第八話 002
○喫茶店ノック・駐車場(8月中旬・早朝)
夏「……という話だったんだけど。何でこんなに人が増えてんだよっ!?」
――駐車場には夏・音葉・春香・加奈・知恵・湖太郎・望美・拓蔵。
全員私服姿。
音葉「うふふ、にぎやかでいいと思うよ?」
拓蔵「(親指を立てて)今の世の中、女の子だけだと何かと物騒だからなっ!?」
夏「おいおい……」
知恵「すみません霧島さん、結局ワゴンをお借りする形になっちゃって……」
拓蔵「いえいえお気遣い無く!! おとこ霧島 拓蔵 43歳!!」
「(敬礼)この『GKW』で立派にお役目をはたさせて頂きます!!」
と、後ろのワゴン車を叩いて。
望美「まったく……鼻の下が伸びてるよお父さんって、持っていく物がおかしいし!!」
と、拓蔵が首からぶらさげている双眼鏡を指差して。
拓蔵「なっ、何を言うか望美!! もし遠くで溺れている人がいたらどうする!?」
「これは300m先まで見渡せる、ネットで見つけた超レアアイテムなんだからなっ!?」
望美「はいはい……」
加奈「『GKW』ってグレイト・霧島・ワゴンの略?」
春香「そだねー、ちょうど8人乗りだよー」
夏「まぁ知恵姉はいいとして、明らかにどうでもいいやつが一人いるよなー?」
湖太郎「んもーっ……夏ちゃんも冗談キツいんだからー」
[夏の周りを超高速ディフェンス]
湖太郎「ほら!! 夏ちゃんに変な虫がつかないように、この僕がフンフンフンフン!! って――」
夏「はいはい……」
○静岡県 白浜大浜海水浴場への道中・GKWの車内
拓蔵「地図からしたらもうすぐ海が見えてくるぜ!!」
――ガガガガガと車体が上下に揺れている。
夏「ははは……『グレイト・霧島』シリーズは毎回すんごい揺れますね……」
と、助手席から。
拓蔵「がっはっはっ!! 仕様だよ仕様!!」
「夏ちゃんの胸も、相変わらずすんごい揺れてるぜ!?」
と、運転席から親指を立てて。
夏「(振り向いて)何で道に詳しい知恵姉が後ろなんですか!?」
春香「だってなっちゃん、ジャンケンで負けたしー」
後部座席には春香・知恵・湖太郎。
その奥に音葉・望美・加奈。
知恵「うふふ」
湖太郎「車酔いが……」
と、口を押えて白目で前かがみ。
――道路を走るGKWを写す。
加奈「ああっ!! 見えてきましたよ!!」
望美「海だ―!!」
音葉「うふふ」
――海と空を写す。




