第六話 014
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[フラッシュ]
幼稚園児たち「(キラキラ目)優加ちゃんそのポーチかわいいねー?」
と、浅井を囲んで。
幼稚園児の浅井「うん、オーダーメイドでちゅくってもらったんだー」
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小学生たち「(キラキラ目)優加ちゃんすごい量のお返しだねー?」
と、浅井の机に山積みになったチョコレートを見ながら。
小学生の浅井「優加は誰にもチョコあげてないのにねー」
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――浅井、夏の突きをかわして下がりながら。
浅井М「これまでいつも、どんな時でも私にスポットライトが当たってきた。――柏原という例外を除いて」
後ろ足で一瞬キュッと止まる浅井。
浅井М「だから私より、目立つんじゃねぇよ馬鹿やろおおお!!」
と、夏の右の突きを左手で押さえ、左上段蹴りを決める(引き足あり)。
――みんなの驚いた顔。
副審全員が青の旗を斜めに上げる。
主審「止め!! 青、上段蹴り、一本!!」
――盛り上がる観客たち。
スコアボードの浅井の点数が3になり、3ー3の同点。
浅井М「(開始位置に戻りながら)フッ、やっぱこうでなくっちゃ」
記者A「(浅井を撮りながら)完全に彼女の流れになりましたね?」
編集長「立花 夏……ここまでか……」
音葉「夏……」
恵介「まずいな……」
と、スコアボードの時計を見ながら腕組み。
――経過時間は1分30秒、試合時間は残り30秒。
主審「続けて、始め!!」
――左構えでステップを踏む2人。
夏の幻影「まだ焦ること無いよ? あと1回ウォーニングも取れるんだし、もっともっと相手に恐怖を与えなきゃ」
と、夏の横から。
――前に構えた腕をスッと一瞬上げる夏。
浅井М「そこっ!!」
浅井「えいやああ!!」
と、踏み込んで右中段蹴り。
夏、転身で中段蹴りをかわし、右上段蹴りを叩き込む(引き足なし)。
浅井「なっ!?」
と、倒れながら。
主審「止め!! 赤、反則注意!!」
――静まり返る観客たち。
夏のC1が3になる。
記者A「同点に追いつかれてもまだやり返すって、いったいどうなってるんスか編集長!?」
編集長「さっぱり見えない……彼女のことが」
と、開始位置に戻る夏をスケッチしながら。
編集長「浅井をいたぶっているのか、それともただの馬鹿なのか……」




