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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
最終話 『ウチと彼女の願い事』
176/206

最終話 004

○同・校門前(夕)

   門扉にもたれている北川。

   その横を下校する生徒たち。

   ――羽村が友達と二人で歩いてくる。

北川「羽村さん、少し時間いいかな?」

羽村「(止まって)確か学園祭で副委員長だった……」

北川「北川だ」

羽村「私に……何か用ですか?」

友達A「(手をあげて)あ、咲良ちゃん、私バイトがあるから先に帰るね」

羽村「うん、また明日」


○同・敷地内~武道場裏

   敷地内を歩く夏、背中には鞄。

夏「『武道場裏』と『いっこ下』……」

 「へへっ、わざわざ来てくれるとはな……大学まで行く手間が省けたよ」

   × × ×

   武道場裏に立つ夏。

夏「何だ誰もいないじゃねえか、早く来すぎたか……」

鬼島「よう、いっこ下」

   と、後ろから声をかける鬼島 典子。私服姿。

夏「(振り返って)やっぱりお前か」

鬼島「可愛い後輩に、お祝いの言葉を述べてこいって監督に言われてな」

 「AO入試、うちに受かったみたいだな?」

夏「ああ」

鬼島「だったらもう一度確認したい」

   と、夏の胸倉を掴み、武道場の壁に押し当てる。

夏「なっ!?」

鬼島「(見つめて)われはどうだ? あれから変われたっちゅうか?」

夏「(見つめて)――ああ、頭痛は治ったよ」

鬼島「(目を閉じて)……そっか」

   ――手を放す鬼島。

   ゆっくりと手を差し出して。

鬼島「(優しい顔で)おめでとう立花。これから一緒に練習できるのを、楽しみにしている」

夏「(握手して)ありがとう鬼島」


○同・校門前

北川「先に言っておく。私は理事長の娘だ」

羽村「えっ!?」

北川「だからあんたが校長の娘だということも知っている」

羽村「……いつから」

北川「あんたに関わったやつが退学になった事件からだ」

羽村「(怪訝な顔で)……」


○同・武道場裏

夏「そういえば、お前に聞きたいことが二つあったんだ」

   と、制服を整えながら。

鬼島「言ってみな」

夏「前に大学で空手と出会って変われたって言ってたけど、そのキッカケは?」

鬼島「何故それを聞きたい?」

夏「空手を自分から始めるやつは、大抵強くなりたいからだけど……」

 「番長にまでなったお前が、何でいまさら空手を始めたんだ?」

   ――フッと笑う鬼島。

鬼島「話してやるよ……われに絡んだ後のことを」

夏「(怪訝な顔で)……」

鬼島「あれは、あたしが高2の11月だった……。取り巻きが二人いただろ?」

夏「ああ。挑発的なやつと、『そうらー』しか言わないやつ」

[不良B・Cのイメージ]

鬼島「(うなづいて)あたしのポジションを、二人でずーっと狙っていやがった」

夏「マジで!?」

鬼島「あたしがいつも手加減をするところに嫌気がさしたらしく、不意打ちで二人にやられた」

夏「あいつらにそんな顔が……」

鬼島「で、やつらは停学、あたしはもっと強くなりたくて空手に興味を持ったって訳だ」

夏「確かにウチが2年になる頃には、お前の噂も聞かなくなったけど……そんなことがあったのか」

鬼島「面白い話だろ? つるむ相手がいなくなれば、人ってのはコロッと変わるものだ」

 「番長なんて肩書きもあっという間に無くなった……その分受験勉強に集中できたけどな」

夏「……話してくれてありがとう鬼島」

鬼島「で、二つ目は何だ?」

夏「校長の娘に関わったやつが退学になった事件、知っているか?」


○同・校門前

羽村「(うつむいて)私に関わった人が退学になった事件……」

北川「……ああ」

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