最終話 003
○お花見女子高等学校・校長室前の廊下(昼休み)
校長室前の廊下をうろうろする夏。
通りかかった北川が、夏に気付き近寄る。
北川「また何かたくらんでいるのか?」
夏「ライブをもう一度提案する」
北川「(ため息)この時間、校長先生は恐らく外食中だ。30分後に出直してこい」
夏「分かった……」
○校長の顔~同・校長室~校長室前の廊下
校長「卒業式で高丘 景のライブ!?」
夏「はい」
――校長席に座る校長先生と、机を挟んで立つ夏。
校長「ダメだダメだ、前にスケジュールが合わなくて失敗したじゃないか!?」
「学園祭でみんながガッカリしたことをもう忘れたのかね!? これだから暴力事件を起こす生徒は……」
と、イスにもたれて。
× × ×
夏「失礼しました」
と、校長室の扉を閉めて。
廊下で北川が、壁にもたれて腕組み。
夏「北川!?」
北川「どうだった?」
――歩き出す夏。並んで歩く北川。
夏「ウチが暴力事件を起こした生徒だからって、全然聞く耳を持たない」
北川「……そうか」
夏「なんであんなに暴力事件に拘るんだか――」
北川「羽村 咲良が校長の娘だということは知っているか?」
夏「ああ。音葉が退院した時に、校長に貰った退院祝いの『のし』に『羽村』って書いてあったらしくて」
北川「そうか……校長のアレルギーは恐らく、羽村に関わったやつが退学した事件と関係している」
夏「え?」
北川「あんたが入学式で絡まれた相手に聞けば分かる」
夏「鬼島に!?」
北川「ああ、嘘ではない」
夏「お前……何でも知っているんだな?」
北川「理事長の娘だからな。学校の情報を分析するのは嫌いじゃない」
「でも情報はあくまで情報だ、本人に直接聞いた方が良いこともある」
○同・夏のクラス(午後)
15時。授業終了のチャイム。
帰り支度をしているみんな。
担任「(手招き)立花ちょっと」
夏「(教壇へ)はい」
担任「昼休みに、お前宛に客人が来てな……」
夏「はい?」
担任「『放課後に武道場裏で待ってるぞ、いっこ下』と伝えといて下さいだとさ」
夏「(キョトン)はあ……」
担任「お前の知り合いって言ってたから一応伝えたけど、大学も合格したんだから、面倒だけは起こすなよ?」