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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第一話 『ウチと彼女の約束事』
14/206

第一話 014

○同・展望台(夕)

   富士山と富士河口湖町が、一望できる展望台。

   展望台の奥には、休憩所『たぬきち茶屋』。

   その隣に、ウサギの御神体を祀った『うさきち神社』。

加奈「わー!! 本当に町が一望できるなんて!!」

   と、手すりから身を乗り出して。

加奈「富士山もすごく綺麗ですね!?」

夏「喜んでくれて良かった。がんばった甲斐があった……」

   と、富士山に背を向け、観光望遠鏡の踏み台に座りながら。

春香「あっ!! なっちゃん流れ星!!」

夏「(振り向いて)! どこだどこだ!?」

   と、思わず手すりから身を乗り出して。

春香「あー……消えちゃった」

夏「何だよまったく……お前ら何かお願いしたか?」

加奈「あ、忘れてました……」

春香「ハルも住所までしか言えなかったよー」

夏「何だよお前ら……勿体ないなー」

加奈「あれ!? 夏先輩、高いところ克服できたんじゃないですか!?」

夏「あ……ほんとだ」

春香「(笑顔で)おめでとうなっちゃん」

夏「ありがとう!! 勢いに任せれば意外と簡単だったな!?」

三人「あはははは!!」

   ――たぬきち茶屋のベンチに座る、白い夏。

春香「あ……。やっぱダメだったみたい……」

   × × ×

夏「そこの君たち!! これが目に入らぬか!!」

   と、ラップの上に乗せた、桜餅を見せて。

春香「(駆け寄って)おおー!! さすがなっちゃん!!」

 「春といえばこれだよねー」

   × × ×

   ベンチに座っている三人。

   夏、短い鉄砲串で、桜餅を三等分。

夏「一番大きいのがウチのやつなー?」

春香「えー、なっちゃんずるーい!!」

夏「ずるくねーよ!! ウチが新入生に変装して、やっとの思いで貰ってきたんだから」

[セーラーブラウスの首元を、頭にスッポリ被せ、桜餅を貰う夏のイメージ]

春香「ブー、ブー」

夏「よーしお前ら!! これでウチらは同じ釜の飯を食った仲間だ!!」

加奈「ちょっと意味が違いますけど……」

   と、桜餅を食べながら。

夏「あ、ちなみにそれ、さっきラップ剥がすときに落としちゃって」

春香・加奈「ブーッ!!」

夏「きったねーな!? すぐに拾ったから大丈夫だって?」

春香「もー、なっちゃん……気が利くんだか利かないんだかー」

夏「うっせぇ」

春香・加奈「あはははは」

[うさきち神社で、狛兎の頭や脚を撫でる三人]

[ハートの形をした、『最天上の鐘』を鳴らす三人]

[素焼きの器を的に投げる、『かわらけ輪投げ』をする三人]

   ――夕焼けに染まる富士山。

夏「あーっ!! ちょっとウチ、寄るとこあるから先に帰るわ!!」

 「お前らはもう少しゆっくりしていけよ?」

春香「ラジャー!!」

加奈「あのっ、ありがとうございました!! 夏先輩!!」

夏「いいっていいって!!」

 「(笑顔で)ウチらもう友達だろ?」

加奈「(笑顔で)はい!!」

   × × ×

加奈「あんなに急いでどこに寄るんでしょうね?」

   と、マッチョポーズをしている春香を見て。

春香「んー……恋人のところかなー?」

加奈「ふええええー!?」

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