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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
最終話 『ウチと彼女の願い事』
177/206

最終話 005

○同・武道場裏

鬼島「知ってるぜ」

夏「本当か!?」

鬼島「あの二人だよ」

夏「えっ!?」

鬼島「あたしに手を出して停学になったあいつらは、その間に校長の弱みがないか調べていたらしく、娘の存在を知って手を出した」

夏「何の関係もない羽村に!?」

鬼島「ああ……ホント救えねえバカ共だ」

 「退学になった後のことは知らない。もっとも、知ろうとも思わないけどな」

夏「羽村、辛かっただろうな……」

鬼島「所詮人なんてもん、信じてもバカを見るだけだ……どうせ裏切られるんだから」

夏「そうかもしれないな……よし分かった、じゃあウチを信じなよ」

鬼島「は?」

夏「お前が見れなかったものを見せてやるよ」

鬼島「(鼻で笑って)何を根拠にわれを信じろと?」

夏「初めてお前に絡まれた時、そしてさっき胸ぐらを掴まれた時、正直ビックリした」

鬼島「え?」

夏「(見つめて)予備動作がなくて出だしが速い」

   ――ハッとする鬼島。

   × × ×

[フラッシュ]

監督「(キラキラ目)予備動作がなくて動き出しがすばらしい!! 今から始めてもすぐに組手で活躍できるぞ!!」

鬼島「本当ですか!?」

   と、喜ぶ白帯姿の鬼島。

   × × ×

   ――フッと笑う鬼島。

夏「少しでもウチを信じてくれるなら、もう一度ここへお祝いに来て欲しい」

鬼島「(背を向けて)あたしも暇じゃないからな、考えとくよ」

   と、手をあげて立ち去る。


○同・校門前

北川「事件のことは辛かっただろうけど……あんた、学園祭が終わってから立花と話しているのか?」

羽村「話してないけど、どうして急に立花さんのことに? もう関係ないのに」

北川「関係ないか……」

 「そうだな……あんたにとっては終わったことだからな?」

羽村「(怪訝な顔で)……」

北川「今は噂がなくなって、友達と仲良くやっているんだからな?」

羽村「何が言いたいの?」

北川「立花の様子はどうだ?」

羽村「それは……誰ともしゃべらないで、休み時間も一人で寝ているけど」

北川「今のこの状況が、あんたが望んだ結果か?」

羽村「違う!! 私は何も関係ない!! 私は……」

北川「学園祭の後片付けで、あいつの凹んだ姿を見てたら、こうやって体が動いてた」

羽村「え?」

北川「不思議だよな? 確かに、私にもあんたにも立花のことは関係ない」

 「ただ一つ、頑張っているやつはその分、どこかで報われて欲しい……」

   ――うつむく羽村。

北川「でも今の立花にとって、教室でのボッチは何ともないのかもしれない」

羽村「(顔を上げて)え?」

北川「寝ているのも多分、本当に眠いからだろう」

羽村「(怪訝な顔で)……」

北川「明日の朝6時、校門前に付き合ってくれないか?」

 「もう立花と関係がないと思うなら、来なくてもいい」

   と、背を向けて歩き出す。

   ――北川の背中を見つめる羽村。

羽村「(ボソッ)……バカでしょ」

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