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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第十話 『トラウマさんさようなら』
158/206

第十話 002

○立花家外観~リビング(9月・連休3日目・7時前)

   ――立花家外観。

   リビングの食卓で朝ごはんを食べている夏の父と母。

   ソファに横になり、カメのクッションを抱えてテレビを見つめる夏。ジャージ姿。

天気予報士「今日の天気は晴れ、明日は夕方に通り雨がありそうです」

夏の父「(わざとらしく大声で)か、母さんの作る朝ご飯はおいしいなー!!」

   と、夏をチラ見。

夏「(テレビを見つめて)……」

夏の母「ほら夏!! さっさと食べちゃいなさい。遅れるわよ?」

夏「……いらない」

夏の父「(夏のハムエッグに手を伸ばして)なんだ珍しい」

夏の母「お父さん!!」

夏の父「ごめんなさい……」

夏の母「昨日の学園祭のことをいつまでも引きずってないの!!」

夏の父「そうだぞ。母さんと一緒に見ていたけど、夏と同じぐらい父さんも悔しかった!!」

 「でもな、諦めることと割り切ることは別だ」

   と、夏のみそ汁にそっと手を伸ばして。

夏「(テレビを見つめて)……」

夏の父「お前は行動することを諦めた訳じゃねえんだろ?」

夏「(神妙な面持ちで)……ああ」

夏の父「だったらもういいじゃねぇか、昨日のことはよ?」

夏の母「(みそ汁を取り上げて)お父さんは諦めてください」

夏の父「おおぅ……」

夏の母「みんなが気を使って遊園地に誘ってくれたんでしょ?」

夏「『ああ』って言ったけど『行く』とは言ってない……」

夏の母「じゃあ何で昨日遊びに行くって言ってたの!?」

夏「どうせ音葉が中学のダチと遊ぶついでなんだから、どう――」

夏の母「(みそ汁を強く置いて)どうでもよければ誘われません!!」

 「ゴチャゴチャ言ってないで早く食べなさい!!」

夏「(食卓について)ったく、分かったよ!!」

夏の父「あっ、そうだ、ほら、いつものチェックしないとな!?」

   と、チャンネルを変えて。

夏「うぉい!! なに勝手に変えてんだよ!?」

アナウンサー「ごめんなさい……今日の最下位は獅子座の人!!」

夏の母「あらー……夏は今日最下位ね?」

夏「しかもタイミング悪すぎだろ!!」

アナウンサー「獅子座の人はよくコケる1日になるでしょう。足元に気をつけてお過ごし下さい」

夏の父「(わざとらしく大声で)そうなんだー」

 「(夏を見て)足元には気をつけるんだぞ?」

夏「ったく、他人事だと思って……」

   と、ご飯を掻き込みながら。

夏の母「ふふっ、占いなんて気の持ちようなんだから」

夏の父「そうだぞ夏、気にするな!!」

夏「(呆れ顔)毎日楽しみにしている親父に言われたかねえよ……」

 「ごちそうさま!!」

   と、みそ汁のお椀を強く置いて。

   ――完食されたお皿を見て、優しく微笑む夏の母。

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