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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
最終話 『ウチと彼女の願い事』
178/206

最終話 006

○船津全景~お花見女子高等学校・校門前(6時過ぎ)

   ――船津全景。

   校門前に並んで座っている羽村と北川。制服姿、脇に鞄。

羽村「もう30分くらいここに座っているんだけど……」

北川「そうだな。早起きもいいものだ」

羽村「バカでしょ? 結局何も――」

北川「来た」

羽村「え?」

   ――夏がカブで走り過ぎる。

羽村「今のって……」

北川「立花には、達成したい目標があるんだ……睡眠時間を削ってでも」

羽村「(怪訝な顔で)……」

   ――夏が戻ってきて、二人の前で止まる。

夏「こんな早くから二人で何やってんの?」

北川「仕事で根を上げているあんたの顔を、羽村に見せてやろうと思ってな」

夏「へへっ、それは残念だったな。まぁ仕事が苦にならないと言ったらウソになるけど」

羽村「またライブを提案したって北川さんから聞いたけど」

夏「ああ、校長に反対されたけどな。でも絶対に見せてやるよ、高丘のライブを」

羽村「どうして!!」

夏「え?」

羽村「どうしてそんなに前向きに行動できるの!?」

 「苦しいことに、どうして自分から飛び込んで――」

夏「羽村は、自分から変わろうと思わないのか?」

   と、エンジンを切って。

羽村「え……」

夏「誰かが変えてくれるのを待っているのか?」

羽村「(うつむいて)……」

夏「なあ羽村……強さって何だろな?」

 「人のうわさを面白がっている奴らより、それに耐えてきたウチらの方が、よっぽど強いと思うんだ」

   ――ハッとする羽村。

夏「(笑顔で)だから羽村も自信を持てよ」

 「少しでもウチを信じてくれるなら、卒業式でのライブ、楽しみにしといて」

   と、エンジンをかけて。

羽村「(立ち上がって)待って!!」

夏「ん?」

羽村「(うつむいて)校長は私の父なの……」

夏「ああ、何となく気付いてた」

羽村「そう……」

   ――拳を握り、夏を見る羽村。

羽村「父は学園祭のとき、高丘さんの事務所に連絡をとっていなかった!!」

夏「ウソ!?」

北川「(立ち上がって)なっ!?」

羽村「学園祭が終わってから言われたの」

夏「……でもどうして!?」

羽村「父はおそらく……過去に暴力事件を起こした生徒に対して、絶対に許さないという思いを持っている」

北川「やっぱりか……どうする立花?」

夏「今日の放課後、校長にもう一度ライブを提案する。その気持ちは変わらない」

北川「そっか……」

夏「教えてくれてありがとう羽村、でもどうして?」

羽村「私も、変わりたいと思ったから」

 「(ボソッ)それと……カメ好きに悪い奴はいないから」

夏「へへっ、確かにそうだな!?」

   と、羽村の鞄についている、小さなカメのぬいぐるみを見て。

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