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1章:チェシャネコ

太陽が出ているのにもかかわらず、雨が降っている。


…狐の嫁入り?


「亜里朱ー!ご飯食べよぅ!」

愛弓の声

『うん!』

今はお昼休みなのです。

「外に何かあったの?」

『うん。雨降ってたの』

「え!ウソ!でも、太陽出てるよ?」

『うん。狐の嫁入りっていうんだよ』

「へー…」

そういうと愛弓は窓の外を見た。


「見つけた…。」


!!

耳の後ろから微かな声がした。

後ろを振り向いたが誰もいない。


「どうしたの?」

『ううん。なんでもないよ。』


私は窓の外を見た。

水に濡れた校庭。

風に揺れる木々。

下からゆっくりと順々に雨の風景を見ていった。

!!


私は言葉を失った…。

空に人が立っている…。


「亜里朱?どうしたの?」

『あ、あそこ…』


私は人の居る所を指した。


「何もないよ?」

『い、いるじゃない!あそこに!人が!』

「え?」

愛弓は不思議そうな顔で外を見た。

「いないよ?」

『ウソよ!だってあそこに!』

私はもう一度指そうと空を見た。


いない…。


『あ、あれ?』

「ほら、いないでしょ?きっと何かと見間違えたのよ。」

『そうかな?』

「そうだよ。鳥かなんかを見間違えたのよ。あ〜ぁ、お腹減っちゃった。お弁当食べよ」

『うん!』


そうよね…。

見間違えよ。

じゃなきゃ、あんなの…。


「見つけた…。」

!!


ゾクリとした。


まただ!

男の人の声だった。

さっきは微かな声だったが今度ははっきりと聞こえた。


「亜里朱…」


一緒に歩いていた愛弓が止まった。


『愛弓?どうしたの?先に行っちゃう…!!』


愛弓だけじゃない…。みんな動いていない…。


『あ、愛弓?』


愛弓の顔を覗くと瞬き一つしていない。


『な、に。コレ…』


みんな動いていない…いや、私が動いている…。


一体何が起きたの?!


「ア‥リ‥ス…。」

!!


さっきの声だ!!


耳元に微かな吐息があたる。

後ろに居る!!どうしよう!!

逃げなきゃ!!


…どこに?…


「迎え…来た…」


え…。


「ア・リ‥ス。迎え…来た。」


迎えに…来た?


「ア…リス。行こう…」


私の肩に何かが乗った。


「さぁ、ア‥リス。」

『い、いや!』


私は、肩に乗っている何かを振り払い。

後ろを振り向いた。


サラリーマン…?


背は私よりも一回り大きい。

前髪が長く顔が見えない。

ただ、見えるのは、ニンマリと笑った口。

『あ、あなた一体誰ですか…』


声が震えている…

恐い。恐い。恐い。

どうしよう…

恐い。恐い。


頭の中はその言葉しか見当たらない。


恐い。恐い。


身体が震えている…


「僕は、チェシャネコ…。ア‥リス。僕はキミの‥下僕」


イントネーションが違うまるで初めて日本語をしゃべるみたいだ。


下僕…?

な、何言ってんの?


男の人は私を覆い被さるようにして抱きついた。


『な!///』

「アリス。僕のアリス。やっと見つけた…。」


男の人は私を確かめるように強く抱きしめた。


『ちょ、ちょっと!』


私は男の人を押して、抱きついた、腕を振り払った。


「どうしたんだい?アリス。」


さっきまで片言だったのに、今はすんなりとしゃべっている。

『どうしたんだい?、じゃないわ!あなた一体誰?なんで抱きついたの?なんでみんな動いていないの?なんで…』

「アリス。落ち着いて。慌てると見えるモノも見えないよ。」


男の人はゆっくりと私の頭を撫でる。


一体何なの?

なんか懐かしいような…。


男の人はただ、ニンマリと笑っているだけ。


『あなたは誰?』


とりあえず、私は目の前のこの人の謎からかたずけることにした。


「僕はチェシャネコだよ。キミの下僕。」

『そうじゃなくて‥えっと…』


戸惑う私をこの人はただ、見守っている。


『学校の人ですか?』


言いたいことがなかなか言葉にならない。


「ガッコウ?」


不思議そうに首をかしげる。


学校を知らない?


『学校!ここの人ですか?』


なんだか私苛々してる。

「ここの人じゃないよ。僕は下僕。キミの猫だよ。」

…ネコ?

どう見てもこの人は人間だ。何を言っているのだろう?


『猫?』

「そう。キミのね。」

『私…の?』

「そう。僕のアリス。キミが望むなら僕はどんなことでもしてあげるよ。」

『どんなことでも…?』


それはある意味私が望めば誰でも殺せてしまうという意味にもとれる。


私は勢いよく首を横に振った。


「どうしたんだい?アリス。」

『………。』

「………。」


長い沈黙が続いた。


『あなたは‥。』

「え?」

『あなたは‥なんで私を知っているんですか?』


男の人はニコッと笑って答えた。


「いつも、アリスを見てたからね。」


ス、ストーカー!?いやいや、よく考えよう。

この人は私の下僕だと言っている。

私が望めばどんなことでもしてくれると言っている。

しかも、自分は猫だという。


……。


ストーカー…とはちょっと違うような…。


『………。』

「………。」


らちがあかない。

さっきから同じ質問をしているような気がする。

質問を変えよう。


『なんで、あなたと私しか動いていないんですか?』

「ここがキミと僕の世界になったからだよ。」

『それはどういう意味ですか?』

「?」


男の人はまた、不思議そうに首をかしげる。

「なんで意味なんて聞くの?」

男の人から笑顔が消えた。


『え…』


恐い。なんでだろ。

恐い。恐い。恐い。


『…………。』


恐い。恐い。

どうしよう…身体が震えてきた。

恐い。恐い。


「あ!」

『!!』

「脅えさせてしまったね。ごめんよ。僕のアリス。」


そういうと、男の人は私の頭を撫でた。


なんでだろ。気持ちが落ち着いてきた。不思議…


「アリス。」

『な、なんですか…』

「僕のアリス。」

『………。』

「キミが望むなら僕はなんでもするよ」

なんでも、する…。

そっか。


『じゃあ。みんなを元に戻して下さい。』

「いいよ。」


すると、男の人はにっこりと微笑んで消えていった。


き、消えた!!

ウソ!!

なんで! 人間ってあんな簡単に消えるの!?


「僕のアリス。僕はいつもキミのそばに…。」


男の人の声だげが耳にながれた。


私のそばに?


「亜里朱〜何してんの?ご飯食べよぅよー!」


みんなの声が聞こえる。


戻ってる?


『うん!』


今のは、夢だ!夢を見たんだ!


私は震える身体を押さえ、自分に言い聞かせた。

φ(..)〈最後の方の話をはしょりました。(汗)

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