表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第十話 『トラウマさんさようなら』
167/206

第十話 011

○駅への道(連休最終日・午後)

   日記を探す音葉・稲穂・春香・加奈。私服姿。

春香「稲穂ちゃん時間大丈夫ー?」

稲穂「夜まで大丈夫だよー」

加奈「朝から探してるのに見つからない……」

 「(音葉を見て)夏先輩……大丈夫ですかね……?」

音葉М「私のせい……。稲穂ちゃんと久々に会えて嬉しくって、夏のことをおざなりにしていた。だから……」

   ――曇り空を写す。


○富士山ランド・敷地内

夏М「(息を切らして)どこだよ!? どこに落としたんだよ……」

   と、探しながら。ジャージ姿に手提げ鞄。

   ――前から楽しそうに歩いてくるカップルと肩がぶつかる。

カップルの女性「キャッ!?」

夏「あ、すみません……」

カップルの男性「危ねえだろ!? ちゃんと前見て歩けよ!!」

夏「すみません、すみません……」

   と、お辞儀。

カップルの女性「もういいから行こうよー? 次のやつに並ばないと時間が無くなっちゃうー」

カップルの男性「そうだな」

   と、歩き出すカップル。

   その後ろでうつむいたままの夏。

カップルの女性「あの子あれじゃん? 男に振られたとかー」

カップルの男性「あー、可愛そうな子かー」

カップルの女性「人に迷惑かけるなって感じだよねー?」

カップルの男性「ホントだよなー?」

夏М「ウチだけがお前との思い出を覚えてるなんて……そんなの寂しすぎるじゃねえか」

[フラッシュ]

   × × ×

   立花家の庭、餅つきをする高1の夏と音葉。

   × × ×

   スキーを楽しむ高1の夏と音葉。

   雪の上で大の字になる笑顔の2人。

   × × ×

夏М「(泣きそうな顔で)分かってたよ……あのとき音葉が、ウチに気を遣って言ってくれたってことぐらい」

 М「……でも大切な日記を無くした自分が許せなくって、必死に探したのに見つからなくって、つい音葉に当たってしまった」

 М「……最低だなウチ」

   と、下を向いて歩きだす。

   ――はしゃぐ客たちとすれ違う。

夏М「(泣きながら)出てきてくれよ……もういいだろ? 頼むよ……お願いだから」

   と、立ち止まって。

女の子「ママー!! 係のおじちゃんに機関車トマスのメダル貰ったよー!!」

   と、幼稚園児の女の子がメダルをかかげて走って来る。

母親「あらー、良かったわねー」

女の子「あっ!!」

   と、夏の手前で転ぶ。

夏「あ……」

   ――物置の下に転がるメダル。

母親「大丈夫!? 危ないから走らないの!!」

   と、駆け寄って。

女の子「(物置を指差して)トマスのメダルがー……」

夏「(涙を腕で拭って)ウチが取りますよ」

母親「えっ、すみません、ありがとうございます」

   ――物置の下を覗き込む夏。

夏「あーっ!!」

   と、メダルの下に交換日記を見つける。

母親「どうしました!? ありました!?」

夏「(泣きながら)……あじまじだ」

   × × ×

夏「はい」

   と、しゃがんで女の子にメダルを渡す。

女の子「ありがとうお姉ちゃん!!」

母親「ありがとうございます」

女の子「お姉ちゃんも探し物が見つかって良かったね!?」

夏「(優しい顔で)うん。大切なものは、絶対に無くすんじゃないぞ!!」

   と、女の子の頭に手を置いて。

女の子「(笑顔)うん!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ