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社長と少年  作者: 一ろと
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社長と買い物

ご飯を食べて、食後にコーヒーが飲みたいと言うリュウへ、

「リュウ君、昨日コーヒー出したら不味いって不機嫌になったろ。あのコーヒーしか無いぜ、ウチ」

まあ、来た当初から機嫌は悪かったけど。

「コーヒーが不味いくらいで、不機嫌になるわけ無いだろう、コーヒーを出したお前の親父がへらへらしてるから虫酸が走っただけだ。だが、あの不味いコーヒーは二度と御免だ。マーシィに届けてもらうか」

「マーシィさんに頼むより、買いに行った方が早いぜ。こっから出て公園渡ったらすぐスーパーだし」

「なんで俺が自ら買いに…」

と文句を言うリュウに、もしかしてリュウ君っ大人の人について来て貰わないとお買い物に行けない子なのか、と尋ねれば行けるに決まっているだろうと喰い気味に返された。

「じゃあ行こうぜ」

「…コートを持ってこい」

リュウ君は寒がりだから、外へ出るとなるとまだまだ厚手のコートは必須らしい。



しっかし派手なコートだ。

真っ白いファーがついた生地は光沢のある眩い感じの赤いコート。

羽輝はやっぱり留守番していてもらおうかと考えたが、コーヒーなんてどんなのを買えば良いのかさっぱりわからない。

諦めてリュウを連れて大型スーパーへと乗り込むことにした。


スーパーに着けば、普段は縁がなさ過ぎて珍しいのかキョロキョロフラフラして直ぐに視界から消えそうになるため、カゴを押して無い方の手でリュウの手を繋いだ。

とても嫌そうにして離そうとしたが、

「リュウ君、今はオレの保護者だろ。保護者はこのスーパーでは子供と手を繋ぐ義務があるんだ」

嘘だけど。けど周りを見渡せば大半の小さい子供の手を母親が握り、買い物カゴを押している。

リュウも周りの様子を見て察したのか渋い顔をして溜め息を一つつき、羽輝の手を握り返した。

「よし、しっかり繋いでてくれよ」

進もうと足を踏み出せば、カゴが乗ったカートにリュウの手が掛かる。不思議に思い顔を見上げれば、

「コレは俺が押すべきものなんだろう」

こんな庶民の店のルールなんて少し観察すれば完璧だと書いてあった。いや、そもそもこのスーパー独自のルールなんてものは存在しない。有るのは一般的マナーだけだ。

とりあえずカゴを押してくれる方が楽だし、好きにやらせておこう。

だが常識ある大人としか買い物に行ったことの無い羽輝は知らなかった。

カゴを持たせたら最後、そこに何でもかんでも好きなだけ入れる人種が存在するなんて。

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