現場を」

夏「浮気……現場?」

孝一「彼女は元カレと楽しそうに食事をしていたんです」

 「元カレは、僕や彼女と同じ大学のサークル出身の先輩で、僕よりもずっとカッコ良くて」

 「(うつむいて)ああ、やっぱりなって……」

夏「(怪訝な顔で)……」

孝一「僕は所詮、先輩にフラれた彼女を慰めて、それでたまたま付き合えただけだったんです」

 「いや、本当はフラれていなかったのかもしれない……」

   × × ×

加奈の父「彼女さんとお付き合いをされて何年になります?」

   と、横から声をかける加奈の父(40)。白衣姿。

夏「加奈のおじさん!?」

孝一「(怪訝な顔で)あなたは?」

加奈の父「失礼しました。当病院の外科医をしております。『秋園』です」

 「立花さんには娘がお世話になっておりまして、少しやり取りを耳にしたもので……」

孝一「……そうですか」

加奈の父「彼女さんとお付き合いをされて何年になります?」

孝一「二年です」

加奈の父「では浮気の事実を除けば、元カレの子だというあなたの疑いは解けるんですね?」

孝一「……はい」

   ――夏の背中をポンと叩く加奈の父。

夏「え?」

加奈の父「分かりました。私は仕事中ですので、後は女性の勘に任せます」

 「彼女は私が認めた、説得のプロですから」

   と、ウインクして立ち去る。

   × × ×

夏「あのー……詳しい私情は分かりません」

 「でも冬子さんが、あなたの彼女が今、一生懸命頑張っているんです」

孝一「(うつむいて)……」

夏「お腹の子も生まれてこようと、必死に頑張っているんです……」

孝一「(ため息)見たところ君はまだ若い」

 「真実が分からないんだから、そんなに簡単には受け入れられないよ」

夏「そんな……」

   × × ×

加奈の父「あ、言い忘れたことが……」

   と、戻ってきて。

加奈の父「(孝一に)あまり見た目で決めつけない方がいいですよ?」

孝一「(怪訝な顔で)……」

加奈の父「厚かましくてすみません。年寄りからのアドバイスってことで。失礼します」

   と、会釈して立ち去る。

   × × ×

夏「――とりあえずウチが、冬子さんと話してきます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ