第六話 012
――開始位置で輪受けをしている夏と浅井。
主審「続けて、始め!!」
――左構えでステップ、様子をうかがう2人。
恵介「さっきの一発で夏の勢いが止まった……」
北川М「どうした立花、考えるな!!」
――フェイントを出し合う2人。
浅井М「うふふっ、だんだん前傾姿勢になってきてるよ立花さん? 突っ込みたくて仕方ないんだね?」
と、前に構えた左手を少し下げて。
夏М「(刻み突きで突っ込んで)今だ!!」
浅井「えいやあああ!!」
と、左手で夏の刻み突きを押さえ、顔面に逆突き(引き手あり)。
拳がメンホーに当たり、一瞬よろける夏。
[驚いたみんなの表情]
加奈「またっ!!」
主審「止め!! 青、警告!!」
――浅井のC1が2になる。
北川「浅井のやつ……」
野宮「自分が負けているのに夏ちゃんをいたぶってやがる」
大木「まだ逆転する余裕があるってことか……」
音葉「夏……」
――開始位置で輪受けをしている夏と浅井。
主審「続けて、始め!!」
――左構えでステップ、様子をうかがう2人。
浅井М「さーてと、これで突きは封じたからー、次は蹴りを封じちゃおっかなー!?」
と、上段突きワンツーで前に出て。
野宮「浅井が仕掛けた!?」
――右に体を転身させ、浅井の攻撃をかわす夏。
真中「かわした!!」
――そのまま左上段蹴りを狙おうと左膝を上げる。
南妹「さすが夏先輩!! かわしてからの上段蹴り!!」
――ハッとする北川。
浅井М「かーらーのー」
北川「危ない立花!!」
と、立ち上がって。
夏「えっ!?」
浅井が夏の軸足である右足首を、右足で外から内に払う。
――体勢を崩して倒れる夏。
浅井、倒れる夏の左腕を左手で瞬時に掴んで支え、夏が横になると同時に、顔面にトドメの突きを叩き込む(寸止め・引き手あり)。
――盛り上がる観客たち。
加奈「浅井の一本が決まっちゃった!?」
恵介「いや、今のはウォーニングだ」
加奈「え?」
北川「空手の下段は足の甲より上を蹴ってはいけない、もちろん今みたいな関節への攻撃も禁止だ」
と、座りながら。
主審「止め!! 青、反則注意!!」
――浅井のC1が3になる。
真中「大丈夫ですか!? 立花先輩!?」
――無言で立ち上がる夏、片手でメンホーの上から頭を抑えている。
[以下、夏の表情は写さない]
真中М「今のは北川先輩をケガさせた技……」
と、浅井をにらむ。




