18.コクバの行方はどこに
(コクバは一体どこに……?)
ギルドハウスのドアを勢いよく開けたのは良いが、やはり誰もいないのである。
「アリス、今日ここで魔法を使用した形跡が残っていないか、調べることが出来ますか?」
「……スキャン開始。…………検索の結果、本日こちらで転送の魔法が発動した痕跡を見受けられました。回数は一回です」
「転移魔法……」
魔法の使用。
しかも一回だけと考えたら、エリシアの仕業で間違いない。
「転移先はこの村の中ですかね……」
「追加検索。――該当者はこの村に現在いません」
「アリス、ありがとうね……」
肩の力を抜いたフィーネは、小難しい顔をする。
この村にはもういないとなると、探すのが少し手間が掛かる。エリシアは昇格試験と言っていたから、転送先もそこまで遠くないと思うけれど……。
「あーもう、探すしかない!」
再び外に出たフィーネの髪が靡く。
カラっとした水気のない生ぬるい風が、どばっと押し寄せてきた。
それは居心地のよいものではなく、どことなく殺伐としているというか……。
「違和感……これは……」
足元の茶色っぽい雑草が目にとまる。
もしかして、枯れている……。となれば、この周辺は……。
村に入った時は全くもって気づかなかった。
生物の気配が、村の中で感じられないことに。
「でも、なんでこんなところにギルドハウスがあるのだろう……」
坂道を登った先にある村ということは、それだけでも冒険者が足を踏み入れにくい地域ということになる。
冒険者が踏み入れにくいというのならば、そのギルドハウスも栄えることはない。
でも、この村には住宅跡地がある。
それらがあるということは、過去には栄えていた時期があったのかもしれない。
「うーん、この村……歩けば歩くほどよくわかってくる……」
歩くこと早十数分、リ・エンジュ村全体の雰囲気が掴めてきた。
まずわかるのは、圧倒的に生物がいない事に尽きる。これでもかというほど素材が見つからない深刻なレベルであり、モンスターは湧かないけど、とにかく殺風景である。
二つめに特徴的なのは足跡だ。まるでサラリーマンが右往左往していたような靴の足跡が、至る所で見つかった。
それらは枯れた雑草にも隠れていて、パッと見ただけなら認識できないが、よくみることによって簡単に足跡を確認可能――つまり?
……この程度では、コクバを探す手掛かりに繋がらない。
どうしたものか。
これは困った。
うーんと、そうだ。
アリス、別のことでちょっと調べてほしいことが。
「この周辺にモンスターどれくらいいますか?」
「アリス、検索します。――検索の結果、近辺の森にモンスターが複数体、息を潜めて待機中。モンスターは、コカトリスのみ。数は六」
「ありがとう。――コカトリスがいるのか」
コカトリスが落とすコカトリスのくちばしは、フィーネにとって必要な素材だ。
コクバより先に該当モンスターのひとつを発見してしまうのは想定していなかったが、このチャンスをものにしないと先に進めない気がしてきた。
「ごくり、初めてのモンスターの討伐……」
フィーネは如意棒を森に向けて構え、突撃する体制を取る。




