第九話 003
○同・夏のクラス~廊下~視聴覚室(午後)
15時。授業終了のチャイム。
夏「羽村さん、視聴覚室まで一緒に行こうぜ?」
と、羽村の席で。
羽村「(鞄を持って)……別にいいけど」
× × ×
夏「昼間はなんか勝手に決めつけちゃってごめんな?」
と、廊下を並んで歩きながら。
羽村「どうして謝るの?」
夏「いや、いきなりズバッと言われてビックリしたから……」
羽村「私は事実を言っただけ。気にしているようならごめんなさい」
夏「まあそこまで気にしていないんだけど……もしかしたら噂を気にして自分から相手を遠ざけて――」
羽村「考えすぎ」
夏「だよな? だったらさ、もっとこう、楽しく行こうぜ!? テンション上げてさ!?」
羽村「(無表情)……」
夏「ウチさー、今日の役員決めで絶対に実行委員長になってやるんだ!?」
「委員長だぜ委員長!? すっげーワクワクしない!?」
羽村「(立ち止まって)バカでしょ」
夏「なっ!?」
羽村「着いた」
夏「お、おう……」
× × ×
扉を開ける夏。
——視聴覚室には三年生の実行委員が各クラス2人ずつ集まっている。
5クラス合計10人。
北川「立花!?」
夏「げっ、北川!? お前も実行委員か?」
と、近寄って。
北川「見ての通りだ」
夏「(笑いながら)どうせジャンケンで負けたんだろ?」
北川「立候補だ!!」
野宮「おっ、夏ちゃん久しぶり!!」
と、近寄る野宮と大木。
夏「のんべえに大ちゃん!! お前らもか!?」
野宮「大ちゃんがどうしてもって言うからー」
大木「あんたが泣きついて来たんだろ!?」
夏「(笑いながら)二人とも相変わらずだな」
実行委員A「(小声で)あれ羽村じゃない?」
実行委員B「(小声で)ホントだー、最悪ー」
羽村「(無表情)……」
――羽村の横に立ち、2人を睨みつける夏。
目を逸らす実行委員A・B。
峰山「(ジャージ姿で入ってきて)お前ら席に着けー!! これから実行委員会会議を始める!!」
夏「うわっ、担当はゴリ山かよ!?」
峰山「(教卓を叩いて)峰山だあああ!!」




