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閑話 シルフは優しいお兄さん
ユオンが帰ってしまったため、当然途中だったババ抜きは中断された。
「ちぇっ。終わるのか。せっかくシルフを負かすいいチャンスだったのに!」
シルフィードは、ブツブツと文句を言っていた。
「ごめんね、シルフィード。また今度ババ抜きやろうね!」
ルディアは、ババ抜きが自然と終了した事で内心ホッとしていた。
「ああ! 次こそは、シルフを負かしてやる!!」
意気込んで拳を突き上げるシルフィード。
「あんな事言ってるけど、シルフィードには、シルフを負かすなんて永遠にできないと思うな」
レジェルが、一人盛り上がるシルフィードに、哀れみの視線を投げかける。
「シルフィードは、ポーカーフェースがまったくできないからな。素直でいい事だと思うぞ。おかげで、ババの位置がよく分かる」
シルフも、うんうんと頷く。
「でも、たまに負けてあげていたじゃないか。さすがお兄さんだね」
「そうでもしないと、機嫌を損ねるからな。面倒くさい」
ふいっとそっぽを向くシルフ。
シルフとシルフィードの間でケンカが起こらないのは、影でシルフが妥協しているからなのだった。