第八話 012
○同・ビーチ真ん中(昼)
夏「ただいまー。マネージャーさんからお昼にどうぞって、何だかいっぱい貰っちゃった」
と、両手のビニール袋を見せて。
春香「なっちゃん大変!!」
夏「どうした!?」
加奈「そろそろお昼だからって、知恵さんに電話をしたんですけど、さっきから全然つながらなくって」
夏「まだサーフィン中とか?」
春香「もう50回も電話したんだよ!?」
夏「(呆れ顔)それは掛けすぎだろ……」
「分かった分かった、ちょっとウチが見てくるから」
と、ビニール袋をレジャーシートに置いて。
湖太郎「あ、待って、僕も行くよ」
夏「いいよ暑苦しいから」
湖太郎「いやいや、夏ちゃんに変な虫がつかないよう、僕が守るんだから!!」
[超高速ディフェンス]
夏「はいはい……」
○同・サーフィンエリアへの道中
夏「――大人か……」
と、二人並んで歩きながら。
夏「湖太郎いまいくつだっけ?」
湖太郎「いくつに見える?」
夏「もういい」
湖太郎「冗談だよ夏ちゃん!! は、二十歳だよ!?」
夏「そっか。大人……だよな……?」
湖太郎「そうだね、夏ちゃんと二つしか変わらないけど……って急にどうしたの?」
「ハッ!! もしかして、僕を大人の男として意識しちゃった!?」
夏「ちげーよ!!」
「――なあ湖太郎……大人って何だろう?」
湖太郎「え?」
× × ×
[湖太郎の妄想]
湖太郎「そんなに知りたいのかい?」
「だったら夏ちゃんに、大人になるってことを教えてあげようかい?」
と、砂浜に寝転ぶ夏の上に覆い被さって。
夏「えっ!? 今ここでですか? ……はずかしい」
湖太郎「ん夏ちゃーん!!」
× × ×
湖太郎М「――なんてボケた回答をしたら、確実に殺されるなー」
「んー、自分の言動や行動に責任を持つこと、それが大人かな?」
夏「湖太郎が言うと何か説得力が無いなー」
――湖太郎、ガクッ。
夏「後で知恵姉にも聞いてみよっと」




