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9.フィーネは模擬戦をする


「次、模擬戦やりたい奴は挙手をしろ」


 フィーネにとって、見慣れない男の先生が模擬戦を仕切っていた。



「私、行きましょうか」


「わかった。それじゃあ、相手は――」


 先生が対戦相手を探そうとした時、レオンが挙手をする。


「俺様だ、俺!」


 模擬戦用の木でできた剣を、強く握りしめている。


「かなり強気みたいだけど、手加減しなくてほんとに大丈夫……?」


「どういうことだよ?」


「貴方が何か悩み事を抱えてるのは理解できるのだけど、私を倒してどうしたいの? もしかしたら、単なる嫉妬なのかなー?」


「くそっ、とにかく俺が勝てば良いんだからっ……!」


 レオンは全力で距離を詰めてくる。


 そして、フィーネから見て右方向からの剣。


 ――は、空を切った。



「うーんとね、単純に動きが遅い」


 フィーネは斜め方向にジャンプしていた。空中で少し体をひねり、角度を出す。


 コンコンカンコンコンコッ――――――。


「ぐっ、重い……」


 持っているものが如意棒じゃないので、そこまで圧力をかけれない。それでも充分かも。


 追撃のもう一発。今度は角度を浅くして、簡単に受けきれるようにするつもりだ。


「また、重い……」


「別に魔法で重くしてるわけじゃないので」


「なんだとー!」


「ちゃんと言っておくけど、舐めて掛かると痛い目みるかもね……?」


「くそっ、俺は有名なお兄様の元で鍛えてもらっているんだよ。学園内でも俺が一番強いと思っていたのに」


 レオンは歯を食いしばり、全力で縦に振りかかる。


「やあああー」


「なるほどね。アリス、スキルの使用を許可します」


『我がマスター、かしこまりました』


 アリスは魔法を発動する。対象はレオン。弱小にするステータスは、右腕の腕力のみ。


 ポカーッ。


 次の瞬間、木で出来た一本の剣が空中に舞いあがった。


 これは、フィーネが持っていたもの。


「やっぱり右手、ちょっと力みすぎ。あんまり力加えると、剣での受け流しが上手くいかなくなるよ?」


 ここは潔く身を引くと同時に、軽くアドバイスを添えてみた。



「ほんと……俺、いま何が起こっているんだ……?」


 それ以上に、レオンにとって衝撃が大きかったのだろう。


「勝者、レオン! だが……怪我とかしてないか?」


 男の先生は、フィーネを気に掛ける。


「私は平気ですよ」


「それならよかった。じゃあ、次は――」


 フィーネの番が終わって、大きめの円形をつくって先生を取り囲むクラスメイトの視線から外れた。


「お前、手を抜いたな……今度は本気でやってくれ……」


 勝ちを譲ったのに、粘着か……これは面倒になりそう。


 文句を垂れ流しに来たレオンは、とても悔しがっていたのはたしか。


「授業の最後に、もう一度勝負だ。但し、今度は魔法使うのあり、剣以外の武器の使用も許可でどうだ」


「断ります」


「えっ、なんで?」


「それやって大怪我でもしたら、皆が困りますので」


 本当は手を抜かないとなるとアリスのデバフスキルで全能力を最弱にした上で、如意棒を振り回して即終了になってしまうから。


 もっとふさわしい敵にして使いたいけど、卒業するまでは厳しそうかな。


 その分、魔法について知恵を蓄えておきたい。


 あとはアリスに対しての魔道書探し。


 レベル五以上の人格についての魔道書を見つけないといけない。


 期間は決まってないが、遅くても卒業するまでには見つけたいと思っている。そう考えると私ってやるべき事いっぱいあるなーって。


 貴族の男の子相手に全力で潰しに掛かるとかの余裕は、とっくにないのである。


「お、覚えとれよ!」


 捨て台詞を吐いたレオンは、一足先に教室へ戻っていく。戻ったというよりかは隠れた扱いになるのかな……?



 なんだかんだで全てのペアが終わり、本日の授業は全て終了した。


 フィーネは黙って学生寮へ入り、自分の部屋に籠もる。



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