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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第九話 『学園祭』
153/206

第九話 015

○同・体育館(14時)

   ザワザワと体育館に集まった生徒や一般客たち。

   観客スペースの最前列に立つ音葉・稲穂・春香・加奈・望美・知恵・湖太郎。

   ステージ下の脇に立つ夏。

   ――校長がマイクを持ってステージに上がる。

校長「えーみなさん、高丘 景さんといえば、今売れに売れている歌手です」

一部の生徒たち「景!! 景!!……」

   と、手拍子であおる。

校長「(手で静めて)そのため、高丘さんはスケジュールの関係により、今日のライブに来れなくなりました」

夏「!?」

   驚く実行委員たち。

   眉をひそめる峰山先生と理事長。

みんな「えー!! ふざけんなよー!! 学園祭のメインだろー!!」

   と、大ブーイング。

校長「大変残念な結果になりましたが、ライブが無くても皆さんは、とても良い学園祭を作り上げたと思っています」

みんな「ふざけんな!! 実行委員長は何やってたんだよ!?」

校長「実行委員長ですか……(夏を見て)立花さん、ステージに」

夏「(唖然として)……」

   ――ステージに上がる夏。

校長「今回、高丘 景さんのライブを提案してくれたのは彼女でした。ですから!!」

 「……ですからみなさん!! 一番辛いのは彼女です!! どうか、彼女を責めないで下さい……」

みんな「ライブを提案したならちゃんとスケジュールくらい確認しろよ!! そうだそうだー!!」

夏「(唖然として)……」

音葉「……夏」

春香「……なっちゃん」

加奈「夏先輩……」

   心配そうに夏を見る知人や実行委員たち。

   ――怪訝な顔の羽村。

校長「(小声で)残念です……後のシメは任せますね? 実行委員長」

   と、夏にマイクを渡してステージを降りる。

   ――マイクを持ったまま立ち尽くす夏。

みんな「何とか言えよー!! 嘘つき―!!」

峰山「お前ら黙らんかあああ!!」

夏「あ……あの……」

みんな「もういいよ!! 代わりに一発芸でもいいから何かやれよー!! あはははは!!」

峰山「黙れお前らあああ!!」

   ――マイクを持ったまま立ち尽くす夏。

稲穂「友達がピンチだ!! 行くよ音葉ちゃん!!」

   と、音葉の腕を引っ張って。

音葉「えっ!?」

稲穂「(ステージに上がりながら)中学の時のネタ、覚えてるよね!?」

音葉「うん!! ハッキリと」

校長「何だね君たちは!? 勝手にステージに上がるんじゃない!!」

稲穂「立花さん、ここは私たちに任せて」

   と、夏からマイクを取って。

夏「え……?」

   ――ステージ横のマイクスタンドを持ってくる音葉。

音葉「夏はステージ脇で見ていて」

夏「あ……」

   と、後ずさりしてステージ脇へ。

稲穂「はいどうもー!! ここからはプログラムを変更いたしまして、川柳漫才をお送りしまーす!!」

音葉「よろしくお願いしまーす!!」

   と、マイクを挟んで。

校長「どういうことだ!? 1人は一般客じゃないか!? 今すぐ――」

理事長「いいじゃないですか校長先生。時間はたっぷりとあるんですから」

校長「(下がって)あ、はい……理事長」

   ――ざわつくみんな。

   まばらな拍手の中、川柳漫才を始める音葉と稲穂。

   その姿を唖然と見つめる夏。

   ――外の風景を写す。

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