劣化コピー
アモンの一族と、吉備家の裏切り者たち。
彼らは一族の中でも抜きんでた力を持つ冠者に信頼を置き、彼へ未来を託していた。よって第一世代たちは、冠者をコミュニティの長に置いた。
それを彼がどう受け止めたのかはわからないが、はっきりしているのは彼が圧政を敷いたということだ。
狭いコミュニティの中で、彼は暴君としてふるまった。
それにどの程度の必要性があったのかはわからないが、誰もが苦しんでいたことは事実である。
その彼が死んだことで、ほぼ全員が喜んだことは事実だ。
そして彼の娘であり、第三世代の中では一番強いオンラは、父の座を受け継いだものの、政治方針や社会体制は大きく変える方針をとっていた。
もちろん、大抵の者は喜んだ。
どんなやり方が最善かはわからないが、とりあえず今までが間違っていたのことは事実。
今までのやり方を踏襲しないというだけで、彼女の方針に賛成を示していた。
だが、ごく一部、つまりタケマルとその一派はその限りではなかった。
彼らは冠者を呪いつつ、しかし彼の『立ち位置』を狙ってもいた。
彼らが望むのは、冠者政権の再現。自分たちが圧政者になる、という野心であった。
そんなことは、誰もが分かっている。
しかしながらコミュニティにいる混血達は、基本的に弱者だ。
もちろん兵隊としての能力は備えているが、政治的な活動や発言は嫌がっている。
まあ彼らにそれだけの主体性があれば、冠者を自力で何とかしていたはずなので、自然と言えば自然だった。
そして……オンラ自らが動いているので、彼女が何とかしてくれるだろう、とも思っている。
それはタケマルもわかっているのだ。
つまり、オンラさえ倒してしまえば、もう逆らう者はいなくなる。
コレについては、ほぼ確定だった。
(うまくすれば、吉備の本家も乗っ取れる……!)
吉備タケマル。
彼は正しく冠者の『ミーム』を受け継いだ男であり、オンラ以上の後継者であった。
その彼がこのコミュニティを乗っ取れば、未来は暗いものになるだろう。
それを察した(まあ見ればわかるのだが)ジョカは、明星とオンラに耳打ちをした。
「オンラさん、明星様、お耳を拝借……」
「いや、なんで俺が……」
「そうだよ、悪いって」
にょろにょろとした彼女が、二人を引き寄せて話を始める。
それに対して、他の面々も説明を求めて近寄り始めた。
「ねえねえ! 何の話? オレにも聞かせて?」
「ナベルさん、貴女だけはどっか行ってなさい」
なお、ナベルは真っ先に尻尾で隔離された。
「すみません、なんのお話ですか?」
「あの……鯉さん、その体を明星様に押し付けないでください!」
「ジョカさん、どうしたんですか?」
「おいおい、明星が戦うのかよ」
「あらあら、何の話かしら」
「ここで横入とか、盛り上がるわね!」
明星と志夫以外のほとんどが女子という、なかなか凄まじい密談が始まった。
それもかなり堂々としており、なにやら相談していることが明らかである。
「タケマルよ……明星って奴の『女』たち……なかなかいいのがそろってますねえ」
「うまくすりゃあ、アレも俺たちのもんですよね?」
「回してくださいよ、ボス!」
「ふん……まあ最初は俺だけどな!」
そして……混血のコミュニティにいる者たちの基本的な性的嗜好は、それこそ明星と同じである。
人間も魔族も混血も、異性として認識している。
明らかに人間離れしているジョカでさえ、彼らの中ではノーマルだった。
とはいえ、好みの異性に対する考え方、接し方については文化や個人の思想に依るところが大きかった。
なんとも色気のある集団を見て、彼らは舌なめずりをする。
なにせ彼らは冠者をなぞるつもりなのだ、その権利があると信じて疑わない。
「……たしかにそうなりそうだね、じゃあ頼むよ」
「ああ、わかった」
そんな彼らをよそに話し合いは終わった。
オンラは明星へ出番を譲り、一歩下がる。
それに代わって、明星は前に出た。
「お前らの相手は、俺だ」
「はあ? なんで他所者のお前が俺の相手をするんだよ、意味わからねえ」
明星が戦うと言ったことに、タケマルはなんともごもっともな返事をする。
確かにこのコミュニティの覇権争いに、明星は全く関係ない。タケマルには、なんのメリットもない。
「へえ、怖いんだ~~」
そんな状況に、何も聞いていないナベルがあおりを入れた。
いや、天然だった。バカだった。
だがしかし、明星の仲間たちは彼女を放置した。実にいい仕事である。
「ああ?! 怖いわけねえだろうが! そいつはオンラに負けたんだろ? それなら冠者に勝ったのも偶然か何かだ、俺が怖がるわけがねえ!」
「ええ? でもさ、だったら失せろとかいってぶっ飛ばすもんじゃないの? なんで『戦う理由が分からない』なんてこと言うの?」
「~~!」
実にあおっていくスタイル。
ナベルのなんでなんで攻撃は、チンピラの価値観にはクリティカルだった。
大人なら実利のないことはしないが、チンピラは煽り耐性が低いのである。
「そういうことだ……それに、オンラは俺と戦って勝った。冠者を殺した、この俺を相手にな。お前はどうなんだ? 冠者に挑んだわけでもなく、冠者が死んだ後で粋がってるだけじゃないか?」
それにのっかる形で、明星も煽る。
「まあそのなんだ……言いにくいけどよ……格好悪いぞぉ? 一人が怖いなら、全員で来てもいいぞ」
「はあ?! オンラに瞬殺されたくせに、粋がってるんじゃねえよ! 吐いたツバは飲めねぇんだぞ!」
実際のところ、タケマルやその仲間達は明星を侮っていた。
彼らの父祖であるアモンを追い散らした皇帝の孫であり、絶対的な強者として『ハーレム』の頂点に君臨していた冠者を倒したのだから、それはもう恐れていた。
しかしながらオンラの奇襲によって瞬殺されたのだから、奇襲には弱いとわかった。
オンラにできたのだから、自分にできないわけがない。
「もういいじゃないですか、タケマルさん……やっちまいましょうよ」
「みせしめって奴ですよ……ほら、袋叩きにして、俺たちに逆らったらどうなるのか教えましょうよ……」
「そうすりゃあ、後のことも滞りがないってもんで……」
「そうだな……!」
奇襲の技は、彼らも使える。
拳銃などの隠し武器も、懐や袖に忍ばせている。
明星の不意を突く技など、いくらでも憶えている。
(わかってるなお前ら、いざとなれば……)
(うす、戦う気のない奴らを人質に……ねえ?)
そして、この場には志夫と安寿がいる。
混血でも魔族でもない、傷を負えばそうそう治らない普通の人間がいる。
もしもこの二人が人質に取られれば、明星は白旗を上げざるを得ない。
それこそ、冠者が皷を人質に取った時とは違う。
家族のためなら、明星は靴だって舐めるだろう。
「よし、それじゃあ……お望み通り……」
ここでタケマルたちはモーションに入った。
何気ない所作をしつつ、しかし銃を抜く予備動作に入ったのである。
試合開始と同時に、銃を撃つつもりだった。
「父さん、母さん!」
だがしかし、明星は試合開始を待たなかった。
合意を最後まで聞かずに、魔族としての肉体へと転じ、吉備としての真金の利器を抜いたのである。
「うおおおおお!」
父から受け継いだ魔界統一皇帝の肉体と、母から受け継いだ『大量・神度』。
何もかも巨大で異様な姿に、混血のコミュニティは慄いた。
なまじ自分たちと同じ『吉備と魔族の混血』だからこそ……まったく同じ基準で比較できてしまえるからこそ、その差に驚愕したのだ。
「……こ、こんなにすごかったんだ」
先日奇襲で彼を制したオンラは、冷や汗をかきつつ生唾を呑んだ。
改めて、とんでもない相手にケンカを吹っ掛けたものである。
「……本当に、ルキフェルさんと同じ格好だね」
「ああ……マジで混血だったんだな……」
明星の魔族としての姿を初めて見た双子は、今まで一緒に生活してきた家族が変身したことに驚いている。
「アレが真金の利器……人間が魔族を殺すための武器ですか……皮肉ですが、魔界統一皇帝たる明星様に、ふさわしい武器ですね……」
「あんな大きなものを手で持てるなんて……」
「すげ~~!」
明星の後宮に入っている婚約者たちもまた、真金の利器の雄々しさに震えていた。
「昼間で見ると、また違うわね……」
「変身バンクが入るところね……きっと作画にも気合が……」
「……恰好いい」
白日の下で明星を見た吉備家の面々も、改めて雄姿に感動している。
とはいえ、それは観客たちの所感である。
対戦相手たちは、それどころではない。
「お、おい! なんでいきなり変身しているんだよ!」
「そ、そうだ! 勝負が始まるまで待てよ! 勝負が始まってから変身しろよ!」
明星が強いことは聞いていたので、それ自体は驚かない(実物を見てビビッてはいる)。
だがいきなり変身されたことには、驚くどころではない。
とても、困っている。
「なんでだ? お前らだって魔族の姿だろう?」
「それはまあ……でもなあ! こう、話のスジ的に……」
「銃やらなにやらで奇襲できなくなるからか?」
「……!」
奇襲には様々なパターンがあるが、正面からの奇襲とはこれすなわち『戦闘態勢に入る前に叩く』に尽きる。
状況に応じて様々なパターンがあるのだが、相手が戦闘態勢に入ったらできることはほぼない。
「あのなあ……これは桃次郎さんが言っていたことだが、背中をとれば奇襲は成功。実際桃次郎さんも、冠者もオンラも……不意を突いて奇襲を成功させていた」
平時の明星がそうした奇襲に対応できるかと言えば、まあ微妙なところだ。
だからさっさと戦闘態勢に入る、なんとも合理的である。
「でもまあ、それが簡単にできれば世話はないよな」
「……!」
明星の姿を見れば、冠者でさえ怖気づく。
ましてその冠者に反抗もできなかったタケマル達は、見ただけで心が折れていた。
なるほど、こんな魔族がいたなら逃げるしかない。
戦っても勝ち目なんてない。
(おい、なんとか場をつなげ! その間にあっちの奴らを人質にとるんだ!)
(そ、そうですね! もうそうするしかない!)
「防護結界を展開しました、これで銃弾の類は防げます!」
戦うことを諦めていたら、観客たちは自分たちを保護していた。
絵に描いたようなバリアが、鯉によって展開されたのだ。
「私の術では、真金の利器とかは防げないかもしれませんが……」
「そっちは私が対処するよ、気にしないで」
そして万全を期するために、奇襲に対応できるオンラが外に立っていた。
その布陣を見て、タケマルたちは慄く。
もうすでに先手を打たれている、これでは奇襲が成功する余地はない。
「ま、待て!」
「なんだよ」
「えっとな、えっとな……そうだ、俺はまだ、お前と戦うなんて言ってないぞ!」
明星はややフライング気味に変身した。
その結果奇襲を免れたが、つけ入る余地を与えてしまった。
「やっぱりお前と戦うのはナシだ! 俺はオンラと戦う!」
「そ、そうだ! お前と戦う意味なんてないんだからな!」
「余所者が口出しするな! 引っ込んでろ!」
なんとしても戦うことを避けたい。
タケマル達は、恥ずかしげもなく抗議する。
「そうか……それなら俺がお前たちを一方的に襲うだけだ」
「は、はあ?!」
「お前たちだって、最初はオンラにそうするつもりだったんだろう? ならいいじゃないか、それぐらい」
「いや、よくない! 絶対に良くない!」
自分たちが得をする分にはいいが、自分たちが損をすることは受け入れられない。
タケマル達は、必死で首を左右に振る。
「まあ確かに、相手の合意を得ずに襲い掛かるのは良くないよな」
「そ、そうだろう! そんなことしてみろ、オンラは許しても、『みんな』が許さないぞ!」
ここは、タケマル達のホームである。
明星からすれば、アウェーに他ならない。
であれば、人間関係で言えばタケマルが有利なはずだった。
余所者が仲間を襲うのだから、批難をするはずだった。
「お、おい! お前ら! こいつを追い出そうぜ!」
「オンラが連れて来たんだ! オンラも一緒に追い出せ!」
「俺たちだけでやっていこうぜ、なあ!」
タケマル達は、それを期待して周囲へ呼びかける。
だがしかし、何の反応もない。
先ほどまでと同じで、政治的な主張をしたくない様子だった。
いや、少し違うところがある。それは、期待の目だ。
このコミュニティの面々は、タケマル達が倒されることを期待している。
「お前たちと楽しく付き合っている奴がいれば、お前たちを助けようとしただろう」
悲しいかな、ここには善人も真面目な人も優しい奴もいない。
そして、タケマルを仲間だと思っている人もいない。
「それがないってことは……お前たちは、誰とも仲良くできなかったってことだ!」
この町のみんなは、タケマルをぶちのめしたいとは思っていない。
でもまあ、誰かにぶちのめされてくれないかな~~とは思っていた。
それはまあ、タケマルの素行が悪いからである。
素行は大事である。
「いくぞおお!」
そして明星は、猛々しく大量・神度を掲げて襲い掛かった。
こう言っては何だが、今の明星はラスボスみたいなもんである。
それこそ伝説の勇者でも引っ張ってこないと、勝てるものではない。
ちなみに、桃次郎やルキフェルは裏ボス。
「タケマルさん?! どうするんだ?!」
「アンタがいいだしっぺだろ?! 何とかしろよ!」
「おい、俺殺されるのか?! 嫌だぞ?!」
「……も、もうやるしかねえ! ここで退いてみろ、俺たちは笑いもんだぞ!」
奇襲で楽勝だと思っていたら、ラスボス戦に突入してしまった雑魚たち。
奇襲で失敗したパターンを想定していなかっただけに、士気は著しく乱れていた。
「だりゃあああああ!」
「ひっ……で、でろ、星熊!」
タケマルの部下の一人に、明星は切りかかった。
巨大な剣を振りかぶってくる相手に対して、彼は自らの真金の利器を構える。
それは大きめの鉈だった。普通の刀よりも無骨だが、それでもその分頑丈そうである。
「ふん!」
星熊という名前の鉈は、あっさりと両断された。
明星の大剣は、そのまま彼の首を切り裂いて、ポンポンと転がっていく。
なまじ相手が同じ混血だからこそ、明星は遠慮なく、容赦なく斬りかかることができていた。
「あ、ああ……出ろ、金虎!」
それを見た他の部下は、鎖付きの鉄球を取り出した。
勢いよく振り回した後で、明星の胸に向かってぶん投げる。
「お、俺も! 出ろ、山姥!」
もう一人の部下も、山姥の名前を持つ斧を振りかぶって明星の頭に切りかかった。
ひたすら稚拙だが、二人の同時攻撃である。
明星の持つ大剣は確かに強いが、一度に防げるのは片方だけだろう。
さて、彼はどうするのか。
「ふん!」
振り回された鉄球を、右手でつかんだ。
「ぬん!」
降り降ろされてきた斧を、左手で受け止めていた。
「え?! あ、ああ?!」
「お、おい! え、ええ?!」
普通の人間同士の攻防でもおかしいことだったが、混血同士の戦いでもなおおかしかった。
ともに重量のある武器だったにもかかわらず、素手であっさりと受け止められて、しかも出血さえしていなかった。
「おりゃあああ!」
明星は鉄球をぶつけてきた相手へ投げ返し、さらに斧の刃がめり込んでいる腕をぶん回してもう一人を吹き飛ばしていた。
「おぐ!」
「あ、あが!」
絶叫とともに、二人は頭部を潰されていた。
一応攻撃して一応攻撃が当たったのに、明星へ傷を負わせることもできていない。
「お、おおおおああああああ!」
だがしかし、動きを止めることはできていた。
いやさ、タケマルが銃を抜いて、構えるまでも時間は稼げていた。
彼は袖に隠せる小ぶりな銃を構えて、明星に向けていた。
小ぶりな銃であるにも関わらず、しっかりと両手で握っていたが、それでも全身が震えているので狙いが定まっていない。
「あ、あああああ!」
仲間がゴミのように薙ぎ払われていく姿を見て、タケマルは恐慌に陥っていた。
この銃弾が明星の急所を捉えなければ、自分は殺される。
そう思えば思うほど、彼の体は震えていく。
「ん」
それに対して、明星は無慈悲だった。
彼はあろうことか、自分の大剣を盾替わりしにして、自分の胸を守ったのである。
明星の核は巨大だが、大剣はそれを隠せるほどに幅がある。
これでもう、タケマルの銃は何の意味もなくなった。
「あ、ああああああ、ああああああ!」
なくなったとわかったうえで、引き金を引くしなかった。
ぱんぱんと、か細い銃声が出た。
それは虚しくも明星に当たらず、適当な物に当たっていた。
悲しいかな、隠せるタイプの銃は命中率も弾の数も威力も少ない。
奇襲が失敗した時点で、強みのほとんどが消えている。
まして相手が防御しているのなら、本当に無駄であった。
「ここの人たちはお前と仲良くできなかったみたいだが……」
「ひ……ま、待ってくれ! お、俺が悪かった! 俺が悪かった! 謝る、謝るから!」
そして、命乞い。
これはまったく、無駄であった。
「謝るから! 殴らないでくれ! 斬らないでくれ!」
「俺も、アンタとは仲良くできそうにないな!」
剣を横にして、平たい面で顔を叩く。
それは彼を殺さないまでも……物理的な意味で、面目を丸つぶれにしていた。
「……冠者は最低だったけども、強かったんだな。あいつに比べたら、こいつら雑魚過ぎるぞ」
戦いに勝利した明星は、自分の体に傷が無いことを確認して呆れた。
冠者と戦ったときは、かなりの傷を負った。角からの閃光で足や顔を焼かれたし。真金の利器鬼ノ城の打ち込みで腕がへし折られもした。大量・神度の打ち込みもそれで防がれた。
それに対して今回は、無力な子供と戦っているようなものだった。相手の刃はこちらに刺さらず、こちらの攻撃を防ぐ術をもたない。
こんなの、勝って当然である。
「……親父は、アンタとそこそこ戦えたんだ。改めて、ちょっと尊敬するよ」
その一方で、オンラはその強さに震える。
技量だとか経験だとか才能だとか以前に、生物としての基本的な能力値が段違いすぎる。
「ていうか、親父や婆さんたちの計画通りなら、私たちはアンタみたいなやつと戦わされてたんだね……やってられないよ」
これが敵でなくてよかった、と安堵するしかない。
「明星……ぱねえ……チートだろ、こんなの……あのお爺さんが調子に乗るわけだ……」
「あんなのがたくさんいたら、そりゃあ魔界統一できるわよね……」
双子もまた、ルキフェルが傲慢になっていた理由を理解する。
自分がアレより強くて、息子や孫も同じようなものなら、世界は俺を中心に回っていると勘違いするはずだ。
「それにしてもあれよね、あの明星君より、ウチの桃次郎様は強かったのよね」
「ロマンがあるわよね! 老いてなお盛んって!」
「……そういう問題じゃないと思う」
なお、同じぐらい強いであろう人間もいた模様。