10.アリスに聞いてみる
「アリス、ひとつ聞きたいことあるのだけど時間とか大丈夫ですか?」
「はい。答えられる範囲内でしたらお答えしましょう」
「魔道書って、自分の手で作り出すことはできるのでしょうか?」
一晩頭の片隅で悩み続け、これが一番手っ取り早そうだと判断したから、質問を投げてみたのである。
アリスは少し間を置いた後、口を開く。
「それは可能であります。但し、制約もございます」
「ふむ、制限次第……?」
「魔道書の裏面にはレベルの記述があります。各魔道書は、魔力を蓄える力が作用しているのですが、蓄えれる量はレベルに依存して大きくなります。その値が大きいものほど、魔力蓄えることができ、強大な魔法を解き放つことができます」
「つまるところ、高レベルの魔道書にはそれ相応の素材も必要になってくる、という認識で大丈夫ってことかな?」
「左様でございます」
「わかりました。それで、人格レベル5の魔道書を作る際に必要になる素材って何になるのでしょうか?」
「検索中――。検索の結果、人格レベル5の魔道書作成にあたって必要な素材を5つ検出しました」
「5つもか……」
とりあえず書き出しておきたい。
部屋の中にメモ書きとペンあったかな……?
もしかしたらないかもしれない。
「メモに関してでしたらアリスが把握しておきますので、紙を用意する必要はございません」
「そうか……。じゃあ、口頭でお願いします!」
フィーネはその場で一礼する。
そしたら、アリスが素材の名をひとつずつ口にしていく。
順番は採取する難易度が低いものから。
○ブルースライムのシャボン玉。
○水鏡の欠片。
○銀の砂。
○コカトリスのくちばし。
○ブラックドラゴンの羽。
ひとつずつで大丈夫らしいけど、アリスにパッと聞いた限りでは、取るの自体がどれも難しそうに思えてきた。
それでも、アリスのために頑張りたい。
まずは素材について、詳しく知る必要がある。
素材に詳しそうな知り合いといったら、商人の顔が浮かんでくる。
よし――。
後日、コクバに聞くしかない。
採取するにあたって注意すべきこととか、何かしらアドバイスをもらえるなら是非聞きたい。
フィーネは、次のお仕事がある日が待ち遠しくなった。