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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
最終話 『ウチと彼女の願い事』
181/206

最終話 009

○お花見女子高等学校・校門~望美のクラス~体育館脇~館内(11時)

   校門に立つ音葉の父。スーツ姿。

   奥に見える校庭の桜はつぼみのまま。

   × × ×

望美「ほんとだって!! それが高丘さん本人だったんだから」

   と、教室で友達と話す望美。

   黒板には『卒業式のライブまで自習!』の文字。

   × × ×

   武道場の横に体育館があり、扉は閉まっている。

   体育館脇に立つ加奈の父。スーツ姿。

   ――館内壇上の横断幕には『第36回 お花見女子高等学校 卒業式』の文字。

   1・2年生代表と書かれた席に並んで座っている音葉・春香・加奈。

   座席に座り、ハンカチで涙を拭う卒業生や、後ろに座る保護者たち。

   保護者席には夏の父。スーツ姿。夏の母の姿はない。

司会「以上をもちまして、第36回お花見女子高等学校卒業式を閉会致します」

   ――拍手。

音葉「(小声で)夏まだかな?」

春香「(小声で)もうすぐライブが始まっちゃうよー……」

   加奈、後ろにある足下の小窓から顔を覗かせる父を見る。

   ――首を横にふる加奈の父。

加奈「(音葉を見て小声で)まだみたいです」

音葉「……夏」

   × × ×

   『第36回 お花見女子高等学校 卒業式』の横断幕が上がる。

   替わりの横断幕がゆっくりと下りてくる。

   ――学園祭で使われた『高丘 景スペシャルライブ』の横断幕。

   『スペシャル』が二本線で消され『高丘 景リベンジライブ』の文字。

   1・2年生が入って来て床に座る。望美・真中・南の姿。

   ――体育館の扉が閉まる。

司会「それでは最後に、高丘 景さんのライブです!!」

   ステージ脇からフォークギター片手に登場する高丘 景。

   マイクスタンドがあるステージ中央で立ち止まる。

観客たち「キャー!! 景ー!!」

   ――笑顔で手を振る高丘。

   音葉、スマホのバイブ音が鳴り、すかさず確認。

夏のメール『渋滞に巻き込まれた! 後少しで着くのに!』

音葉M「(立って)ええっ!? やばいやばい!!」

   と、高丘にマイクを引き延ばすよう手で合図。

   周りの観客に怪しまれて着席。

   ――うなずく高丘。

[以下、カットバックで]

高丘「ライブの前に、少しお話しがあります」

 「卒業式に私のライブを提案してくれたのは、三年生の立花 夏さんです」

 「学園祭にも呼んでいただきましたが、仕事の都合で来れなくなり、大変申し訳ございませんでした」

拓蔵「くそおお!! 全然動かない!!」

夏「ここまで来たのに……」

   と、渋滞の中で。

高丘「立花さんとの出会いは、私が海で溺れているところを、彼女に助けてもらいました」

 「彼女がいなければ、私は今ここに、皆さんの前に立てていませんでした」

夏「ここ、新聞配達で何度も通った道……おじさん、そこを左折して!!」

拓巳「(ハンドルを切って)ええっ!?」

高丘「更に彼女は、こうやって女装姿で歌う僕の背中を、何の偏見もなく優しく押してくれました」

拓蔵「こんな抜け道が!?」

夏「何としてでも、ライブが始まるまでに辿り着く!!」

高丘「私は立花さんの行動力に助けられました」

 「少し強引で、少し負けず嫌いで、少しだけズカズカとものを言う……」

 「でも彼女の言葉は、しっかりと的を得ています……それは人の中身を、しっかりと見れているからです」

拓蔵「うおおおお!!」

夏「通れたら何でもいい!!」

拓蔵「道が!! 舗装されていないいい!!」

夏「だから、間に合えええ!!」

   × × ×

   ――そわそわする夏の父。

高丘「みなさんも相手の良い部分を見て、そして誰かの背中を押してあげてください」

 「卒業してこれから辛いことがあっても、しっかりと自分を持って、進んで行ってください」

   ――音葉をチラ見する高丘。

   音葉、肩を落としてうなずく。

高丘「お話が少し長くなっていまいましたが――」

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