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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第八話 『海水浴』
135/206

第八話 019

○同・ビーチ真ん中

   ――砂浜に座る夏と音葉。

夏「そういえば今日海で遊んで、12月の記憶は思い出せたか?」

音葉「うん、夏と一緒にクリスマスツリーを作ろうって、夏のおじさんも一緒になって――」

夏「うんうん、うちの親父が一番はりきってたよな!?」

音葉「(笑いながら)でもけっきょく飾った電飾が古くて点滅しなくって――」

夏「あの電飾を持って来たのは音葉だったんだぞー!?」

音葉「うふふ、ごめんごめん」

夏「……でもよく考えたら、(笑いながら)花火を見ながらクリスマスの話ってのも変だな?」

音葉「うふふ、そうね」

   × × ×

音葉「夏……私ね、事故で失った記憶について前々から気付いていたんだけど……」

夏「え?」

音葉「今日記憶が戻ったことで確信が持てたから話すね?」

夏「……おう」

音葉「私ね、中学の頃は、昔の夏と同じで引っ込み思案な性格だったんだ」

 「でも中学2年の終わりにある人からガツンと言われて、それで自分を変えたい、強くなりたいと思ったの」

夏「(神妙な面持ちで)……」

音は「それで中学3年から1ヶ月に1つ、自分で目標を立てて一生懸命達成してきたんだ」

夏「ええっ?」

音葉「そのあと山梨に転校して夏と出会って、夏も私みたいに変わって欲しくて『約束事』を考えたの」

夏「(ノートを見て)えーっとちょっとまって、整理すると……」

 「音葉はウチと出会った6月から、ウチを変えようと1ヶ月に1つ『ウチを幸せにする約束事』を考えた」

音葉「うん。これは私が中3の時に達成してきた内容とほぼ同じ」

夏「で、ウチが約束事を達成すると、音葉が事故で失った高1の記憶、細かく言うと『音葉がウチのために約束事を考えたその月の記憶』が戻った」

音葉「うん、約束事は夏と過ごした6月から2月までの9ヶ月分だから9つ」

夏「今まで達成したのは、

   ・6月の記憶、ステップ1の1『一年に一人、友達を作る』

   ・7月の記憶、ステップ1の2『イメージチェンジをする』

   ・8月の記憶、ステップ1の3『友達と交換日記をする』

   ・9月の記憶、ステップ2の1『家族について考える』

   ・10月の記憶、ステップ2の2『峰山先生の悩みを解決する』

   ・11月の記憶、ステップ2の3『もう一度空手と向き合う』

   ・12月の記憶、ステップ3の1『友達と海で遊ぶ』

   ――ここまでか……」

 「でもなんで、高1の記憶だけが思い出せなかったんだ?」

音葉「うん、その答えに確信が持てたから言うね。私ね、たぶん夏に約束事を通して変わって欲しくて……」

 「(笑顔で)それで無意識に思い出せないだけなのかなーって」

夏「なんだそりゃあああ!?」

音葉「(笑顔で)振り回しちゃってごめんね?」

夏「(花火を見上げて)……まあでも、音葉との約束事がなければ、ウチもここまで変われていなかった……」

音葉「(花火を見上げて)うん」

夏「――ありがとう音葉」

音葉「(うなずいて)来年もこうやって、一緒に花火を見ようね」

夏「……うん」

   × × ×

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