第九話 016
○同・体育館(14時半)
北川「えー、以上をもちまして、お花見女子高等学校の学園祭を終了します」
と、ステージで挨拶。
――拍手するみんな。
北川「尚、このあと生徒のみなさんは後片付けを手伝ってください。よろしくお願いします」
× × ×
ステージ脇で立ち尽くす夏に近寄る校長。
校長「(肩に手を置いて)ライブは残念だったね? でも良かったじゃないか? 素人の漫才で盛り上がって」
と、立ち去る。
○同・校門
手を振って帰る稲穂・知恵・湖太郎。
校門で見送る音葉。
――羽村に取り外される学園祭のボード。
寂しい顔でボードを見つめる音葉。
○同・校庭
後片付けをしている夏と北川。
夏はしゃがみ、コンクリートについたガムをヘラで取っている。
通りがかりの生徒A「(夏を見て)いっそ『嘘つき花子』に改名したらいいのにー」
通りすがりの生徒B「ほら、聞こえちゃうよー」
通りがかりの生徒A「バーカ、聞こえるように言ってんじゃん」
通りがかりの生徒B「あはははは」
夏「(うつむいて)……」
北川「気にするな立花……最後まで実行委員長として良く――」
夏「なあ北川……これさっきから取れねえんだよ……」
「取れたと思ったらまたくっついてよ……キリがねぇんだ……」
北川「……立花」
夏「何でくっつくんだろうな……? 何度も何度も……」
北川「――そこはもういい!! 私がやるから」
夏「……ありがとな北川」
北川「え……?」
夏「(作り笑顔で)まぁまた、元の鞘に収まったって感じでホッとしたよ」
北川「(心配そうに)……」
○校長室~廊下
机の引き出しを開けてライブの許可書を取り出す校長。
校長「(怪訝な顔で)まったく……学校を何だと思ってるんだ!!」
と、ライブの許可書を破り捨てる。
× × ×
ボードを脇に抱えて廊下を歩く羽村。
奥から歩いてくる校長とすれ違う。
——すれ違い様に立ち止まる羽村と校長。
校長「(背を向けたまま)咲良、学園祭のライブは残念だったな?」
羽村「(背を向けたまま)本当は高丘さんの事務所に連絡を取って無かったんでしょ? お父さん」
校長「どうせ呼んでもシラケるだけだ。なーにが『みんなを笑顔にしたい』だ、バカバカしい」
羽村「(怪訝な顔で)……」
校長「(振り向いて)でもこれで少しは、お前への噂もマシになるんじゃないか?」
羽村「……バカでしょ。私の事はほっといて」
と、背を向けたまま歩き出す。




