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8.フィーネ、挑戦状を受ける


 剣の訓練が二時間、歴史が一時間、魔道書を使った授業が一時間、算数一時間、道徳が一時間。


 途中、一時間半の昼休憩があって、拘束は累計七時間半――。


 レゾナム学園の時間割はこんな感じだった。


 そして、フィーネはクラスの中で特に浮いている存在になっていた。



 ……だいたいは自分の不注意によるもの。自業自得だ。


 アリスが他の者に見えないから、変なひとり事を口にするという噂が絶えなかったのである。


 あと、自己紹介ではきっちりと貴族の身分を隠したはずなのに……すべて筒抜け……。


 どうしてなの……?



 まぁ、気を取り直していくしかない。次は算数の授業だっけ?


 さっさと準備して――。


 教室でクラスの中を観察していると、男の子のひとりが、チラッとこちらを見てきた。


 あの子はたしか、レオンと言ってたっけ。


 私と同じ貴族であり、剣の達人と呼ばれる冒険者のお兄さんがいる。


 彼とは直接お喋りしたことないからよくわからないなーと思いながら、算数の授業を受ける。


 算数程度なら前世の記憶がまるまる生きるので、特に困ることはなかった。


 レベル的に言うならば、小学四年生くらいの内容だから年齢の割にそこまで難しくないのか。


 あるいは、問題のレベルが日本の義務教育より低めになっているのか。


 どちらにせよ、私にとっては簡単だから先生の機嫌さえ損なわなければ大問題に発展しない。



「お前、次の模擬戦で相手になれ!」


 算数の授業が終わった後、レオンはフィーネに声を掛けた。


 いきなり何なの? この私に宣戦布告とも捉えれる状況に戸惑いを隠せない。



「えっと……これは受けた方が良いのかな? 後悔しないのかな?」


「そ、それは……なんとかなるはずだ!」


 意地を張るレオンは、汗だくになっていた。


「別に怖がってるんじゃねーぞ!」


 威厳な態度とは裏腹に、徐々に距離をつくられている気がする。


 細かいことを気にしても仕方ない。


「模擬戦の相手をしましょう」


 最初は様子見して、手加減をするつもりでいく。


 そう決めていた。


「デバフスキルの使用は許可しますか?」


 グランドに集合した直後、アリスに問いかけられた。


「うーんと、模擬戦では使わないでおこうかなって。万が一こちらの剣が吹き飛ばされたら、おとなしく負けを認めたほうが丸く収まりそうだしね」


「かしこまりました」


 アリスは静まり返って、どこかお空の一点に目線を向けていた。


「最強のデバフスキルを使えそうな機会がまだなくてごめんね。アリスには、今回も見守っておいてほしいから……」


 負けられない戦いのように見せかけて、上手いこと手抜きをする。


 学園を卒業するまでは、できるだけ前世の記憶に頼った手の内を明かさないようにしておきたい。



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