第十話 015
○富士熔岩温泉旅館・外観~大浴場~玄関(17時半)
広い庭の奥に『富士熔岩温泉』と書かれた建物。
大浴場の浴槽や壁には加工された熔岩が敷き詰められている。
――熔岩風呂につかる5人。
夏「いやー近くに温泉があって良かったー」
音葉「ねー」
加奈「体の芯まで温まりますー」
稲穂「ごくらく極楽ー」
春香「ここの旅館はハルん家のお得意先なんだよー」
「(自慢げに)だから富士山ランドの帰りに必ず寄っていくんだー」
4人「マジで!?」
――フル稼働している脱衣所の乾燥機。
× × ×
玄関でおかみさんに一礼し、靴に履き替える音葉・稲穂・春香・加奈。
レジ横にある小型の冷蔵ショーケースを見て立ち止まる夏。
音葉「行くよ夏? 駐車場でお父さんを待たせてるんだから」
夏「ごめん、先に行ってて。すぐに向かうから」
○河口湖駅・改札~走行中の電車内(18時)
改札手前に立っている5人。
稲穂の横にはスーツケース。
音葉「遅くなってごめんね?」
稲穂「ううん、楽しかった」
「それにハルちゃん、加奈ちゃん、そして夏、みんなに出会えて良かった!!」
――笑顔の春香と加奈。
夏「へへっ、稲穂、これプレゼントのお返し!!」
と、レジ袋を渡して。
音葉「(二人を見て)あれ? 呼び方……いつの間に?」
稲穂「(受け取って)ありがとう」
「(口元に手を当ててヒソヒソ声で)音葉ちゃんをよろしく」
夏「へへっ。おう!!」
× × ×
改札から手を振る4人。
――手を振る稲穂を乗せた電車が走り去る。
× × ×
稲穂「お返しねー……」
と、レジ袋の中を見て。
稲穂「(優しい顔で)ふふっ……季節外れの桜餅か……」
――パックに入った2個入りの桜餅。
窓の外を見ながら桜餅を食べる稲穂。
稲穂М「また来たいな……山梨」
ハッ!! と立ち上がる稲穂。
稲穂の雄叫び(エコー付き)「お土産買うの忘れてたあああ!!」
――走り去る電車。
○音葉の部屋(夜)
夏の名前の下に、昨日と今日の事が書かれた日記を見つめる音葉。
『今日、みんなで富士山ランドに行った! 音葉と初めて喧嘩して凄く辛かった!』
『今日、無くした交換日記が見つかった! 稲穂に音葉をよろしくって頼まれた!』
――H3をめくって微笑む音葉。
ステップ3の3『学校のみんなを笑顔にする』の脇に、『残りあと1つ!』と書き込まれた文字。
――終わり――




