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第32世界  作者: 閃夜
Ⅰ はじまり
12/47

―12―レジェル

 ユオンとルディアがバルコニーで寝付いてしまった頃、彼等に人影がかかる。


 そこには、例の紅い十字の右目をしたレジェルが立っていた。シルフとシルフィードも一緒だ。


「こんなところで寝たら風邪をひいてしまうだろう」


 彼はそういうと、シルフとシルフィードに言って二人を各々のベッドに寝かせる。


「彼奴は悲しむ事を封じていたのだな」


 シルフがユオンの部屋の方を見る。


「幼いのに、強がった子だ。昔の誰かさんを見ているようだよ。……いや……今もか」


 シルフィードが、ニヤニヤしながらレジェルを見た。


「一体誰の事を言っているんだい? シルフィード」


 レジェルは何処吹く風といった感じだ。そんな様子の彼を見て、シルフィードは頬を膨らます。


「まったく、子どもらしくない。魔力の強い者は、皆そうだ。可愛くない!」


 何の反応も示さないレジェルに、シルフィードはつまらなくなったのか、からかうのをやめた。



「ルディア嬢は、優しい子だな」


 今度はルディアの部屋の方を見るシルフ。


「強大な魔力保持者にしては、思考、行動が幼いと思っていたが……全くそんな事はなかったな」

「ユオンも、彼の魔力も、ルディア嬢さえいれば安心だな」


 シルフとシルフィードは、お互いに頷き、微笑む。


「そうかな?

 僕は逆に心配になったよ」


 レジェルが、暗い表情をみせる。

 月にサァーと雲がかかってゆき、辺りはより一層暗くなった。



 シルフとシルフィードは、顔を見合わせる。

 レジェルの、その瞳にはいったい何が映ったのだろうか。


「さぁっ。もう僕も寝ようか。おやすみ、二人とも」


 レジェルは何事もなかったかのように微笑み、自室に帰っていった。


「……やはり、可愛くないな」


 シルフィードの呟きは、夜の闇に消えた。


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