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最低最悪な魔法使い  作者: 春香秋灯
教皇長と魔法使い
15/38

皇族を殺す毒

「ありがとうございました」

 ハガルは深く頭を下げた。スーリーンが泣き疲れ、眠ったところで、やっと解放され、秘密の部屋から出てこれたのだ。

「この魔法、ハガルでも解除出来ないのか?」

「技術が載った本がまだ、見つかっていません」

「まだ?」

「ここだけの話にしてください」

 ハガルは周囲を注意していた。誰か、警戒する相手がいるのだろう。

 筆頭魔法使いの屋敷はハガルの支配を受けている。それを使って、何か調べているようだ。宙を見たりしている。

 ハガルの支配域であるが、ウゲンも妖精に何かさせていた。

「屋敷にいるのは、私の妖精ぐらいですよ。妖精憑きも、地下を除けば、屋敷内には見られませんね」

「魔法使いの裏切者でもいるのか?」

「テラスに関係あります。私にとっては、ちょっとした遊び相手ですよ」

 警戒しているが、ハガルにとっては大した相手ではないのだろう。嫣然と微笑んだ。

「賢者テラスの想い人である伯爵令嬢サツキは、道具作りの一族です」

「? 聞いたことがない話だな」

 皇族教育でも、皇帝教育でも、ましてや、神殿の書物でも、聞いたことも、見たことすらない話である。

 ウゲンも、アイオーンも首を傾げた。

「遥か昔、そういう記録は全て焚書されたはずでした。ところが、伯爵令嬢サツキの生家に残っていました。正確には、伯爵領にある邸宅型魔法具に保管されていました。そこで、色々と読みました」

「それは、とんでもなく、すごいことじゃないのか?」

「そうですが、それを表沙汰にするわけにはいきません。伯爵家は、今も問題を抱えています。伯爵の当主は決まらず、領地もどんどんと悪くなっていき、借金まであります。そこに、貴重な本があると知られた途端、違う争いが起きます。だから、邸宅型魔法具の存在すら、私はラインハルト様にも隠しました」

 ハガルは、ラインハルトに全てを語っているわけではなかった。それは、賢者テラスもだろう。全て知っているのならば、ラインハルトは伯爵領にある邸宅型魔法具を表沙汰にしているはずだ。ラインハルトならば、どうにか出来ただろう。

 賢者テラスが沈黙した理由はなんとなくわかる。伯爵令嬢サツキの所有物だからだ。妖精憑きとしての執着が強く出て、隠したのだろう。

 しかし、ハガルがラインハルトに話さなかった理由がわからない。

 その疑問が俺の顔に出たのだろう。それを見て、ハガルは苦笑した。

「私はラインハルト様にただ大人しく従う犬ではありませんよ。きちんと、帝国のことを考えています。私が邸宅型魔法具の存在をテラスから引き継いだ時、話すかどうか、テラスは私に判断を任せたのでしょう。ですが、あれをどうにかするための寿命をラインハルト様は持ち合わせていませんでした。きっと、テラスが邸宅型魔法具の鍵を手に入れた時も、同じことを考えたはずです。あれもまた、テラスから私への試験ですよ」

 俺が思っているよりも、テラスも、ハガルも、非情であった。報告しなかったのは、感情の上ではなかった。表沙汰となって、いざ、大問題となった時、解決する時間が必要なのだ。

 実際、伯爵家の領地問題は、数十年単位の月日をかけても解決していないのだ。

 つまり、それほどの時間をかけないと、邸宅型魔法具の問題は解決出来ないとハガルは読んでいるのだ。

「それをどうして私とエズルに話すんだ?」

「話の流れから、仕方なくです。つまり、秘密の部屋の魔法を解く方法が見つかっていない、ということです」

「え、伯爵家が所有する邸宅型魔法具と、その中の貴重な本をどうにかする話じゃないの!?」

「あんなもの、表に出すのですか? 面倒臭い。テラスがやらなかったから、私だってやりません。だいたい、あんなものなくったって、今だって、それなりに生活できているではないですか。本当に必要ならば、もっと必死になって探すものです。本気になって探せば見つかります。まあ、帝国の歴史の恥だから、という理由もありますが、面倒臭くなったんですよ。恥なんて、言い訳に使っただけです」

 言い方が酷いな。こういう所、ハガルは平民育ちだな、なんて思い知らされる。

「で、道具作りの一族って?」

 しかし、疑問が残る単語がある。それって何?

「そこの話はありました。大昔、神は、皇族、妖精憑きの一族、道具作りの一族、戦の一族、妖精殺しの一族を作ったんです。

妖精憑きの一族は、血族で妖精憑きを増やせる一族です。本来であれば、神の気まぐれで誕生する妖精憑きですが、道具を動かす上で重要のため、補助的に神によって作られました。

道具作りの一族は、今も生活を便利にする道具から、この契約魔法で動く邸宅、そういったものを作れる力があります。道具の修理や分解も、この一族は出来ると言います。

戦の一族は、そのまま、戦に秀でた一族です。帝国が敵国と戦う時に、この戦の一族を前線に出すことで、勝利を納めていました。

そして、妖精殺しの一族は、手がつけられない妖精や妖精憑きを殺す一族です。特殊な香を使って、妖精を狂わせ、族長は自らの体を薬で改造し、妖精の魔法を効かなくして、妖精憑きを殺すことが出来ます」

 とんでもない、壮大な話である。確かに、表に出すのが難しいな。俺でも、聞かなかったことにするだろう。

 アイオーンはというと、真っ青である。聞いてしまったのだから、どうすべきか、皇帝として悩んでいる。

「アイオーン様、伯爵家は、なかなか面倒臭い話なので、関わらないほうがいいです。いずれ、時が来た時、導かれるように、何かが動きます」

「だが、道具問題は今も大変なことになっている」

「そうです。ですが、解決するには、神がかりな力が必要です。遠い未来に、必ず、この問題を解決する化け物が出てくるでしょう」

「それは、ハガルではない?」

「私ではありません。こういう問題事を解決するのは、皇族と決まっています。まだ、生まれていないのですよ、そういう皇族が」

 ハガルは俺やアイオーンが知らない何かを知っている様子だ。それは、伯爵家が持つ邸宅型魔法具の中で知ったのだろう。だから、あえて、”神”を出したのだ。

「ハガル、魔法使いが入ってきた」

「では、話はここで終わりです。他言無用ですよ」

 警戒している魔法使いなのだろう。ウゲンに言われて、ハガルはこの話を終わらせた。



 それからしばらくして、皇帝アイオーンは、皇位簒奪を企てた皇族ハイラントとルーベルトを処刑した。



 とうとうやったか。その報告を聞いて、俺はそう思うしかない。何故って、そういうものだからだ。

「アイオーンは大丈夫か?」

 アイオーンにとって、ハイラントとルーベルトはかけがえのない悪友だ。皇帝だからといって、簡単に切り捨てられるような存在ではない。

「城からの呼び出しですよ」

 ウゲンが、召喚状を出してきた。うーわー、アイオーンからだよ。あれだ、アイオーン一人では対処出来ない問題が出たんだな。

「怖い怖い怖い怖い!! 絶対にまだ、残務処理だよ!! もう、俺、神殿でウゲンと放蕩に耽りたい!!!」

 俺はウゲンに抱きついて半泣きだ。不真面目な教皇長やってれば良かった。俺、真面目に教皇長してるから、評判が良過ぎた。

「私もそうしたいのですが、お迎えが来ています」

 召喚状を持ってきたのは、筆頭魔法使いハガルだ。ハガル、嫣然と微笑んでやってきた。

「召喚状って、召喚されるその日にするもの?」

「逃げてしまいますからね。ウゲンと一緒でいいですから、行きましょう」

 問答無用だよ。逆らえないよ。だって、帝国最強の妖精憑きだよ、ハガル。俺の妖精憑きでは勝てないんだよ。

 諦めて、俺はハガルと並んで神殿を出た。

「皇位簒奪、処刑で終わったんじゃないのか?」

「毒が使われました」

「効かないよな?」

「妖精殺しの毒ですよ」

「それって、もしかして、妖精殺しの一族がどこかに残っている、ということ?」

「それはまあ、どうだっていい話です。そういう毒を持ち込んだのが誰か、ということですよ」

 ハイラントはハガルの策略により、体術と剣術を封じられた。だから、皇位簒奪は失敗に終わるとわかっていたのだ。それを毒で成功させようとしたのだ。

 ハイラントは、残念ながら小悪党で、ぼんくらだ。そんな知恵はない。つまり、それを授けた者が別にいたということである。

「毒の入手経路は?」

「ハイラントの母方の血族が代々、隠し持っていたことが、今回のことで発覚しました。外部から持ち込まれていません」

「まだ、残ってたんだな、皇族として」

「私は真面目に皇族の儀式を行いましたよ。その時は、まだ、スーリーンは売られていませんでしたから。たまたま、ハイラントの母方の従姉妹、従兄弟は皇族失格になっただけです。深読みしすぎです、アイオーン様も、エズルも」

 ハガルの逆鱗は、スーリーンを人買いに売られた事だ。その前まで、スーリーンをいじめていたハイラントの母親とその血族には、蟠りは持っていなかった。

 城のさらに奥の皇族の居住区に入った。皇位簒奪が起こっただけでなく、皇族をも殺す毒が出てきたことで、空気が悪い感じだった。そこをハガルの案内で進んで行った。

 いつもの、何か儀式や食事会があると行われる広間である。そこに、限られた皇族が、ハイラントの血族を拘束して囲んでいた。

「これから、部屋を徹底して探す。万が一、他の部屋で見つかるようなことがあった場合、その血族も捕縛対象だ」

 アイオーンが命じれば、皇族たちは動き出した。この問題、外部の人を入れられないのだ。万が一、毒を外に持ち出された時、大変なこととなるからだ。

 俺がハガルに連れられて来たことで、アイオーンは少しだけ、肩の力を抜いた。

「すみません、お呼びたてして」

「いや、皇位簒奪に毒を使われたと聞いた時は驚いた。殺せるんだな」

「ハガルのお陰で、命拾いしました。ですが、これで、処刑するべき皇族が増えました」

 拘束され、震えるハイラントの血族たち。彼らはせっかく皇族として残ったというのに、ハイラントのせいで、処刑されるのだ。

「何故、あの毒を渡したんだ!?」

 ハイラントの祖父は祖母を責めた。そして、ハイラントの血族たちは、祖母を睨んだ。

「ハイラントが皇帝になると言ったからです!! だから」

「あれが表だった時、我が家を破滅させるものだと、説明しただろう。あの毒は、万が一の、皇帝や皇族で、間違いを犯した、手がつけられない者に使うために、ずっと隠し持っていたものだというのに!?」

 ハイラントの祖父は立派な人だ。大昔、そういう役割持ちの皇族だったのだろう。だが、歴史の闇に消えていったのだ。それでも、ハイラントの祖父は、その忘れ去られた役割を忠実に守っていたのだ。

 だが、それをハイラントの祖母は悪用した。この女は外から嫁いできたのだ。そんな心がけなんてない。

「お前といい、ハイラントといい、本当に、どうしようもないな。お前が浮気で作った娘と孫に、我が家を潰されるとは」

「あの子は、皇帝ラインハルトの子ですよ!!」

 そういうハイラントの祖母。それを聞いて、ハイラントの祖父は嘲笑った。

「何も知らないと思っていたんだな。ラインハルトは呪いによって、子が作れない体だった。それなりの立場だから、ワシは知っていた。だが、ラインハルトが不利となることだから、黙っていてやったんだ。お前のためじゃない。ラインハルトのためだ」

「そ、それは、その」

 ラインハルトが子を作れない事実をハイラントの祖母も知っていた。だから、焦って、周囲を見回した。味方なんていない。この祖母がやったことで、今、皇族として、真面目に生きてきた血族は滅ぼされようとしているのだ。

 そして、ハイラントの祖母は何か思い出したように、アイオーンを見た。

「知っているわ。皇妃のお腹の子は、ハイラントの子よ。この男も、子が作れないのよ!!」

 とうとう、俺の中では我慢の限界だった。俺は、ハイラントの祖母を蹴った。皇族同士だから、ハガルの妖精は動かない。だから、ハイラントの祖母は無様に転がった。

「な、何を」

「俺が処刑する。ハガル、妖精殺しの剣を持ってこい。あれだったら、俺でも殺せる」

 我慢ならないのだ。真面目に生きている皇族はたくさんいる。この場で捕縛された皇族たちだって、真面目に仕事だってこなしてたんだ。それを腐った皇族一人が台無しにした。

 覚悟出来ていないのは、ハイラントの祖母だけだ。それ以外は、きちんと覚悟して、じっと待っていた。

「アイオーン様、この血族たちを私にください」

 ところが、ハガルは生かす方へと進めていく。

 ハイラントは殺された。ハガルにとって、ハイラントに連なる血族は、生きているのも許せないはずだ。特に、ハイラントの祖母は、もっとも生かしておいてはいけないのだ。

 だが、アイオーンは優しい。生かしておけるのならば、とふと、それに縋るようにハガルを見た。

「良い皇族です。それならば、私の実験も手伝ってもらえますね。ほら、契約紋のせいで、私は皇族に手が出せません。だから、あなた方が私に代わってやってください。ちょうど、地下に、いい感じの皇族がまだ生きています」

 そして、ハイラントの祖母を見て笑うハガル。

「実験体がもう一人、増えました。確認作業も出来ます」

 そんな生易しい考えなんて、ハガルにはない。ハガルは人の命を玩具にするのだ。それが許される人で遊ぶ。

 今、目の前に、命を弄んでも許されるハイラントの祖母がいる。血族からも見捨てられたハイラントの祖母を誰も助けようとはしない。それどころか、ハイラントの祖母を罰する手伝いをハガルに命じられるのだ。

「わかった。これから出る毒保持者も全て、ハガルにまかせよう」

「ありがとうございます」

 そして、アイオーンは後ろ暗い事全て、ハガルに押し付けた。

 ハガルは、アイオーンのために、逃げ道を作ったのだ。そして、アイオーンはそれがわかって、暗く笑った。





 徹底的の家探しまでされて、結局、毒は発見されなかった。皇族を殺せる毒の存在を知らない皇族たちは、突然の家探しに苦情を訴えたが、皇位簒奪の証拠探し、なんて言われてしまったら、大人しく従うしかなかった。

 今回、最も気の毒なのは、アイオーンのもう一人の悪友ルーベルトだった。

 一通り終わった後、アイオーンは吐き出したいのか、わざわざ神殿にやってきたのだ。もう夜も遅いということで、俺は酒を勧めた。もう、泊まりだな。

「ルーベルトは巻き込まれたんだ。私にはハガルが味方したから、ルーベルトはハイラントに味方した。ただ、それだけだ。こうなるなんて、思ってもいなかったんだ」

「真剣に毒が塗られていることも知らなかったのか?」

「どうだろうな。けど、死ぬとは思ってもいなかっただろう。ほら、妖精の加護があるから、毒なんて効かない、と考えたんじゃないかな」

 普通の毒であれば、まず、毒を持ち込んだ相手に妖精が復讐するのだ。しかし、皇族同士だから、妖精は復讐出来ない。結果、毒殺されそうになった事実すら気づかないことが普通にある。

 よくよく考えれば、ルーベルトは、毒が塗られていたと知っていても、大丈夫と思っただろう。そういうものなのだ。

「だったら、生かしておいても良かったんじゃないか?」

「私は、随分とハガルに毒されたんだな。色々と考えて、殺すしかない、と気づいてしまった。ルーベルトはこの先、問題を起こすだろう。それが見えていた。実際、今は、助かっている」

「問題って、どんな?」

「まだ、メリルが残っている」

「皇妃だぞ」

「私は、ハイラントとの浮気を許していた。私は、皇帝となったため、仕方なく、メリルと結婚しただけだ。メリルはハイラントのことを愛していたから、結婚をイヤがったんだ。それをハガルの口車に乗って、浮気前提で、名前だけの皇妃になったんだ」

 ハガル、本当に容赦がないな。

 しかし、矛盾を感じる。メリルにはハイラントとの浮気で出来た子がいる。それを生かしておくことを許すようなハガルではあるまい。

「どうして、ハイラントの子をハガルは許すんだ? ハイラントは許さなかったのに」

「ハガルは、誰かから聞いた話だと言っていたな。段階を踏むそうだ。一度目は許し、二度目も許すが、三度目は許さない、と。ハイラントは、三度目だから許さなかった。同じことをメリルとその子は試されるんだ」

 そう言って、アイオーンは一気に酒を飲み干し、横になった。

「皇帝になりたくなかったから、手を抜いたってのに」

「ハガルは全てお見通しだったんだな」

「そうだよ。うまくいかないものだ、私もハガルも」

「………」

 皇帝になりたくないアイオーンに、スーリーンを本当は秘密の部屋に閉じ込めたくなかったハガル。

 どこで運命がねじ曲がったのか? と思い返してみれば、皇族の儀式だ。あの時、ハイラントがスーリーンを城から連れ出して、人買いに売ったりしなければ、全て、丸く収まったのだ。

 ハイラントが死んだのは、自業自得なのだ。それは、ハイラントの母、祖母にも言えることだ。自業自得だ。身の程をわきまえていれば、ハガルは何もしなかった。

「よし、側室をとろう!!」

 悩みながら酒を飲んで、アイオーンなりに吹っ切れた。

「皇妃が許すのか?」

「これ以上、増えないとわかっているんだ。文句なんて言わせない。どうせ、俺に触れさせもしなくなる。もう、別居状態だ。だったら、先帝に倣って、私もそれなりの女に手をつけよう」

「ラインハルトみたいなことだけはするなよ。もう、凄かったからな、あいつ」

「話で聞いたことはある。そういえば、皇族ではない、どこの誰かわからない女を随分と長い間囲っていた、という話があったな。子どもの頃、夜は皇帝の私室に近づくな、ときつく両親に注意されたが、あれは、まさか」

 アイオーンは、とうとう、ハガルとラインハルトの関係に気づいたのだ。

 皇帝の儀式は、ラインハルトの代でなくすこととなった。だから、儀式として使われた施設もハガルによって消し炭にされた。それを確認したのは俺だ。何せ、あの儀式には神殿が関わっているのだ。あの施設を消し炭にしたハガルが、晴れ晴れと笑っていた。よほど、イヤだったんだろうな。

 ここで疑問なのは、ハガルはアイオーンの前では常に偽装しているようだ。だが、アイオーンは皇帝だ。ハガルはいつまでも、その姿を隠しているわけにはいかないだろう。

 しかし、その真実を知っているかどうか、俺はあえて訊かないことにした。お互い、知らないままほうがいい事もある。面倒臭いし。

 というわけで、俺は酒を飲み過ぎて、その日のことを忘れることにした。

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