第八話 021
○山梨県 富士河口湖町 船津への道中~車内(夜)
――GKWを写す。
揺れる車内で寝ているみんな。
手前に音葉・夏・湖太郎。
奥に望美・春香・加奈。
湖太郎は口を押さえて白目で前かがみ。
知恵「みんなすっかり遊び疲れちゃって」
と、揺れる助手席から後ろを見ながら。
拓蔵「子どもたちを見ていると、早く大人になろうと必死に背伸びをしていますが……」
「こうやって寝顔を見ると、まだまだ子どもなんだなーと思いますよ」
知恵「うふふ、そうですね」
――走り去るGKW。
○立花家・2階の夏の部屋(22時半)
オフィスチェアに腰掛けている夏。ジャージ姿。
夏「今日は楽しかったなー」
と、机の上に開いた交換日記の『約束事3の1 友達と海で遊ぶ』にチェックを入れる。
母の声「(1階から)夏ー、ビール買いに行くけどジュースか何かいるー!?」
夏「あーっ!! 千円札!!」
母の声「ええっ?」
――白浜大浜海水浴場、積まれた石のてっぺんに海を見つめるヤドカリ。
月明かりに照らされた石の隙間から、千円札が顔を覗かせている。
○冬月家・2階の音葉の部屋(22時半)
音葉「そういえば事故で携帯が壊れて、電話帳も新しく登録し直したんだっけ……」
と、スマホの着信履歴を見ながら。パジャマ姿。
音葉「この番号ってもしかして……」
――電話をかける音葉。
相手の声「あ、もしもし音葉ちゃん!? 私、四季 稲穂【しき いなほ】」
音葉「(嬉しそうに)稲穂ちゃん!! 久しぶりー!!」
稲穂の声「良かった―。携帯が壊れちゃってさー、音葉ちゃんの番号をやっと思い出せたから掛けてみたの」
音葉「そうだったんだ!? うん、うん、うん。えっ!? そうなんだ!?」
と、机の上にある富士山のパズルにピースをはめながら。
――残りのピースは2つ。
音葉「うんうん、そうだね、中学以来だもんね!? 楽しみに待ってるね!? 稲穂ちゃん」
――電話を切り、鼻歌交じりでスマホの電話帳に番号を登録する。
電話帳には『四季 稲穂』の文字。
――終わり――




