表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第六話 『ほうとう杯(前編)』
104/206

第六話 016

○元のアリーナ内の試合会場

   ――警備員4人に引きずられて退場していく峰山。

   入口に残された竹刀を見つめる夏。

   × × ×

   夏、開始位置でポンポンと太ももの横を叩く。

   ――それを見てハッとする加奈。

加奈「(北川を見て)夏先輩は大丈夫です!!」

北川「え?」

加奈「夏先輩は今、しっかりと前を向いています!!」

   × × ×

夏「(優しい顔で目を閉じて)……そうだよな?」

[以下、夏のセリフは優しい顔・小声で]

浅井「(呆れ顔で)なーに今の? 変態?」

   と、開始位置に戻って輪受け。

夏「いつも一緒にいてくれてたよな?」

主審「続けて、始め!!」

   左構えでステップを踏む2人。

   ブーッ、ブーッと短いブザー音が鳴り、ボードの残り時間は10秒。

   ――ワンツーの突きを連続で出す浅井。

夏「悲しい時も」

   と、下がりながら浅井の突きを次々にサバいていく。

   浅井と重なる夏の幻影。

夏「苦しい時も」

浅井М「くっ!! 優加の攻撃が……」

夏「楽しい時も」

浅井М「全部……」

夏「嬉しい時も」

浅井М「サバかれている!?」

夏「だってお前は、ウチなんだもんな?」

浅井М「何をさっきからぶつぶつと!!」

   と、幻影と重なり、右中段回し蹴りを出す。

夏「受け入れるよ。お前がいたからウチは成長できた」

   夏、一歩前に出て左に転身、浅井に背を向けて中段蹴りをかわす。

夏「――今までありがとう」

   と、背を向けたまま、一瞬だけスッと力を抜いて立ち止まる。

[夏の小声終わり]

恵介「今だ夏!!」

北川「決めろ立花あああ!! あんたの空手道を見せてやれえええ!!」

夏М「(一瞬目を閉じて)そしてみんなも……」

   ――引きつった顔の浅井と夏の幻影。

夏М「(自信満々の顔で)ありがとな!!」

   と、そのままの体勢から右足を上げ、かかとで浅井の頭部を蹴る(サソリ蹴り)(引き足あり)。

北川「まさかの……サソリ蹴り……」

   ブー!! と試合終了を知らせる長いブザー音。

   副審全員が一斉に赤い旗を上げる。

主審「止め!! 赤、上段蹴り、一本!!」

   ――もの凄い歓声。

   喜ぶお花見部員たち。

主審「赤の勝ち!!」

   ――スコアボードは6ー3。

   開始位置で天井を見上げ、立ち尽くす浅井。

   ゆっくりと近寄り、手を差し出す夏。

   ――幻影の姿はもうない。

夏「(清々しい笑顔で)ありがとうございました!!」

浅井「(目を逸らして)決勝戦、絶対に勝ちなさい。でないと私の評判が下がっちゃうんだから……」

   ――モジモジと小指を出す浅井。

夏「ああ!!」

   と、小指を握って。

   × × ×

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ