どっちにしろ終わり
テーマ「SNS」
SNS、特にインスタとかやっていて1番最悪な瞬間。
――元カノの新規アカウントを偶然見つけてしまうこと。
見たところでいいこともない。特に、今彼女がいない場合。とゆうか、そう、見つけても、見なければいい話。
――で見ないことができれば最悪になんてなり得ない。
女々しいことも分かってる。人間として最低だっていうのも分かってる。けど、どこか自分と付き合ってる時の方が楽しそうであってくれって願ってしまう自分がいる。
「ほっんと、サイテーだな俺」
ベットに横たわり、だらだらと目的もないまま、SNSを徘徊して、現在夜中の1時をちょうど過ぎたところ。明日、というか既に今日だが、寝て起きたときの自分のためにも、寝た方がいい時間。
だけど何も生み出すことも、何も得ることもない、この時間を後悔することが分かり切っているのに過ごしてしまう。
そんな中、見つけてしまった数か月前に別れた元カノのアカウント。アカウント名はSa_na_pj0320。本名は窪田紗衣奈。
分かってる。絶対に見ない方が良い。
偶然見てしまった投稿は、どこかのカフェでパンケーキを食べている写真。こういう写真は前も上げてた。前と変わらず、可愛いし、胸も大きい。
だけど、若干メイクの仕方が変わった気がする。目の当たりとか、口紅が濃くなった。女のメイクは、そのときのトレンドとか、そのときの服とか、気分とかで変わるはず。そんぐらい分かってる。
まぁ、前の方が良かったが。
ここで止めておいた方が良い。
投稿内容を全部見る必要はない。
でも――。
俺は、結局、自撮りの写真のアイコンをタップした。そしたら、一気に紗衣奈のプロフと過去投稿が表示される。
プロフを読む間もなく、スクロールして、投稿を見ていく。さっき見た投稿と似たような投稿が続く。結構な頻度で投稿しているようだ。
見ていくが特に変わった様子もなく、ちょっと拍子抜けだった。
特に変わった様子がないことにイラだったが、このまま見ていってもさらにイライラするだけだと思い、見るのをやめようとした。
――そのとき、1つの投稿に目が留まった。
一見すれば、何の変哲もない、他の投稿と変わらない投稿。だけど何か違和感を感じた。
どこかでランチを食べている写真。右半分に紗衣奈、左下にランチのプレート。その奥に大きな窓ガラス。
そこには、街の風景が映るなか――反射で紗衣奈の同行者が映っていた。
「……もう男作ってんのかよ」
俺の呟きは誰にも届くことなく、空中を彷徨った。
紗衣奈の同行者は男だった。
反射のため分かりづらいが、男の自分から見ても結構なイケメン。さらに着ている服も上等そうなもの。
俺はスマホの電源を切り、急いでベットにスマホを伏せる。
情けない自分の顔なんか見たくもない。
見なければよかった。分かっていた。最初からそう、見ない方がいいって分かっていた。でも、心のどっかで、俺を振った紗衣奈が後悔している可能性を考えてしまった。
結局後悔しているのは自分だけ。あいつはもう、次の男を作って仲良くやってる。
今俺に彼女がいれば、こんな虚しくなることはなかったのだろうか。俺の何がいけなかったのだろうか。
その問いに答えてくれる人はいない。
時計を見ると、もう二時を回っていた。こんな時間に何やってるんだろう。今日も仕事がある。早く寝る準備しなければ。
俺は、動きたくないという感情を何とか理性で捻じ伏せ、洗面所に向かった。
シャワーを浴び、寝る準備を終え、スマホに充電器を繋ごうとして、スマホを手に取ると、インスタの通知が来ていた。誰かがこんな時間に何か投稿したのだろうか。
確認すると、――紗衣奈のアカウントからのDMだった。
俺は、急いで通知をタップし、インスタを開く。そして、紗衣奈からのDMの内容を確認する。
――やっほー、久しぶり!
――紗衣奈です
――元気にしてた?こんな時間にごめんね
――実はさ、別れてから他の男性ともお付き合いしたんだけど、やっぱり友貴くんが一番良かった
――もし良かったらやり直さない?
最初に今紗衣奈も彼氏がいないことに、どこか心地よさを感じる。
改めて、内容を見る。向こうから振ったくせにとも思わなくはないが、結局俺が良かったみたいだ。
向こうから、言ってくるならしょうがない。
俺はDMの返信内容を考えていたせいで、翌日会社に遅刻した。
毎日ショートショートでは、お題に沿ったショートショートを毎日投稿しています!目指せ、100日!
ぜひ感想・評価等お待ちしております。してくださると、とても励みになります!
もしこのお題で書いてほしいというものがありましたら、ぜひお送りください!