第八話 020
音葉「あ、でもね、最後の約束事だけは私もちゃんと達成できなかったんだ」
夏「最後の約束事!?」
音葉「うん」
夏「(ノートを見て)約束事はあと二つだけど……最後の約束事は、ステップ3の3『学校のみんなを笑顔にする』」
「って、学校のみんな!?」
音葉「(笑顔で)そうなの」
夏「いや無理だろ!?」
音葉「でもこれだけはどうしても思い出したい!!」
「……だってこの月の記憶は――」
夏「音葉が事故にあった2月の記憶か……」
音葉「(うなずいて)……私をひき逃げした犯人の顔を思い出したい」
夏「……だよな、警察もまだ捜査中だからな……」
「分かった!! ウチに任せろ、あの花火のようにドカーンと咲かせてやる!! みんなの笑顔を」
音葉「夏……」
夏「音葉の記憶を取り戻す!! それがウチの夢だ!!」
音葉「……ありがとう。私も頑張ってサポートするね」
――花火を見つめる二人の後ろ姿。
音葉「うふふ」
夏「どうした?」
音葉「(笑顔で)これから頑張ろうと思ったら、一句思いついちゃった」
夏「え?」
音葉「『夏休み レポート課題 残ってる ー音葉ー』」
夏「あーっ!! 夏休みの宿題全然やってねーよ!!」
「(頭を抱えて)これから地獄だあああ!!」
音葉「うふふ」




