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モブキャラ人生が終了したら二周目が始まったんで、今度は主人公になりたい  作者: 長篠金泥
第4章

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第128話 「死んだら位牌からハミ出す長い戒名つけてやる」

 アレコレ試した後、俺たちは『御護屋ごごや』での買い物を終える。

 購入品はトランシーバーのセットに、催涙さいるいスプレーを何本か。

 瑠佳るかは吹き矢がシックリきたようなので、それも購入することに。

 アルジェントは非力すぎるせいか、ボウガンを使いこなせなかった。

 俺も使ってみたが、取り回しが楽だし威力も悪くない。

 鵄夜子しやこでも使えそうなので、自宅の防犯用具として買っておく。


「注文の品、届いたか」

「悪いが、もう一手間かかる」


 カウンターで訊くと、コインロッカーの鍵を渡された。

 地下にいる間に届いたかと思ったが、より慎重な取引を御希望らしい。

 ロッカーの場所を教わり、散弾の分も合わせた金額を数えて渡す。

 結構な厚みでの現金一括払いに、王庫おうくらはだいぶ機嫌よさげだ。


「にしても、随分な量だが……戦争でもすんのか」

「ココは日本だぞ。あくまで自衛だ、自衛」


 何か言いたげな王庫だったが、軽くかぶりを振るだけで話を終わらせた。

 二つに分けた紙袋を受け取り、軽い方を瑠佳に持たせて店を出る。

 PCパーツを見たい、というアルジェントに付き合って三軒ほど回った後で、散弾が入れられているロッカーの近くに辿り着く。

 アチコチに防犯カメラがある時代なら、自分が映らないよう通行人に小銭を渡して代行させるが、今はあまり気にしなくていいだろう。


「ん……大丈夫そうだ」


 ロッカーを開けると、安っぽい黒のダッフルバッグが。

 一応中身を確認すると、見覚えのある紙箱が二つ入っていた。

 そこそこに重量感のあるバッグをげ、まずはこの場を離れる。

 アルジェントは平然としているが、瑠佳はちょっと挙動不審だ。

 地元に戻る電車に乗ってからも、ずっと落ち着きがない。


「あんまキョロキョロすんなって」

「だって、さぁ……それ、ホントに使うつもり?」

「そりゃ、イザって時は迷わず使うが」

「どんな時なのさ」

「サメ子がさらわれそうだとか、アリスが殺された後の復讐とか」


 俺の返事に、変な動きになっていた瑠佳から余計な力が抜ける。


「んあー、そっか……そりゃ確かに、イザって時だね」

「できればボクのことも、死ぬ前に助けてほしいんだけど」

「安心しろ、死んだら位牌いはいからハミ出す長い戒名かいみょうつけてやる」

「ボクが死ぬ前提で話を進めるの、一旦やめてくれない?」


 瑠佳はケラケラと笑っているが、いずれ笑えなくなるかもしれない。

 ストーカー対策から始まった騒動が、一応の終息を迎えてからおよそ半月。

 俺たち(コッチ)はともかく、OTR(アッチ)はどう片をつけるのかが疑問だったが、その答えは強引すぎる隠蔽だった。

 元凶である米丸よねまると手下の富田とみたの転落死――事情を知らなければ単なる事故だが、知っていれば間違いなく殺人と認識する状況だ。


 桐子きりこ伝手つてで探ってもらったが、OTR周辺は大混乱のようだ。

 カメラマンの下浦しもうらは連絡がつかなくなり「盛大にやらかしてトンズラこいた」との噂が業界内で公然と語られるように。

 真相は不明だが、アイツも米丸同様に処分された末路まつろ、なんだろうか。

 そして、元ブランクヘッズの二代目リーダー梁瀬やなせは、事務所を移籍するか退所するか、みたいな苦境に追い込まれているらしい。


 元不良って肩書の芸能人はワリといるが、現役連中とガッツリつながっているのは、流石にこの時代でもコンプラ的にマズいのだろう。

 もし役者を続けるとすれば、梁瀬に今後回ってくる仕事は、裏社会との関係性が逆にウリになる、アウトロー系のVシネなんかがメインになりそうだ。

 演技を見たことがないから、惜しむべきなのかどうかわからない。

 だが、叩けば山盛りにほこりが出る身なのに、あまりに行動が考えナシすぎるんで、今回の件がなくても遠からず馬鹿をやって消えた可能性が高い。


「そういや、アリスの手下は何やってんだ? 無事なのか?」

「ケイトたちにぶっ飛ばされてる時点で、もう無事じゃないんだよ」

「まぁそれはそれとして、その後どうなったかって話だ」

世紀末アイドル特捜団(SAT)のメンバーには、詳細を伏せた状態で活動中止を通達しといた。とりあえず、落ち着くまでは動かない方向で。佐久真珠萌くまたまの調査に関わった連中は……キャンディの他は連絡とれない」

「キャンディって?」


 横で聞いていた瑠佳が質問を投げる。


「ああ、飴降あめふりPN(ペンネーム)ね。あいつは両足とヒジの骨折で入院中」

「他の連中の身柄ガラはどうなった。色々と事情を知ってるだろうし、野放しにも出来んだろ。OTRが押さえてんのか」

「ちょっとわかんないな……迂闊うかつに触ると、ボクも危ないから。心配は心配だけど、ボクにとってはボクの安全が一番大事だから、仕方ないよね」

「それはクズの思考すぎない?」


 呆れた調子の瑠佳の言葉も、アルジェントにはまるで効かない。


「弱者なりの生存戦略だよ。自慢じゃないけどさ、ボクが全力で喧嘩してもたぶん、三回に二回はシオリに負ける」

「本当に自慢でも何でもないな!」

「だからシッカリ守ってくれよ、ボス」

「最低限の護身はしてほしいが……いや、武器に頼った方がいいか」


 とはいえ、さっき試射場でさらしていた醜態しゅうたいからすると、筋力が必要な武器を持たせても意味ないだろう。

 前にスリングショット(パチンコ)を使わせてみたけど、全然引けていなかった。

 吹き矢も肺活量が足りない雰囲気だったし、催涙スプレー系が無難か。

 で、あのパチンコをドロップした外狩とがりなんかも現状が不明だ。

 芦名あしなに探らせようかと思ったが、アイツもヤクザに追われてる身なんで、あまり無理はさせたくない。


「ブランクヘッズ関連の情報は入ってないか、アリス」

「アウトロー方面に強い掲示板(BBS)とかさらってみたけど、最近あっこのメンバーが渋谷界隈から消えてる、ってぐらいかな。チームの現状とかはわかんない」

「そうか……引き続き、動向を注意してくれ」


 コチラで頼む前から既に調べているあたり、アルジェントは中々に優秀だ。

 自分の身の安全のために、リスクになりそうな相手を警戒しまくっている、ってだけかもしれないが。

 ただ、「勇敢」「大胆」とめられた連中ではなく、「臆病」「ヘタレ」とさげすまれた連中が生き残ったのを散々に見てきた。

 なので俺からすれば勇敢と無謀、臆病と慎重はニアイコールになる。


「そうそう、消えたっていえばアレだよ。雪枩ゆきまつセンパイの仲間が学校に来てない、ってネネちゃん先輩が言ってた」

「それは、一人残らずいなくなってるとか、そういう?」

「厳密にどうなのか、までは聞いてないけど……たぶん皆が『雪枩一味』として認識してるのは登校してない、って感じじゃないかな」


 幹部の水津すいづには、雪枩がもうダメだとわかる情報を届けておいた。

 信じ難いレベルのマヌケでなければ、仲間にも伝えて避難しただろう。


「やりたい放題に暴れてきて、あいつら敵を作りすぎてるからな。雪枩の本家が壊滅したと知れ渡れば、間違いなく報復が待ってる」


 俺の言葉に、アルジェントが深々と頷いて同意する。


「だろうね。力生の悪評は飽きるほど聞いてたけど、息子――次男の悪事もチョイチョイ流れてたから。本人もだけど、仲間のクソガキが手に負えないって」

「そういや、大輔だいすけは次男だったか。長男の方は評判どうなんだ? 名前も知らんが」

いさましいこころざし、で勇志ゆうじね。良い評価も悪い評価も、どっちも耳に入ってないなぁ」

「地味キャラなのか、秘密主義なのか……この先で敵に回るかわからんが、注意しといた方がいいかもな」


 そんな話をしている内に、徐々に地元が近付いてくる。

 一つ手前で瑠佳が先に降り、俺たちも数分後に最寄もより駅へ到着。

 俺に雇われる立場になったアルジェントは、住んでいたマンションで引き続き暮らすのは不安、ということでとりあえずウチの倉庫で暮らしていた。

 そして母屋おもやでは綾子が居候いそうろう状態で、庭に停めてある車では芦名が寝泊まり。

 単純な人数だけなら、両親が健在だった頃よりも増えている。


「ちょっとコーラとか買ってくる」


 そう言い残し、駅前のコンビニに入っていくアルジェント。

 年齢的にも体型的にも、ジュースをひかえさせるべきだろうな。

 そんなことを考えながら待っていたが、やけに戻りが遅い。

 様子を見に行くか、と店に向かって歩き出したら、自動ドアが開く。

 アルジェントの背後に、見知らぬ男がピッタリ貼り付いている。

 同時に俺の後ろから、聞き覚えのない若い男の声が聞こえてきた。

 

「ハイハイ、大人しくしてな。大事な話あるんで、付き合ってもらうぜ」

時間の足りなさと花粉の猛攻に日々悶絶しております……

それはさておき「面白い」「比較的面白い」「先が気になる程度に面白い」という方は、評価やブックマークでの応援をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
個人的には花粉とかいうカスを猛烈な暴力沙汰で皆殺しにしてほしいですねぇ
ここで次に続くか!主人公を探している勢力がありすぎて相手が推測できないのに。
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