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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第一話 『ウチと彼女の約束事』
16/206

第一話 016

○夏の回想・曇り空を見上げる夏~冨士御室浅玄神社・表参道~拝殿~社務所前~表参道(一月・夕)

   曇り空を見上げる夏。

   ふちメガネ姿。コートにマフラー。

音葉「あれ? 夏、傘忘れたの? 朝の予報で夕方に通り雨があるって言ってたのに」

   と、後ろから。着物姿、手には閉じた傘。

   夏の下手には、大鳥居と『冨士御室浅玄神社』と彫られた石碑。

   周囲は、傘をさした大勢の参拝客。

   地面には、5cmほどの雪。

夏「(振り向いて)う、うるせー!!」

音葉「混む時間帯をさけたんだけど、やっぱり三が日はいっぱいだね?」

   ――バサッと傘を広げ、夏の隣に立つ音葉。

夏「あ、ありがとう……」

   × × ×

   表参道の先、松明に火が灯った拝殿。

   拝殿の鈴を鳴らし、手を合わせ、お願いごとをする二人。

音葉「夏は何をお願いしたの?」

夏「ん? 餅ばっかりで飽きたから、今日の晩飯カレーにしてください!! って」

音葉「すごく現実的ー」

夏「音葉は何をお願いした?」

音葉「うふふ、ひ・み・つ」

夏「何だよそれ……」

音葉「雨、上がったね」

   と、傘立てから、傘を取って。

夏「おう、これだと傘いらなかったな!?」

音葉「(歩き出して)じゃあもう入れてあげなーい」

夏「(追いかけて)えっ、冗談だって!?」

音葉「うふふ。夏、あれやろう?」

   と、社務所前のおみくじを指して。

   ――おみくじを引く二人。

音葉「やったー!! 大吉!! 夏は?」

夏「凶……」

   と、社務所の壁に片手をついた、白い夏。

夏「(百円を入れて)私、もう一回引いてみる!!」

音葉「ちょっと夏!?」

夏「また凶……」

   と、白い夏。

音葉「どんまい……」

夏「あーあ、ついてねーなー」

   と、みくじ結び所のヒモに、おみくじを結びながら。

音葉「(大吉みくじを見せて)これ、夏にあげる」

夏「いいよ、全然気にしてないから」

音葉「(笑顔で)遠慮しないの」

   × × ×

音葉「夏、あのね……さっきのお願いごとだけど」

   ――参道を歩く二人。

音葉「二年生になっても、夏と同じクラスになれますようにって」

夏「えっ!?」

   と、立ち止まる。

   ――笑顔の音葉。

夏「音葉!! ちょっと待ってて!!」

音葉「えっ!?」

   拝殿に走っていく夏。

   ――汗だくで戻ってくる。

音葉「……どうしたの!? 忘れ物!?」

夏「(息を切らして)……おう」

 「カレーの……お願い……取り消して、私も音葉と同じお願いにしてきた」

音葉「……夏」


○夏の回想・立花家・玄関(夜)

夏「ただいまー」

夏の母の声「(家の中から)お帰りなさーい。夏ー、今日の晩ごはんカレーねー」

夏「うへっ!?」

   夏の回想終わり。

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