最終話 011
○峰山の回想・お花見女子高等学校・廊下(11月下旬・昼)
廊下を並んで歩く夏と峰山。
峰山「俺はこれから見回りなんだから、用があるなら――」
夏「峰山先生、まだ先のことなんだけど一つお願いがある」
峰山「なんだ立花? 改まって」
と、立ち止まる。
夏「(振り向いて)実は卒業式で一度だけ、ウチの指示に従って欲しい」
峰山「何をバカなことを!? と言いたいところだが、時と場合による。理由を述べろ」
夏「へへっ、私用だよ私用」
峰山の回想終わり。
○元の体育館内
校長「ちょっと君!? 戻りなさい!!」
「(立ち上がって)自分が何を言っているのか分かっているのか!?」
――扉に向かう峰山。
峰山М「立花、お前の返答は全く答えになっていなかったが……」
M「お前は今まで教えてきた中で、一番手のかかる生徒だった……」
M「まったく……最後の最後まで面倒をかけさせやがって」
と、扉の引手に手をかける。
校長「待て峰山!! まっ――」
峰山「ぬぅおおおおお!!」
と、勢いよく扉を開ける。
――驚く峰山の顔。
[ホワイトアウト]
――扉の正面に横付けされたGKAH4T。
荷台の幌は運転席の上に折り畳まれている。
荷台に掛けられた紅白幕。
その上に土が盛られ、四隅にワイヤーで固定された3mの『河津桜』が立っている。
――GKAH4Tの周りに並ぶ手袋をしたドロだらけの父親たち。
音葉の父「何とか間に合いましたね?」
夏の父「(うなずいて)まったく……皆様を巻き込みやがって」
拓蔵「がっはっは、卒業する可愛い娘のために、みんな嫌とは言えませんからな?」
加奈の父「でもこれで、ようやく立花さんへの恩返しができました」
夏М「(オヤジたちを見つめて)――ありがとうみんな」




