表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
番外編 『あれから一年』
192/206

番外編 002

○同・駅前ロータリー・バス乗り場のベンチ

   屋根がついた、バス乗り場のベンチに座っている二人。

   タオルで顔を拭く夏、隣に冬子。

   ――ベンチには二人だけ。

冬子「はー……スマホが無事で助かりました」

夏「いや、体の方を心配してくださいよ!? でも無傷で何よりです」

   と、タオルを鞄にしまいながら。

冬子「(お腹をさすって)あ、ですよね……二人分だから重かったでしょ?」

夏「そこはウエイトトレーニングで鍛えてますから」

冬子「まあ!! それはたくましい」

夏「いやー、それにしても妊婦さんって大変ですね……」

 「(冬子のお腹を見て)男の子ですか?」

冬子「ドゥルルルルルルルル。正解はー、女の子なんですー」

夏「(汗)質問がいつの間にかクイズになってる……」

   ――笑顔の冬子。

夏「ウチの兄貴も去年結婚して、この前赤ちゃんが出来たんです」

冬子「(キラキラ目で)まあ!! 男の子ですか?」

夏「あっ……もしかして『ドゥルルルルルルルル』を期待してます?」

   ――すかさず頷く冬子。

夏「(咳払い)ドゥルルルルルルルル。正解はー、性別はまだ分かりませーん」

冬子「あ、ですよねー」

夏「ただここからが大変で……両親が舞い上がっちゃって、こっちにまでとばっちりですよ」

 「『大学も春休みなんだから、寮にこもってないでお祝いに帰って来なさい!!』って」

冬子「(寂しい顔で)……そうだったんですか」

夏「ったく、こっちは空手の練習で忙しいのに、何かと口実を付けて顔を見たがるんですよ」

冬子「(笑顔で)うふふ。お兄さん、おめでとうございます」

夏「え? あ、ありがとうございます」

   × × ×

冬子「(見渡して)それにしてもバス遅いですね……健診に間に合うかしら」

   ――雪が降る真っ白なロータリー。

夏「昨日の夜から降ってましたからねー。さっきからタクシーも見かけないし」

 「あ、いつ生まれる予定なんですか?」

冬子「一週間後なんですけど、今は正産期だからいつ生まれてもおかしくないの」

夏「おお!! 赤ちゃんに会えるのが楽しみですね!?」

冬子「(笑顔)はい。あ、でも今もずーっとお腹を攻撃されています」

夏「あはははは!!」

冬子「うふふ」

夏M「はっ!! まてよ……」

 M「ドラマだとこんな和やかなシーンから、突然生まれるってパターンに……まあ現実には――」

 「って、大丈夫ですか!?」

   と、お腹を押さえる冬子を見て。

冬子「(耐えながら)つ……」

夏「救急車!!」

   と、鞄からスマホを出して。

冬子「……先に病院の方に」

 「私は菅山 冬子」

夏「分かりました冬子さん!! かかりつけの病院はどこですか!?」

冬子「お……お月見総合病院」

夏「加奈のおじさんが勤めてるところか……」

 「病院に電話した後に救急車を呼べばいいんですね!?」

冬子「……お願いします」

夏「よし!! って、ああーっ!! 病院の番号が分かんねーっ!!」

冬子「ポ、ポーチに診察券が……」

   と、そばに置いた鞄を指して。

夏「(鞄の中を見て)失礼します!!」

 「! えっ……!?」

冬子「……ありました?」

夏「あ、はい!!」

   と、診察券を見せて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ