花の都*パリ
これは、うちがパリに行くまでの話。
当時小学生だったうちは、パリに憧れてた。
なんか知らんけど、どこの国よりもパリに行きたかった。
パリっていう言葉の響きも、エッフェル塔っていう綺麗な建物も、凱旋門っていう歴史的モニュメントも、全てひっくるめて好きやった。
だから、決めた。
うちはフランスに行く、って。
フランス行くのに必要なことってなんやろ?
小さい頭で必死に考えた結果、やっぱ言語なんじゃないかと。
フランスではフランス語が話されてる。
なら、フランス行くって決めたうちにも、フランス語は必要ちゃうか?
だから、早くフランス語を学びたかった。
大学生なってからでもえぇかなって思っとったけど、友達が教えてくれた。
「ここの高校ならフランス語できるよ」
うちの心は決まった。
ただ、その高校は私立やった。
それに対してうちの家は貧乏。
私立だけ受けるって訳にはいかんかった。
私立と公立、両方受験した。
けど結局、受かったのは私立だけやった。
神様なんて信じてへんし、そんなんおったらかなんけど、その時だけは信じてもえぇんちゃうかなって思った。
誰かがうちの目の前に、パリへの道を用意してくれとんとちゃうかって思った。
そんな自然な流れで高校に入り、そのままフランス語を続けた。
大学でももちろんフランス語を勉強するつもりやったし、そういう学科を選んだ。
それに加えて、フランスに行けるようなプログラムのある学校を探して、受験した。
うちは晴れて大学生になり、念願だったフランスにも行けることになった。
俗にいう、留学ってやつだ。
留学中はいろんな場所を旅した。
サヴィニャックが暮らしていたトゥルヴィルだって行ったし、海水浴をしにニースまで行った。
けど、やっぱ一番はパリだった。
最初パリの観光名所しか行ってなかったけど、現地の人も行きそうな路地とか、お洒落なカフェとか、可愛いパン屋さんとか、ひっきりなしに歩いてた。
うちは、パリが大好きだ。
まだまだ行けてない場所もあるし、もっかい訪れたい場所もある。
パリの郊外だってどうなってんのか気になるし、パリのアパルトマンで一人暮らしをしたいし、逆に誰かの家にホームステイしてみたい。
日本帰ってきて思う。
うちはパリでやり残したことがまだまだたくさんある。
だから、死ぬまでには、やり残したことをやり切ってやろう。
その為に就職して、お金貯めて、フランス行こう。
もちろん他の国だってみたい場所たくさんある。
だからこそ、今頑張んなくちゃ、って。