鳥かご生活は猫かぶりでぐうたら生活
部屋に運ばれた後、1日に何度か司教や司祭がきてしばらく話しかけられる生活が続いた。
要は、私にとっては言語習得の時間であり、この世界のことを知る勉強時間でもあった。
愛玩人形は自動言語習得スキルがあるかないか。まず、それによって分けられる。初っ端なからルートが分かれるってことで、どうやら初期に習得してない愛玩人形は低価格商品。実質ペットや奴隷扱い。
で、自動言語習得スキル持ちは司教や司祭達の話を聞きながらまずは言語を習得して、持っているスキルによって商品としてのランク分けがされる。で、私はその中でも初めから服を着ていたことやマナーが出来てることで高ランク商品扱いだったっけわけ。今までは獣人の様な見た目やエルフなどが多く私が何か分からなかったのもあるみたい。
低ランクな愛玩人形はペットや奴隷。言語習得は自力で覚えるか、購入後にご主人様から教わらない限り言葉は話せないってわけ。まぁ、言葉が通じないが正しいかな。言葉が通じないので魔法スキルがあってもそれを指示してつかえるようになるまで育成時間がかかるので低ランク商品扱い。低ランクでも性格やスキルで価格は分かれて銀貨スタート。
高ランク商品は貴族相手や高ランク冒険者など大金が払える人向けの商品で、スキルによって価格も分かれるが金貨スタート。《アイテムボックス》や《空間魔法》や《異空間収納》などは商人にも人気らしい。
ここまで話をされた段階で愛玩人形が何か分かったよね。そう、奴隷~サポートまで何でもこいの育成キャラなポジション!!!しかも、鳥かごから出た後はご主人様の指示で人形サイズまで大きさも変わるので性奴隷にもなる最悪なパターンもあるし、せっかくのスキルも契約によっては指示なしでは使えないようにも出来てご主人様には逆らえないようにも可能。しかも、鳥かごサイズは手のり妖精サイズなので場所もとらないし、食費もかからない。1日一度ご主人様からの魔力供給で生きていけるし、無くても死にはしない。まぁ、スリープモードみたいに寝てることが増える動かない人形扱い。逆に高ランク商品はマナーも学んで貴族の嫁入りしたパターンもあるほど。転生時の初期スキルでかなりルートがわかれるよね。マナーも転生時に貴族令嬢であればある程度できるからそれを狙う愛玩人形もいるみたい。
愛玩人形の購入金で孤児院の運営から教会の運営費などに回るシステムで愛玩人形は女神からの贈り物で魔法を使う為の道具ってわけ。お金がどうなってるかなんて鳥かごの私には真実は分かんないけどね。絶対横領とかあるとこはあるし。
「でして、貴女様は高ランク愛玩人形の中でも最高級愛玩人形とさせていただきましたがよろしいでしょうか?」
にこやかに告げるのは初めの部屋で会った《司教》とあったアイザック。名前も教えてもらったからね。今では「アイザック様」と呼ぶようになったほどだ。そんなアイザックをちらりとみて、私は目の前の紅茶を一口飲む。
「いいですわ。アイザック様がそう判断したのでしょ?但し、出来れば、旅もしたいしスキルも使いたいの。せっかくの最後の人生ですから楽しみたいですわ。」
鳥かごの中には創造魔法で生み出した机や椅子。ティーセットまであり、優雅に紅茶を飲むのは愛玩人形の私。アイザックにもいつしかテーブルと椅子が用意され、共にお茶を飲む茶飲み友達と化してる。商品と説明されたが、アイザックは私を商品のようには扱わないし、お互いに情報交換をする中だもん。アイザックにはスキルについて話しはしてないが私ができる魔法は披露しているから喋らなくてもある程度判断できてるみたいだし。
どうやら、貴族令嬢としての作法ができるほど高額と判断され、更に魔法を使えると価値があがる。今では《自動言語習得》もレベル5で普通に会話が成り立つ。かなりの成長具合に自分でもビックリした。
「旅…ですか?貴女様なら貴族の仲間入りも可能かとおもわれますが…」
「ふふ、折角の鳥かごからでて、また鳥かごに戻るなんていやですわ。出来れば、高ランク冒険者や商人に買われて旅をしたいです。世界を…みて回りたいわ。」
「貴女様は変わってますね。貴女様の様なスキル持ちは優遇されますし、貴女様の価値を理解する者なら必ず大切にしますのですが。旅ですか…それでしたら、私が良い方を知っていますので紹介してもよろしいでしょうか?」
チラリとをみてフワリと笑みを洩らし頷くとアイザックはいつものように別れの挨拶をして部屋を出ていった。何気にかなり仲良くなったとおもう。一緒にお茶を飲むし、何となく初めの頃よりアイザックもリラックスして帰っていくしね。転生一週間あたりからは毎回アイザックが私を対応してる。たまに司祭も連れているけどリラックスしたい時には毎回居ないし、1日一回ではなく二回、三回とお茶しにくるときもあるからね。1ヶ月以上はこの部屋にいると思うけどな~…アイザック…実は暇人?いや、それはないかな…たぶん。
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アイザック・ユーグリド
《大司教》ユーグリド王国王弟
側室産まれの第2王子。優しい性格だが怒らすと怖い。ブラコン。甘党。
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「…鑑定スキルもレベルあげなきゃかな~。見えるのは鑑定しまくってあげてるけどさ。まさか《司教》が《大司教》で、実はこの国ユーグリド王国の王弟なのもびっくりだけどさ。レベルによって情報が変わるし。ステータスって普通体力量や魔力量が定番だよね?この世界にはそういうステータスってないのかな?まず、ブラコンや甘党とかいる情報かな???しかも、名前の役職と違って回数鑑定しなきゃ表示されないって。まぁ、駄女神の世界だし鑑定魔法はポンコツ使用なのかな???でも、創造魔法は便利だし~…ん~…」
被っていた猫を捨て、パチリと指をならしてティーセットを消し、もう一度パチリと指をならして現れたベッドへダイブ。ゴロゴロと転がりながら自分も鑑定。
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《愛玩人形》名無し
《自動言語習得》レベル5
《鑑定魔法》レベル4
《創造魔法》レベル5
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「名無しって…今までの記憶はあるのに名前だけはどの人生のも思い出せないからそれもあるのかな?はぁ、アイザックとたまに話に来る司祭としか話せないし、鑑定できるものは鑑定しつくしたし鳥かご飽きたな~。まぁ、同じのでも鑑定すればする程レベルあがるから楽だけど…。窓からは木と空…たまーに小鳥。せっかく本があっても開いてもらわなきゃ中までは見えないし、鳥かごの外へ魔法は使えない。ご主人様は購入者で私は商品。はぁぁぁぁ…いい人に買われるといいけど……。王弟紹介ならセーフかな?怒らせない限り優しいみたいだしセーフ…だよね?何気にアイザックと普通に仲良くなったと思うし…アイザックのお兄ちゃんや弟たちの自慢話も聞くぐらい仲良しなら安心だよ…ね?」
枕を抱き抱えながら窓の外をみて、鳥かごの柵が嫌でも目に入り深いため息をつくのであった。
銅貨=百円
大銅貨=千円
銀貨=一万円=銅貨100枚
大銀貨=十万円
金貨=百万円=銀貨100枚
大金貨=一千万円
白金貨=一億円=金貨100枚
かな?たぶん(笑)
ついでにアイザックは金色の長い髪に青い瞳のスラリとした美しい男性です(*つ▽`)っ見た目は20代後半にみえますが…童顔なキャラです。