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最低最悪な魔法使い  作者: 春香秋灯
教皇長と魔法使い
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妖精憑きの習性

 ある日、ハガルが血相を変えて、神殿にやってきた。すっかり、教皇ウゲンとは茶飲み友達みたいな間柄になっていたので、距離が縮まったのだ。

「家にカナンが帰っていないって、弟たちがやってきたんですが、どこに行ったか、知っていますか!?」

「いやいや、妖精憑きであるお前がわからないこと、俺たちが知るわけないだろう」

「妖精を付けてないのですか?」

 俺とウゲンとしては、むしろ、ハガルがわからないほうが不思議だ。ハガルは家族に物凄い執着を持っている。絶対に妖精はつけているだろう。

「付けています。だけど、連絡が戻ってこない。香を使われたかもしれない」

 ギリギリと歯ぎしりまでして顔を歪めるハガル。珍しいな、ここまで苛立つのは。

「そこまで警戒されているということは、ハガルを狙った誘拐かもしれないですね。帝国を動かすしかありませんね」

「もっと高い格の妖精をつけておけば良かった」

 俺はわからないが、ハガルが睨んでいる方向に妖精がいるのだろう。ウゲンが目を向けているが、目を細めたりして、どうにか見ようとしている。いやいや、視力の良い悪いとかで、どうにかなるものじゃないだろう、妖精の視認は。

「野良の妖精に聞き込みをするか、ですね。出来ますか?」

「野良の妖精は平気で嘘をつくから」

「そこは、妖精憑きの力量ですね。我々も、学校帰りの生徒が誘拐されたなんて、大変なことになります。聞き込みしましょう」

 そういうわけで、神官たち、シスターたちを招集である。

 一通り、教皇ウゲンが説明するも、半分は、ハガルに一物ある奴らである。まるっきり相手にしていない。

「いつまでも、生家と縁を切らないから、そういうことが起こるんだ」

「たかが一妖精憑きのために、どうして、俺たちが動かないといけなんだ」

「あんな父親だ。娘も、遊んでいるんだろう」

 最後のこれが、ハガルをキレさせた。

「俺の手をかけた妹が、俺に内緒で遊んでるだと!?」

 妖精憑きは自尊心が高い。ハガルだってそれなりに高いのだ。相手がいくら神殿落ちをしたとはいえ、妖精憑きの集団である。そんなのに喧嘩を売るなど、ハガルも、まだまだ若いな。

 どうせ、教皇ウゲンがどうにかするだろう。ほら、神殿最強の妖精憑きはウゲンだ。ウゲンが本気になれば、どうせ、神官もシスターも従わなければならなくなる。

 ところが、そこから神官もシスターも真っ青になる。

「なっ!?」

「バカな!!」

「どういうことよ!!」

 大勢の妖精憑きたちの阿鼻叫喚である。

「どうしたんだ?」

「妖精をハガルに盗られたんですよ」

「へー、そうなんだ」

「ここにいる妖精憑きだけでなく、私の妖精も盗られました」

 屈辱に震えるウゲン。とんでもないこととなっていた。

 俺は見えないからわからない。しかし、とんでもないことをハガルはやっているのだ。

 全員が恐怖に震えている。そんな中、ハガルは妖精憑きたちを冷たく見渡す。

「情報をよこせ。でないと、お前たちの妖精全て、俺の支配下にしてやる」

「ふざけるな!!」

 力づくでどうにかしようと妖精憑きたちがハガルを襲い掛かった。しかし、ハガルは魔法で妖精憑きたちを吹き飛ばした。

「盗られた妖精の攻撃はどうだ?」

 冷笑するハガル。それには、妖精憑きたちは恐怖に震えるしかなかった。

「俺の妹を見かけた奴はいないのか? さっさと吐け」

「見ました!!」

 そして、シスターが手をあげた。


 ハガルの妹カナンが帰宅しようと校舎を出たところ、父親が話しかけていたという。


「あのクソ親父!!」

 とうとう、ハガルの怒りは頂点に達した。これまで、父親を許し続けたハガルだが、妹に何かしらしたことだけは、絶対に許せないことだった。

「情報、感謝する」

 そして、ハガルはその場で妖精憑きたちの妖精を返した。もちろん、教皇ウゲンにもだ。

 ハガルはウゲンに対して膝をついた。

「妖精を盗ってしまう無礼を働き、申し訳ございませんでした」

「いえ、妖精憑きの戦いでは、妖精を盗られた方が悪いのです。相手の力を見誤る妖精憑きは、愚か者です」

 ウゲンは、ハガルをこれまで蔑んでいた妖精憑きたちを見た。彼らは、ハガルの真の力を目で見て、そして、体で理解したのだ。

「いえ、彼らは悪くない。妖精憑きであれば、こういうことは普通なんです。ただ、見たり、聞いたり、感じたものを全てと思ってしまう。そこには、与えられた知識が足りないから、起こってしまうことです」

「私も、わかっていたつもりだが、そうではなかったというわけだ」

 ウゲンは、見えてるもの全てが真実ではない、と今、自覚した。

 しかし、ハガルを蔑んで、妖精憑きの格を落とした者たちは、まだ、納得いかないようで、ハガルを睨んでいた。


 そして、再び、ハガルは父親を神殿に預けることとなった。


「今回は、絶対に許せないことだ」

「ちょ、ちょっと魔が刺して」

「カナンを売っぱらうことは、そういう問題じゃない!!」

 ハガルの父親、とうとう、娘を売ったのだ。

 学校から帰ろうとしたカナンをハガルの父親は言葉巧みに、人買いの所に連れて行ったのだ。もう、向こうでは話がついていたらしく、カナンは抵抗する暇もなく、人買いに連れて行かれた。

 しかし、ハガルは妖精憑きの力で、カナンの売られた先を見つけ、取り戻したのだ。そして、家に帰れば、酒を飲む父親とご対面である。その場で、カナンが父親を殴ったという。女は怒らせると怖いね。

 そして、どうしても許せなくなったハガルは、また、とんでもない寄付をして、父親を一か月、神殿に預けることにしたのだ。

「今回も、ありがとうございます」

「せっかくなので、一通り、裏のほうも、親父に体験させてやってください」

「もちろん、喜んで」

 満面、笑顔の教皇ウゲン。どんだけ寄付と称して、ふんだくったんだ!?

 連れて行かれる父親をだけど、どうしても妖精憑きの執着のため、冷たく突き放せないハガル。悲し気に顔を歪めて見送っている。

「しっかし、どうして娘を売ったんだ? 金に困ってるわけではないだろうに」

 ウゲンの顔を見れば、相当な額を受け取っている。こういうものをポンと出せてしまうのだ。ハガル、かなりの給金を受け取っているだろう。

「親父がバカだから、酒飲みの知り合いに、カナンはいい値段になるんじゃないか、と言われて、鵜呑みにしたんだ」

「最低だな」

「本当にな。カナンをあんな安い値段で売るなんて。帝国中の金貨集めたって、カナンの価値には届かないのにな」

「………」

 論点がずれてくる予感がした。隣りを見れば、ウゲンがうんうんと頷いている。

「そうですよ。私のエズル様には値段なんかつけられません」

「そうだよ!! 今回の寄付金よりも安い値段をつけやがって、あいつらっ」

 怒りの形相となるハガル。えー、どんだけふんだくったんだ、ウゲン?

 ハガルは本当に世間知らずそのままだ。前回同様、今回も、ウゲンに言われるままに寄付したのだ。その額を聞いて、俺は末恐ろしいものを感じた。ハガル、そこら辺の魔法使いとは扱いが違い過ぎる。もう、関わってはいけない奴だよ!!

 しかし、縁を結んだのは元々は俺だ。ちょっと、興味本位でハガルに近づいて、今では、俺に付かず離れずのウゲンまでハガルに懐柔されているのだ。もう、遅いよな。

 ちなみに、カナン、かなりいい値段で売られた。カナンはとても可愛い女の子だ。俺でも、可愛いね、と普通に見てしまう。気立てだっていい。しかも、妖精憑きの身内だ。そういう付加要素いっぱいで、いい金額がついた。あれは、平民であれば一生、遊んで暮らせる額だったな。

 すごいな、なんて俺は思ったが、妖精憑きたちにとっては、まず、額をつけられること自体、許せないことなんだな。気を付けよう。

「もう少しいけたな」

 ウゲン、ハガルの怒り具合を見て、こんなこと呟いた。ねえ、そんなに王都の神殿って、資金繰り危ないの!?

 違う方向で心配になってくる。ウゲンは俺に関わってから、金勘定が細かくなったな。俺のせいだけどね。俺、本当に世間知らずの皇族だから、ウゲンに苦労かけたよ。今は、随分と色々と学んだから、そうではないけどな。

 ウゲンとハガルは、意気投合して、お気に入りの価値観とやらで話題を盛り上げていた。

「しっかし、ハガルは執着がいっぱいだな。ウゲンなんか、俺だけだぞ」

「俺は、その、どうしようもないから」

 俺の何気ない感想だが、ハガルにとっては、あまり良くない話だった。ハガルはそこから口を閉じてしまう。

「妖精は基本、欲張りなんですよ。本能しかない、格の低い妖精ほど、あれもこれも、と欲張りです」

「そうなのか」

「しかし、格が低い妖精は力も弱いので、叶えられません。だから、一見、欲張りに見えやすいだけです。力の強い妖精だって欲張りですが、叶える力があるので、満たされているにすぎません。どの妖精も、格は関係なく、欲張りなんです」

「じゃあ、ウゲンもそうなのか。俺の他にも、欲しい人がいるのか?」

 物凄く意地悪な質問だ。だが、そう言われたって、俺はたぶん、気にはしない。ただの人だから、妖精憑きの執着がわからないのだ。

「いえ、私はエズル様ただ一人です。あなたを手に入れられただけで、十分、幸せです」

 ウゲンはテラスほどの美貌ではないが、やはり、美男子だ。その顔で、幸せそうに笑うのだ。俺のほうが真っ赤に照れてしまう。

 対するハガルは、暗い顔をした。

「俺はダメだな。どれか一つ、なんて選べなくて」

「まだ子どもなんだから、仕方ない。色々と誘惑も多いだろう。何より、家族が大事、というのは、ただの人でも普通なことだ。ハガルは悪くない。それは一般的だ」

「そ、そう、だよ、ね」

 まだ、納得いかないハガル。だけど、年長者であるウゲンがいう事だから、正しいと感じるのだろう。

 いやいや、そうじゃないだろう。俺は声を大にして言いたい。ハガルの執着は異常だ。しかも、悪い方向でだ。

 父親の悪行の尻ぬぐいをしたあげく、全てを許してしまうハガルはおかしい。ただの人だって、あの父親は、金があるなら神殿送りにするよ。実際、ハガルの妹カナンは、父親の所業に泣いて怒り狂っていた。ハガルの弟たち、妹たちも同じだ。

 ハガルだけ、異質だ。そこは、妖精憑きだから、と言われてしまえば、そうかな、と納得しそうだ。

 しかし、ハガルには引っかかるものがある。他にも、あのダメな父親に甘い理由が隠されている。

「とりあえず、一か月間、面談はさせない」

「そんなぁ!?」

 この事は、ハガルにとって、とんでもない衝撃だった。叫んで、立ち上がった。

「せめて、三日に一回でも、親父を見に来るのは」

「ダメだ!! あの一週間でも、大変だったんだぞ。お前は途中、父親を連れて帰ろうとした。お前は、一か月、父親断ちをしろ」

「そ、そんな、耐えられない」

「わかります!!」

「お前は黙ってろ!!」

 ウゲンがまた、ハガルの味方をする。本当に、お前はどっちの味方だよ!?

「だいたい、お前は今、生活の基盤は魔法使いの館だろう。父親ともそんなに顔を合わせるような環境でもない」

「だから、せめて、こうして閉じ込められている間は、じっくり見たい」

「わかります!!」

「本当に、お前は黙ってて!!」

 また、ウゲンが邪魔してくる。ハガルと一緒になって、頷いてるよ。

「妹たちと弟たちはいつでも会えるし、俺のところに顔を見せてくれるけど、親父はほら、ふらふらしてるから、顔を合わせるのも、そうなくて」

「じゃあ、この機会に父親離れしろ」

「可哀想ですよ!!」

「もう、ここから出てけ!!」

「絶対に離れてなるものか」

 邪魔なウゲンを追い出そうとするが、こいつ、俺の腕にしがみついて離れない。くっそ、こいつ、見習い魔法使い時代、かなり体を鍛えていたから、俺も勝てないんだよな。

「わかった。親父も頑張ってるんだし、俺もそれなりに頑張ろう」

 何か決意を固めたようである。ハガルは父親離れをするようだった。





 しばらくして、ハガルの妹カナンが相談にやってきた。もう、俺が皇族だってこと、ハガルの家族はわかっていないよな。いいけど。

 相手は女といえども、教皇ウゲンは容赦なく、絶対に俺と二人っきりにさせない。まあ、カナンだって、男と二人っきりはまずいから、丁度いいだろうな。

「教皇長様、お時間いただき、ありがとうございます」

「いや、ハガルには、その、色々といただいているからな」

 莫大な寄付だ。ついでに、ハガルは弟たち妹たち全てを学校に入れている。大お得意様である。だから、ウゲンも快くカナンの相談に乗るわけだ。

「実は、兄が、女遊びに嵌ってしまって」

「………え?」

「若いですね」

「ウゲン!!」

 迂闊なことをいうウゲン。それを聞いたカナンは泣きそうだ。もう、まだ若いお嬢さんの前でいうことじゃないだろうに。

「何か、理由はわかるのか?」

 まずは、そこである。しかし、わからないから、カナンもこんな神殿に告解まがいの相談に来たわけである。

「まず、どうして、ハガルは女遊びに行くこととなったのか、わかりますか?」

 ウゲンが質問の視点を変えた。いや、さすがにそれはわからんだろう。

「実は、兄が行っている店は、私が売られた先なんです」

 知ってた!!

「兄は私を買い戻すつもりだったのですが、その、店主?は、無償で私を返してくれたんです。そのお礼に、と兄は店に通うようになったのです。最初の一回二回程度と思っていたのですが、随分な回数で、とうとう、身請けの話まで出ていて」

 思っていたよりも、深刻な話である。ハガル、相当、女に傾倒してしまっていた。

「父親の次は、女か。強欲だな」

「お父さんに会えないから、こうなったのですか!? お父さんを連れ戻せば、お兄ちゃんも戻ってくれるでしょうか」

「それは、はっきりとは言えませんね。まずは、ハガルと話しましょう」

 ウゲンでもわかりかねる問題だった。

 そうして、次はハガルを強制召喚である。

「親父に会わせてもらえるんですか!?」

 あ、これ、全然、父親離れ出来てない。

 開口一番、父親である。あと少しで、父親の拘留期間一か月だというのに、父親に会いたいで一杯だ。

「まずは、話からだ。ほら、座りなさい」

「親父は?」

「お前の妹から話は聞いた。女遊びに嵌っているとか」

「ダメですか?」

 全くもって悪く思っていない。それどころか、女遊びを良いことと思っている。

 まあ、悪くはないな。女遊びは双方にとっていい事だ。ハガルが通い詰めている女たちは皆、売られた先だ。客に金を落としてもらえば、その内、自由になれるわけである。そして、男たちは女に金を落として、いい思いをするわけだ。

 なんて考えが一瞬で脳裏をかすめた。いかんな、俺も汚れた大人だ。

「お前な、まだ思春期の妹がいるってのに、そんなに嵌るのはどうかと思うぞ」

「あ、そ、そう、ですね」

 妹のことを違う側面で出してやれば、ハガルもさすがにまずいことに、やっと気づいた。自覚が遅いよ!!

「けど、俺、こんな地味な見た目だから、つい、女の子たちが誉めてくれるのが嬉しくて」

 あー、これ、女遊びに嵌る典型的なやつだ。

 ハガルは見た目はこう言ってはあれだが、地味で平凡なんだ。身に着けたものは凄いんだけどな。

 しかし、世の中はやっぱり見た目なんだよ。ハガルみたいに見た目がイマイチだと、女はどうしても寄ってこない。だから、金を落として、女の子にちやほやされたいわけだ。

「せめて、妹たちがそれなりになるまで、待っていてもいいだろうに。そこまで歳も離れていないだろう」

 妹のカナンでさえ、二歳差である。末の妹がもう少し成長してからでもいいはずだ。

「最初は、親父の気持ちを理解したくて、始めたことなんだ。だけど、思ったよりも楽しくて」

 きっかけは父親だったんだー。どこまでも、ハガルはあのダメな父親に執着しているな。

 ようは、女遊びに嵌ったのも、父親が原因だ。このまま、父親の悪い癖を後追いするのだろう。親子で、よくある話だ。

「だからって、身請けの話まで出てるというじゃないか」

「仕方ない。俺の好みの女が出てきたから」

「そんなのがいるんだな。見た目か? 性格か?」

「えーと、見た目?」

「ダメだろう!!」

 一番、あかんヤツだ!! ハガル、中身なんてどうだっていいんだ。

「ハガル、身請けした女性は、一度、私に見せてください」

 しかも、ウゲンは止めない。それどころか、見たいとか言い出しやがった。

 ウゲンが味方となってくれるので、ハガルは喜んで頷く。もう、この後、カナンにどう説明すればいいんだか。

 結局、ハガルを説得出来ないまま帰すこととなった。ちなみに、父親の面談はさせなかったが、遠くでちょっと見せてやった。無茶苦茶喜んで、寄付してったよ。

 ハガルを見送って、俺は憂鬱になる。対するウゲンは追加の寄付でご満悦である。

「なあ、そんなに神殿は金がないのか? 教皇長としての予算を神殿に振ってもいいんだぞ」

 心配になってきた。

「まさか、エズル様のお金は、エズル様のために使うものですよ。そんな必要はありません。神殿の資金は、王都だけではありません。帝国全土にある全ての神殿に資金は必要です。そういうことです」

 王都の神殿は、ウゲンがしっかりしているからいいが、目の届かない他の神殿はそうではない。場所によっては、資金繰りが苦しいのだ。ウゲンは、どの神殿も平等になるように、寄付金を一括管理して、きちんと平等に割り振っているわけである。

 本来、こんなことはしない。王都は王都、他の神殿は他の神殿だ。寄付は受けたその神殿で使われていた。しかし、各地の神殿の資金繰りを見て、各地の教皇からの報告から、ウゲンが仕組みを変えたのだ。

 俺は教皇長であるが、そういうものを見たりする資格はない。何せ、皇族だ。神殿は、別団体である。そこをしっかりと区分するために、俺は関わらせないようにウゲンはしていたのだ。

 思ったよりも苦労をかけていることに気づかされる。だから、労うように抱きしめる。

「いいですよ。これも、エズル様を選んで得られた貴重な経験です。私の受けるものすべて、エズル様から与えられたものです」

「悪いな」

「同じです。ハガルにとって、父親の悪行の経験は、父親から受けるものです。それも喜びなんですよ」

「もっと健全なものを真似ようよ!!」

 最後は妖精憑きのよくわからない習性である。本当に、どうしようもないな、妖精憑き!?

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