最終話 010
○同・校門~体育館前~館内
――校門に到着するGKAH4T。
音葉の父「時間がない!! 急いで!!」
× × ×
体育館前でハッとする加奈の父。
加奈の父「後は私たちに任せて早く!!」
× × ×
体育館の両引き扉を開ける夏。靴は上履き。
――みんなが一斉に振り向く。
夏、大きく息を吸い込んで。
夏「(大声で)ライブの前に、保護者の皆さんに手伝って欲しいことがあります!!」
「保護者の皆さんは全員外に出て下さい!!」
みんな「なっ!?」
生徒たち「あれ立花さんじゃない?」
と、ざわつく。
校長「(立ち上がって)そ、卒業式に出席もせず、いきなり入って来て何を言い出すんだ!?」
夏「(頭を下げて)娘さんを本当に大切に思っていらっしゃるなら、どうかよろしくお願いします!!」
校長「何をバカなことを!!」
理事長「(立礼)保護者の皆様、私からもお願いします」
校長「理事長!?」
――ざわつく保護者たち。
夏の父「(大声でわざとらしく)よーし!! 何だか知らないけど、可愛い娘のために全力で手伝うぞー!!」
と、扉に向かい、夏の横で手のひらを向けて。
夏の父「よく頑張った夏、後は俺たち大人に任せろ」
夏「(タッチして)ありがとう親父」
――ざわつきながら出て行く保護者たち。
校長「どうなっているんですか理事長!? 私はライブ以外のことは何も聞いていませんよ!?」
理事長「そうですね、私もライブ以外のことは『少ししか』聞いていません」
校長「(怪訝な顔で)……」
――体育館の扉を閉め、親指を立てる夏。
親指を立てる高丘。
高丘「それじゃあライブを始めるよー!! 盛り上がれー!!」
と、ギターを弾きながら。
――キャーと黄色い歓声。
総立ちで喜ぶ生徒たち。
× × ×
席に座る卒業生と床に座る1・2年生。
校長「(ため息)やっと終わった……まったく、卒業式の最後に不謹慎な」
と、ハンカチで汗を拭いながら。
高丘「最後に立花さんから挨拶があります……」
「(うなずいて)立花さん」
――自分の席でうなずき返す夏。
× × ×
夏「ウチの高校生活は、暴力事件から始まりました」
と、壇上でマイクを持ちながら。
夏「停学処分が解けて学校に戻ると、悪いうわさが広がっていて孤立しました」
「(照れ笑い)自業自得ですね」
「でも変わりたいと思えば、諦めずに行動すれば、人は変われます」
「だから皆さん、しっかりと前を向いて歩いていってください」
「――ウチの高校生活は、辛かったけど楽しかったです」
――拍手する生徒たち。
夏を知る生徒は立ち上がって拍手。
夏「えー最後に、全然『なぞかけ』になっていませんが、ウチの名前にかけて一つ」
「卒業式と掛けて、校庭に立つ花と解きます。その心は……」
「(うなずいて)峰山先生、扉を開けて下さい。お願いします」
――うなずき返し、立ち上がる峰山。
校長「おい、何をする気だ!? まだ何かあるのか!?」
「(峰山を見て)峰山先生!! これ以上勝手なことをされては困ります!!」
峰山「(振り向いて)覚悟の上です」
と、扉に向かって歩き出す。




