第八話 008
○同・イベント会場
会場では作業員がステージとユニットハウスの設営作業中。
現場監督「(見渡して)うおおおい!! 高丘 景はどこに行った!?」
「しっかりしてくださいよマネージャー!! あと一時間でリハーサルが始まっちゃうんだからね!?」
マネージャー「すみません!! 集中したいから一人にしてくれってどこかに行っちゃって――」
と、頭を下げる高丘のマネージャー。(男30代)
現場監督「どこかに行っちゃってじゃないよ!! 今日は『ミュージックシンフォニー』の生中継なんだよ!? 絶対に失敗できないんだから!!」
マネージャー「すみません!! 探してきます!!」
と、一礼してその場を離れる。
マネージャー「(見渡して)まさか景、また……」
○同・岩場下の砂浜
高丘「今日は夕方からライブでイベントに参加するんだけど、週刊誌が発売されたら、もうイベントにも呼ばれないかも……」
夏「なんかひどい話だな?」
高丘「いえ、プライベートで油断していた僕が悪いんだけど」
「(ため息)僕にこんな女装趣味さえなければ……」
夏「でも楽しいんだろ? はしゃぎ過ぎて海で溺れるくらい」
高丘「……はい」
夏「へへっ、良い個性じゃねぇか!!」
高丘「えっ?」
夏「そんなにバレるのが怖ければさ、今日のイベントで自分から告白してみたら?」
高丘「ええっ!? 無理無理無理!! 絶対みんなひいちゃうし!!」
夏「そっかなー? ウチは素直に可愛いと思うけどなー?」
「偽りの殻に閉じこもるよりさ、自分に素直に生きれたら、それって凄くカッコいいと思うなー」
――砂浜のヤドカリを写す。
高丘「もし告白するとしても、問題はファンの子たちがどう思うかだよ。ファンを置いてきぼりには出来ないから」
夏「やっぱそんなに簡単な問題じゃないか……」
高丘「(うつむいて)……」
夏「とりあえず戻ろうぜ? あと、その格好はどうにかしろよ……」




