第九話 006
○同・廊下(夕)
北川「……ちょっとあれは酷すぎるな?」
夏「……おう」
と、廊下を並んで歩きながら。
北川「もしかして『笑顔にしたい』とかって、合宿の時に冬月さんが言っていた『約束事』のことか?」
夏「え? 約束事を知ってたのか?」
北川「ああ、少しだけ冬月さんから聞いた」
夏「(ため息)そうだよ……だったら悪いか?」
北川「いや……」
夏「あーもう!! どうすればいいんだよ!?」
「せっかく委員長になったのに、こっちが提案しても人格否定かよ!?」
北川「冬月さんの応援がなければ、あんたも『ほうとう杯』で勝てていなかった」
夏「ああそうだよ、だから何だ!? 今その話は関係ないだろ!?」
北川「家に来い」
夏「は?」
北川「(立ち止まって)私も全力で協力する」
○同・中庭
噴水に腰掛けている音葉・春香・加奈。
前に立つ夏と北川。
3人「理事長の娘!?」
北川「(うなずいて)まあ公表したら何かと面倒だから、誰にも言ってないけど」
夏「そういうことだ!! 今から北川ん家まで行ってくる!!」
加奈「今回は部長に助けられましたね!?」
春香「元空手道部部員で良かった―」
北川「部長はよしてくれ、今は真中が頑張ってくれている」
「それに理事長……母が承諾してくれるかどうかはまだ分からない」
音葉「北川さん!! ……私も、一緒に行っていいですか?」
北川「もちろんだ」