第九話 010
○河口湖駅・改札(連休1日目・午後)
駅員が立つ改札の上手に音葉・春香・加奈が立っている。
稲穂「音葉ちゃーん!!」
と、スーツケースを引きながら走ってくる四季 稲穂【しき いなほ】(女18)。
稲穂「(改札手前で足踏み)おっと切符切符!!」
音葉「うふふ、変わってないね? 稲穂ちゃん」
と、駅員に切符を手渡す稲穂を見て。
稲穂「変わった変わった!! 胸も少しだけ大きくなったんだから!!」
春香・加奈「おお!! 是非バストアップの秘訣を!!」
稲穂「秘訣ねー……鳥の胸肉を食べることかなー? ムネだけに」
春香・加奈「(メモを取りながら)おおー!!」
稲穂「ボケたのに全力でスルーかい!! って、お二人さんは?」
音葉「うふふ、ハルちゃんに加奈ちゃん」
春香「音葉ちゃんと同じ学校の二年生!! 霧島 春香!!」
加奈「同じく一年生の秋園 加奈です」
稲穂「よろよろしく!! ハルちゃんに加奈ちゃん!!」
春香「よろよろしく!!」
加奈「よろしくお願いします!!」
稲穂「あれ? そういえば電話で言ってた立花さんは?」
音葉「夏は学園祭の実行委員長だから、今ごろ本番に向けての最終チェック中かな?」
稲穂「そうなんだー。実行委員長は大変だねー」
○くしゃみをする夏~お花見女子高等学校・校庭
夏「クシュン!!」
――夏の手がグーからパーになる。
野宮「あああー!! リマッチでまた夏ちゃんに負けたあああ!!」
と、グーを出しながらうなだれる野宮・大木・北川。
夏「よっしゃ二連勝!!」
北川「これはもう……運とは言い切れないかもしれない」
大木「いや運だろ」
峰山「くぅおおらそこっ!! 真面目にやらんかあああ!!」
4人「はい!!」
羽村「……バカでしょ」
と、離れたところでゴミを拾いながら。
○喫茶店ノック外観~店内
座敷に座る稲穂・音葉・春香・加奈。
テーブルには食べかけのケーキとドリンク。
稲穂「ていうか富士山に雪が積もってなかったー!!」
春香「流石にこの時期は普通の山だよねー?」
音葉「うん、これから色づき始めるかな?」
稲穂「えー、雪が積もってないとちょっと拍子抜けー」
音葉「うふふ。そういえば稲穂ちゃん、どうして急にこっちに?」
稲穂「そりゃ友達が事故にあってたって聞いたら、普通は心配して来るでしょ!?」
音葉「(笑顔で)ありがと」
湖太郎「(泣きながら)美しい……素晴らしい友情ね……」
と、座敷横でお盆を抱きしめて。
春香「そういえば太郎ちゃんは明日の学園祭に来るのー?」
湖太郎「行きたいんだけど招待券が無くって……」
加奈「じゃあ夏先輩に貰えばいいですよ。学園祭の実行委員長ですから」
知恵「うふふ、私は持ってるけどねー」
と、アイスを4つ持ってきて。
湖太郎「マジで!?」
知恵「(笑顔で)峰山先生に誘われちゃったから」
春香「ヒューヒュー」
湖太郎「リア充 峰山あああ!!」
と、柱におでこをガンガンとぶつけて。
知恵「(笑顔で)そのアイスは湖太郎のおごりねー」
「(厨房に戻りながら)それと柱の修理代も貰うわよ湖太郎ー」
湖太郎「え? え? マジで!?」
4人「ありがとうございます!!」