第九話 009
○同・書斎前のリビング~玄関前
夏「よっしゃ!! 明日からさっそく準備だ!!」
と、扉を開けて。
北川「(立ち上がって)オッケーが出たのか!?」
夏「おう、ありがとう北川!!」
北川「(ソファーにへたり込んで)良かった」
音葉「(紅茶を飲みながら)うふふ」
理事長「飛鳥井、もう遅いから二人を送ってあげて」
と、書斎から出て来て。
飛鳥井「かしこまりました奥様」
夏・音葉「(一礼)ありがとうございました!! よろしくお願いします!!」
× × ×
玄関前に並ぶ北川と理事長。
――夏と音葉を乗せた車が走り去る。
北川「ありがとう母さん」
理事長「(車を見て)彼女には……人を動かす何かがあるのかもしれないわね?」
北川「……うん」
○走行中の車内(夜)
夏「そういえばじいさん、何でウチのことを知ってたんだ?」
飛鳥井「お嬢様が中学三年生の時に、空手の大会で優勝したあなたのことを嬉しそうに話されていました」
「もちろん今年の『ほうとう杯』でのご活躍も」
夏「そっか……」
――赤信号で停車。
飛鳥井「(振り向いてウインク)実は私も、お嬢様には内緒で『ほうとう杯』の会場に駆けつけておりました」
音葉「そうだったんですか」
夏「へへっ、やるじゃんじいさん」
飛鳥井「ですからお嬢様の隣で一生懸命応援されていらした、冬月様のこともよく存じ上げておりました」
音葉「あら、北川さんには内緒にしておきますね」
飛鳥井「ありがとうございます」
と、前を向いて。
――青信号で発車。
飛鳥井「立花さん……」
夏「ん?」
飛鳥井「もし大学でお嬢様と同じ空手道部に入部されましたら……」
「その時はお嬢様のことをよろしくお願いします」
夏「へへっ、かしこまりました!! 飛鳥井さん!!」
――車が走り去る。
○校長の顔~お花見女子高等学校・校長室(翌日・午後)
怒りを抑える校長の真っ赤な顔。
校長席に座る校長の前に立つ夏。
校長「分かりました……」
と、ライブの許可書を机に置いて。
夏「(一礼)ありがとうございます!!」
校長「ただし、高丘さんの事務所には私から連絡を取ります。よろしいですね?」
夏「はい!! よろしくお願いします!!」
× × ×
[黒板に『今年は三年生全クラスがメイドカフェ』の文字]
[学園祭の準備をする生徒たち]
[視聴覚室のカレンダーに×をつけていく夏]
[学園祭のチラシを束ねる実行委員たち]
[『高丘 景スペシャルライブ』と書かれたポスターを廊下に貼る夏]
[カレンダーの4連休前日に×をつける夏。翌日には『実行委員の最終チェック』の文字]




