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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第八話 『海水浴』
122/206

第八話 006

○同・海中~水面~岩場下の砂浜

高丘М「ここで……死ぬのか……この格好で」

   沈んでいく高丘。女性のビキニ姿、腰にはパレオを巻いている。

   ――うっすらと夏の姿が写る。

高丘М「人魚……さん?」

   × × ×

   高丘の腕を肩に回し、水面から顔を出す夏。

夏「ハァハァ!! 浅瀬まで……行けるか……」

   と、泳ぎ出す。

   × × ×

   ――岩場下の砂浜、ヤドカリを写す。

夏「しっかりしろ!! 大丈夫か!?」

   と、高丘の口元に耳を近づけるが、反応がない。

夏「呼吸をしていない、心肺停止状態か!?」

 「こういう時はえーっと、心臓マッサージと人工呼吸!!」

 「むかし空手で心肺蘇生を習っていて良かった!!」

   と、高丘の胸に両手を重ねて置く。

夏「え? この胸……。いや、今はどうでもいい」

   と、心臓マッサージ。

夏「次は軌道を確保して人工呼吸!!」

   ――口を近づけて、ハッ!!

夏「人工呼吸……」

 М「うお!! ウチのファーストキスじゃねーかこれ!!」

   と、頭を抱えて。

夏「いやいや、今はそんなことを言ってる場合じゃない!!」

   片手で高丘の鼻をつまみ、顔を近づける夏。

   × × ×

   ――黒い画面。

高丘М「柔らかい唇の感触……。あぁ、さっきの人魚さん……」

夏の声「よし、心臓は蘇生した、あとは呼吸だけ!! もう一度!!」

高丘М「また柔らかい感触……。人魚さんの温もりが僕に伝わってくる」

 М「出来ることならこのままずっと――」

 М「え!? し、舌を絡めてきた!?」

 М「ちょっと流石にそれは激しすぎだよ人魚さ――」

   ――目を開ける高丘。

高丘「!」

   ――目の前に拓蔵の顔。

拓蔵「やったぞ夏ちゃん!! 目を覚ましたぞ彼女!!」

夏「よかった!! 助かったよおじさん、駆けつけてくれてありがとう!!」

拓蔵「言ったろ? これは300m先まで見渡すことができるって」

   と、双眼鏡で高丘の顔を覗き込んで。

高丘「うっわああああ!!」

   と、立ち上がり海まで猛ダッシュ。

高丘「おえええええ!!」

   と、吐く後ろ姿。

拓蔵「(見ながら)あれだけ動けたらもう安心だな!? 彼女」

夏「あ……ちなみに彼女じゃなくて彼だと思うよ?」

拓蔵「え……? 男?」

夏「(笑顔で)うん」

拓蔵「うっわああああ!!」

   と、立ち上がり海まで猛ダッシュ。

拓蔵・高丘「おえええええ!!」

   と、二人並んで吐く後ろ姿。

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