第一話 015
○立花家・夏の部屋(17時半頃)
机に向かい、交換日記を付ける夏。制服姿。
日記には、『4月13日 月曜日 今日は新しい友達ができた。これでまた一つ約束事を達成したぞ!』の文字。
夏「よし!!」
と、日記を鞄にしまい、ドアへ。
夏「(頭を抑えて)つっ!!」
――ドアの前に、ふちメガネ姿・膝下スカートの、『夏の幻影』が現れる。
夏の幻影「あなたは人に流されていてそれでいいの?」
「そんな約束事、彼女の自己満足に付き合わされているだけじゃない?」
夏「うっせー!! もうお前の言うことは聞かない!!」
「たとえそれが、人に流されてることであっても……ウチは音葉を、ウチを信じてくれる彼女を信じる!!」
夏の幻影「せっかく私が教えてあげているのに……もっと自分らしく生きたらどう?」
「(腕を広げて)人に縛られていないで、自由に!!」
夏「うっせー!! もう出てくるな!!」
と、幻影の腹めがけて、中段突き。
夏の拳は幻影の体をすり抜け、ドアに当たる。
夏の幻影「あなたが私を作り出したのに、本当に勝手ね?」
「(微笑んで)でもこれだけは覚えておいて、あなたを幸せにできるのは、私だけだから」
と、消えていく。
○同・玄関先
50ccのバイクにまたがる夏。制服姿。
ヘルメットは、手に持っている。
夏「あっ……」
と、空を見上げる。
――雨がポツリ、ポツリと降ってくる。
夏「ついてないなー」




