お嫁さん3号
人間の世界では、魔族は物を壊すことができず、人を傷つけることができない。
やろうと思えばできなくはないのだが、非常に手間がかかってしまう。
人に憶えてもらうために、何度も何度も会って接して、それでようやく覚えてもらえるように……。紙を破るにしても、十回も二十回も破って、それでようやく修正されないようになる。
これが何を意味するかと言えば、物を食べるにも何十倍も咬まないと『食べた』ということにならないのだ。
できなくはないが、普通に嫌だろう。
そのため魔族は、魔界から食物をもちこむ。
大親家の近くにある、普通の民家。ジョカやフォライの住まうその家には、魔界から持ち込まれた大量の食べ物が保管されている。
ジョカもフォライも、それを食べてくらしている。
もちろん、朝昼晩と、一緒に食べている。食事の時間は決まっているので、何を話そうとかあらかじめ決めておくことができる。
なので食事中は、一番話をしやすい時間であった。
「あの、ジョカさん」
「何かしら」
お嫁さん一号、ジョカ。
彼女の核は、フォライの姉であるタナスよりもさらに大きい。
なのでフォライからすれば、はるかに目上の人だ。
如何に同じお嫁さんとはいえ、なかなか話しかけにくい。
だがそれでも話しかけるのだから、フォライにとって大事なことだった。
「三人目の方は……いつ頃いらっしゃるのですか?」
本当に、大事なことである。
後宮を作る、大勢の子供を作るという目的がある以上、三人目も四人目もいずれ訪れる。
後宮がどの程度の規模になるかはまだわからないが、二人で終わることはないのだ。
「そうねえ……友一様や桜様とも相談させていただくけど、我々側としては、長くとも一週間後には呼びたいところね」
「一週間……夜が七回来た後ということですか」
「だいたいそうね。あまり貴方を優遇しすぎるのも、よくないでしょう。それに……期限を設けた方が貴方も張りがあるんじゃ?」
「……頑張ります」
「その意気ね」
ニコニコと笑うジョカには余裕があるが、フォライには全く余裕がない。
(私には魅力が足りないんだから、他の子がいない間に頑張らなくちゃ!)
彼女の体形は、人間的に見れば魅力的である。
しかしながら魔族特有の四つの部位は、貧相を言わざるを得ない。
それは当然ながら、彼女の劣等感につながっている。
相手が純粋な人間なら、彼女の劣等感は空回りだろう。
だが明星は混血。人間として育った価値観がある一方で、魔族としての本能も備えている。
だからこそ、下半身が蛇であるジョカに対しても好意的なのだ。
つまり……今後の展開次第では一般的な魔族同様、フォライを魅力的に思わなくなっていく可能性はある。
「やる気を出すのはいいけれど、出し過ぎるのは良くないわよ」
そんな燃えているフォライへ、ジョカは釘を刺した。
たとえばの話である。
お嫁さんが五人いたとして、そのうちの一人が『誰が一番大事なの?!』と強く聞いてきたとする。
お婿さんはこう思うだろう。『うぜえな、こいつ』と。口にしたら問題だが、そう思われても仕方ないのだ。
「貴方のお姉さんがどうなったか、忘れているわけじゃないわよね? 自分のことだけを大事にしては駄目よ」
「……はい」
姉の例を出されると、フォライは何も言えない。
まさに先日、その被害を受けたところだった。
(まあ私も妹たちを全員殺すことになったのだけども……)
なお、言っている本人もかなり自傷している。
「とはいえ……歓迎するのも気色が悪いものね。私も不審がられたし……相手の迷惑にならない程度には、嫌そうにしてもいいんじゃないの?」
「そうでしょうか……」
「何でも話してって言っていたじゃないの」
「そうですけど……聞いてたんだ……」
ジョカの提案を聞いて、フォライは自分の方針を決めていた。
とりあえず話さなければ、何も進まない。
たとえそれで大人の思惑が変わらないとしても、相互理解は進むはずだった。
※
吉備、明星。
彼の学校はスマホが許可されているため、休み時間に操作することが許されていた。
現在彼は、そのスマホで検索を行っていた。
その内容は、星の見える公園、近所、未成年、であった。
(やっぱり近所の公園からだと、全然星見えなかったしなあ……どうせならスゲーのを一緒に見たいし……)
デートプランを考える、というのは楽しいものである。
年齢も近い女の子と一緒に、夜にちょっとした冒険をする。
(実に、いい……)
暴力沙汰を挟んだのは良くないと思うが、それでも最初の一回はまあまあ成功だった
尻が破れていなければ、もっとよかった。
(次こそは襲われなくて、尻が破れなくて、帰ってきてもからかわれない……そんなデートをして見せる!)
高いのか低いのかわからない志を抱いて、明星はスマホをいじっていた。
そしてそれを見ている、クラスの女子、あるいはほかの学年からも集まっている女子たち。
「ねえねえ、聞いた? 明星君、夜空の奇麗なスポットを検索してたよ!」
「へえ、明星君は星が好きなんだ……ロマンチック~~!」
「案外デートプランでも考えてるんじゃ……?」
「やだ~~! あの赤い目で見つめられたら、どうしよう~~!」
「他の男子から星空を見に行こうって言われても『はあ』だけど、明星君が相手なら喜んでだよね~~!」
ただしイケメンに限る、という言葉があるように、明星は何をやっても周囲から反応が大きい。
星空が綺麗な場所、というのをスマホで調べていても、それを意味深に捕えて騒いでしまうものだ。
まあ実際には、意味深もくそもなく、そのまんま『デートプランを考えている』が正解だ。
「……なあ安寿、フォライちゃんのことを周りに言わなくていいのか?」
「言っても面倒なだけでしょ。それに……何度も会ってたら覚えられちゃうらしいし……」
「便利なのかそうじゃないのか、よくわかんない設定だよな~~」
その事情を知っている双子は、やや冷ややかである。
なんだかんだ言って『馬鹿』ではない明星は、この騒ぎまくっている女子からの思いに応えることはないだろう、多分。
それを思うと、騒がしい彼女たちに対して、少しかわいそうに思ってしまうところもある。
「ねえ志夫……フォライちゃんって、いい子っぽいっていうか……まあ、悪い子ではなさそうな気がするでしょ」
「フワフワしてるなあ……まあ実際そうだと思うけどさ」
「何があったのか、明星が気に入ったみたいだし……」
「それは謎だよな」
血がつながらないだけで、明星の兄弟同然である双子は、明星に対して評価が低い。
世間の評価、つまり見た目ほどいい男ではないと思っている。
もちろんクズやら馬鹿と言われるほどではないが……いきなり好きになるほどではないと考えていた。
襲撃を華麗にやっつけた、ということを知らないため、自然なことなのだろう。
「なんとかして、フォライちゃん一人にできないかしらねえ……」
「無理だろ……」
「アンタね……考えるフリとかしないの?」
「いや、無理だろ。できるなら、向こうだってそうしてるだろ」
いわゆるハーレムをつくらず、明星とフォライだけの結婚をさせる。
日本人の倫理観にのっとった考えをしている安寿に、志夫は真面目に返事をする。
「っていうかさ~~……下手したら魔界がまた戦争になるんだろ? 幕府が一代で滅ぶようなもんで、そうなったら戦国時代にもどるじゃん。すげえ気分悪いぜ、絶対」
「その責任が、なんでフォライちゃんと明星に行くのよ」
「そりゃ、明星が『魔界統一皇帝になります』って言ったからだろ」
「……それはそうね」
一国を背負うと、安易に返事をした明星。
如何に相手が血縁の祖父とはいえ、安請け合いしてしまったものだ。
「俺は嫌だぜ、この問題に深く首を突っ込むの。お前だってやめとけよ、ろくなことにならねえって」
「それはそうだけどねえ……腹が立つのよねえ……」
「だからさ~~腹が立つとかその程度で首を突っ込んでさあ、ガチ対応されても困るだろ」
逃げ腰で半端な姿勢の志夫だが、言っていることは正しい。
基本下手にでている魔族だが、国家の存亡がかかっている以上何をしてもおかしくない。
むしろ下手に出ていること自体が、何でもするという証明だろう。
「そりゃあさ、俺だってお前の言いたいことはわかるぜ? 俺に彼女がいて、俺に『二股していい?』って言ってくるようなもんだろ」
「まあそのまんまね」
「俺は嫌だよ、っていうか大抵の奴は嫌だよ」
「そうでしょ、私もそう思うわ」
「でもガチ目の理由があったら、反対しにくい」
軽薄な返答だが、軽薄であることを自覚してのことだった。
「でもねえ……身内から二股とか三股がでるのはちょっと……」
「まあキツイよなあ……」
双子はそろって、明星を見る。
イケメンフィルターを通さずに見る明星は、とても幸せそうで、ふぬけていた。
「まあ注意はいいんじゃねえか?」
「……そうね」
彼女的な人ができたことを、無邪気に喜ぶ一般高校生。
このまま放っておいたら、フォライを含めて女の子を泣かせかねない。
双子は危機感に従って、今後の方針を決めたのだった。
※
学校が終わった後、明星は自宅に帰り、普通に片付けや勉強を始めた。
頭の出来がいいとは言えない明星だが、躾はきっちりされている。
勉強が苦手なのに勉強をまじめにやって、平均点をとっている。
宿題の類もちゃんとやっており、そういう真面目な生活習慣ができていた。
では真面目な動機で勉強しているのか、というとそうでもなかった。
これからフォライが自室に遊びに来るというのだ、後で幸せな気分に浸るためにも面倒ごとは終わらせたいのだろう。
(女子が俺の部屋に来る……俺のことを好きな女子が、俺の部屋に来る!)
これはもう、ワクワクせざるを得ない。
正常な男子の反応であり、とがめられるようなことではない。
むしろ自然なことだった。
(まあ隣は志夫の部屋だし、下には普通におばさんもいるけど……まあ常識の範疇ぐらいでは……)
完全防音というわけでもないので『一線』を越えることはまずないが、それはそれとしてテンションが上がる。
むしろ、『やべえ……やべえよ』というほどには上がらずに済む。適度なテンションで、明星はフォライを待っていた。(宿題を済ませながら)
「失礼します……」
そうこうしていると、ドアがノックされ部屋にフォライが入ってくる。
「どうぞどうぞ! 座布団あるからすわって……?」
てっきりフォライも同じような気持ちなのだと思っていたら、まったくそんなことはなかった。
かなり思いつめた顔で、部屋に入ってくる。
(なになに? ちょっと前まであんなにイイ感じだったのに……なんかあった?!)
明星は非常に困っていた。
一体何があったのかと、戸惑うほどである。
(あれからなんも起きてないぞ?! 正真正銘、なにも変化がないはずだ!)
自分の行動を省みても、彼女を悲しませるようなことはしていない。
そもそもほとんど時間が経過していないので、なにかが起きる余地がないのだ。
だがだからこそ、何が何だかわからない。
(なに、故郷で親御さんに不幸でもあったの? もう魔界に帰らないといけない理由でもできたの? ……早くね?)
一種不謹慎なことさえ考えつつ、明星は着席を促した。
(もしかして、座布団に座る文化が無いのか? 尻尾の形状とか大きさ的に、着席を促すのは失礼なのか……!?)
自分の落ち度を必死になって探す明星。
しかしながら、自分からは聴きにくかった。
そしてフォライは座布団に座った後、しばらく黙る。
痛々しい沈黙は、場を支配していた。
だが時間がないのは、フォライの方である。
彼女は勇気をもって、話を切り出した。
「その……ジョカ様から伺ったのですが……」
「え、ジョカさんから?」
「はい……三人目の方は、一週間後ほどにいらっしゃると」
「へえ……」
むむ、と明星は難しい顔をした。
それに対して、フォライは少し気を楽にする。
「うれしく、ありませんか?」
「正直……別にいいかなあって……本音を言ったら、来なくてもいいかなあって……」
そもそもの目的に対して著しく反するのだが、明星は『これ以上お嫁さんほしくない』と思っていた。
彼はフォライと関係を深めていくことが楽しみで、他のことに頭を回したくないのである。
「だってさあ……ほら、話にもきいたけどさ……場合によっては、お嫁さん同士とか子供同士とか孫同士で殺し合うんだろ?」
「そうなりましたね」
「……増えれば増えるほどそうなりそうで、怖いんだよなあ」
混血児である明星を皇太子、正式な後継者として決められている理由。
それは他の候補者が全員死んでいるからだ。他に一人もいないのだから、そうするしかないのである。
そしてそれは、明星本人からしても同じこと。
競合する相手がいないから、仕方なく請け負ったのだ。
候補の一人として後継者争いをしてくれ、と言われていたら絶対に受けなかっただろう。
とてもあたたかな大親家で育った明星には、親族同士の争いというものが嫌なのだ。
よってみだりに嫁や子供が増えることが、怖くて仕方ない。
「わ、私は、別の理由で嫌なのです……ジョカ様を除けば一番最初にここへ来ることを許された身で言うのもどうかと思いますが……もっと、明星様と二人っきりになる時間が欲しかったです」
「……そ、そうかあ」
思わず、明星の顔が緩んだ。
(実際になんか騒動が起きたらそれはそれで困るけども……俺と一緒に居たいって思ってる女の子はいいなあ……ジョカさんは大人だからなあ……)
ジョカは自分の立場もあって、あっさりと次のお嫁さんを連れてきた。
それはそれで面倒がないのだが、正直『この人俺のことが好きじゃないんだなあ』とがっかりしてしまった。
まあそれはそれでありがたいのだが、嬉しくない。
「ですが、それは私の我儘です。もしも私が無理を言えば……タナス姉さんのような人がわんさかと殺しに来るかもしれません」
「ありえるね、つうかそうなるね」
かもしれません、ではない。
絶対にそうなるだろう。
「それは、嫌です」
「そうだね」
二人とも、シンプルに同意する。
「タナス姉さんの言う通り、貴方がただの混血で、私がただの落ちこぼれなら……こんなことにはなりませんでした。ですが、もしもそうなら、出会うこともありませんでした」
「……たらればに意味はないか」
「それに……それはそれで大変なことは、私自身も知っています」
しがらみがない立場は、自由きまま。
そんな妄想とは、フォライは遠すぎる。
ただの混血と落ちこぼれのカップルなど、何もなくとも周囲から攻撃されるだろう。
「ですから……私は、そのことについては諦めます。ですがその……先日言われたように、気持ちを伝えたいです」
「フォライさん……」
「誰よりも一番とは言いませんし、新しく来る方とも仲良くします……ですが、不安なのです」
どうにもならないことだからこそ、支えを求める。
それが人情というものだ。
「はっきり答えてください。貴方は、私を見捨てませんか?」
「……うん」
これが少し大人の物語なら、二人はキスでもするのだろう。
だがこの二人に、それはまだ早すぎた。
ただ触れ合うだけにも臆病な二人には、手と手を重ねるだけで意味がある、価値がある。
二人が大事にしたい思い出が……。
「どか~~ん!」
破られた。
※
フォライを迎え入れた後の大親桜は、夕飯の支度をしていた。
育ち盛りの子供三人がいるのだから、食事の量が半端ではない。
特に明星は体が大きいため、安寿の倍は食べる。
夕食を作ると簡単に言っても、それはもう大変だ。
だが単純作業ではあるため、考え事をする余裕もある。
今彼女の心は、二階にいる子供たちだ。
特に心配なのは、親友から預かっている明星の、その交友関係だろう。
(刺激の強い話よねえ……)
桜もまだまだ若い。
年頃の男の子にとって、今回の話がどれだけ刺激的なのかよくわかる。
はっきり言って、人生観が狂っても不思議ではない話だ。
普通に考えて、保護者としては拒否するべき案件だった。
一応とはいえ許可したのは、相手側がこちらを尊重してきたからだ。
むしろ桜と友一を、保護者、教育者として頼っているふしさえある。
(明星はいい子だけど、変わらないように気を使わないとね……)
気を張らなくては、と思う。
大親桜にとって、明星も双子と同じ、大事な子供なのだから。
「し、失礼します!」
その彼女の考えを打ち破るように、大慌てでジョカが入ってきた。
大慌て過ぎて、家のドアを打ち破ったほどだ。
そのドアはだんだん修復されていくが、部屋の中に入ったジョカの表情は走ってきた疲労を濃く表している。
「桜様! お夕飯をしたくしている最中に、申し訳ありません! 実は火急の要件がありまして!」
普段は大人の余裕を見せているジョカだが、今はそんなものが一切ない。
それこそ妹たちの襲撃を受けた時よりも、さらに切羽詰まった顔をしている。
「ど、どうしたの?」
「一週間後に来る予定だった『三人目』が、勝手に人間界に来たあげく、この家へ向かっているとの情報が……!」
どかーん。
二階から、そんな破壊音がした。
それこそジョカが玄関を破壊したのと同じ、建物そのものへの攻撃であった。
「あ、ああ! ま、間に合わなかったわ!」
にょろにょろにょろにょろ。
ジョカは慌てた様子で、二階へ這いあがっていく。
それを見送る桜は……。
「あの人が一番大変ね……」
彼女がなぜこの仕事を志願したのか、わかったような気がした。
※
大親家の二階には、子供部屋が三つある。
志夫の部屋を中心として、その両隣に安寿と明星の部屋があるのだ。
よって志夫の部屋には、左右の部屋の音が入ってくることになる。
「アンタの部屋、汚いわよねえ……」
「うるせえな……いきなり来たお前が悪いだろ」
「普段からきれいにしておきなさいよね~~」
お世辞にも綺麗とはいえない、志夫の自室。
その壁に、双子は張り付いていた。
もしもの時は、突入して張り倒そう、という意気込みである。
その『もしも』が合意のない一方的な物であれば当然だが、合意があったとしても踏み込む覚悟であった。
志夫もそのもしもに興味がないわけではないが、さすがに不味いということで安寿に協力するつもりである。
(……入りたいような、入りたくないような)
(見たくないわねえ……)
その一方で……一緒に育ってきた明星の『戦闘態勢』を見たくない、という気持ちもあった。
何事もなければ、それが一番。そう思っていた双子だが……。
『どか~~ん!』
『どか~~ん!』
時間差で家を揺るがす、二つの着弾音。
それを聞いて動転した二人は、部屋を飛び出して隣へ向かう。
「あ、ジョカさん!」
「どうしたんですか?!」
「こ、この家に、勝手に三人目が……!」
明星の部屋の前に、ジョカと安寿と志夫が並ぶ。
乱暴に部屋のドアを開けると、そこには……。
「オレ、ナベル!」
呆然としている明星の上にまたがる、魔族の少女が一人。
犬歯のような象牙質の角と、烏のような翼と尻尾。そしてタナスと変わらない大きさの、石炭のような質感の核。
ナベルと名乗った少女は、戸惑う全員を置き去りにして、元気溌剌に笑っていた。
「お前が明星? オレの旦那さん?」
「……みょ、明星ではあるかな?」
子供みたいな容姿の彼女は、子供のように笑っていた。
「じゃあ子供つくろっか!」
「は?」
その姿を見て、一緒にいたフォライは……。
「い、いやああああ!」
現実を受け入れかねて、絶叫していた。