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普通すぎるほどに異常な生徒たち  作者: 天野るみ
第一章 壊れていく
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プロローグ

      





 きっと、あの場にいた██人全員が、()()()()の最後を悔やんでいるだろう。けれど、起きてしまった出来事自体については、後悔のしようがないと思う。…………いや、それは、██を止められなかったことに対しての、ただの言い訳かもしれない。──それでも、あの事件が起こったのは恐らく必然であったのだと、今なら言える。



 何故なら、我々二十五人が出会ってしまったその時点で、既に歯車は動き出していたのだから。













【時雨てまり】



 もし、“超能力”が使えるならどんな力が欲しい? 人の心を読む? 透明人間になる? それとも──時間を操る?




 突然だが、私は“超能力”というものを持っている。どんな能力かというと、皆一度は欲しいと願ったことがあるであろう()()を操作するという力だ。

 羨ましい?……まあ確かに便利かもしれないが、超能力を持っているせいで逆に色々と苦労をしてきた。


 私は超能力が使えることは直接明かしてはいなかったが、それでも私が他と違うということは傍から見ても顕著であった。

 小学校、中学校とどこに行っても何年経っても、“あの子は自分たちとは違う”という認識は常に周りの人々にはあったのだろう。

 そして人間というのは不思議な事に周りと同じであることを好む──という表現が合っているかは分からないがとにかくそういう考えがあるため、“自分たちと異なる”存在を妬み(そね)むのは昔からよくあることだ。と言っても私は早くから自身の持っている特殊な力とそれによる立場を理解したため自ら孤立しにいったわけだが。

 いずれにせよ他人の噂や陰口など陰でものを言うことしかできないような人間には心底呆れているので、そんなことは別に気にも留めていない。

 話が脱線したが、要するにまあ私は時間を自由自在に操れる力を持っている、ただそれだけの話だ。


 それから言い忘れていたが私の能力は時間操作だけでなく私自身も時空を移動できる。タイムトラベルとかいうやつである。


 ちなみに私・時雨(しぐれ)てまりは今まで通りごく普通の学校に通っている。ではそこでも私は独りなのか?──と言えば、そうではない。高校に上がって以前と変化したこと。それは私に、“友達”というものができたことだろう。そう、もう独りでは無くなったのだ。そして私の超能力も隠していない──いや、()()()()()()()と言った方が正しいと言えるか。


 隠す必要が無くなった、つまり()()()()()()()()()()なのである。


 こんな奇跡はそうそう起こり得ないのは確かだが……実際、今もこの“クラスメート全員超能力者”、というなんとも言えないファンタジックな環境にいるわけで。いやそもそも“超能力”自体がファンタジーというかSF……だから今更なのだが。でもってなんとそのクラスメート(超能力者)達の能力が“()()()()”という。


 そして現在、先程も言ったがその妙な空間の中に当然私もいる。この高校に入学して一年と半年が過ぎようとしている今となっては、我々当人たちからしたら最早違和感も何もない。私たちのクラスに「クラス替え」というものは無いため、すっかり慣れきってしまった。






「おはよー」

 と、そうこう色々と振り返っている内に、つい今しがた教室に入ってきたやたら清純で美白な黒髪美少女に声をかけられる。

 とりあえずおはようと言われたので普通に笑顔でおはようと返す。普通の女子高生の普通の一日の学校生活の始まり方だ。

 続いて、ショートカットヘアの量産型スポーティガールが窓際から走ってきてその美少女に抱きつくや否や、無駄にハキハキとしたよく通る声で「おはよう!!!!」と、私と美少女にびっくりマークが四つぐらいついてそうな朝の挨拶をする。



 そして無論、この二人も異能を持つ。美少女の方は清水(しみず)雪南(ゆきな)。ショート頭は小日向(こひなた)遥陽(はるひ)

 雪南は〈水・氷・雪を体から出すことができ、且つそれらを自由に操れる〉。基本的に私達は“氷結(ひょうけつ)”と呼んでいるが、水を操作するのは“アクアキネシス”とも言ったりするらしい。

 遥陽は言うなればその逆。雪南の能力とは反対に〈炎を操り〉、雪南同様体から出すことが可能。いわば“パイロキネシス”とかいうものである。




 私たちは一般的な学校に存在する異質なクラス・二年E組に通っている。


 何度も言っている通り、学校(ここ)はごく普通の高等学校だ。なので当然、普通の生徒(一般人)もいる。そして他の生徒らは我々2-Eの()()()姿()を知らない。勿論教師も。だから隠している。私たちは隠すことには慣れている。だから、その点については特に問題は無い(時々危うくなることもあるけれど)。


 それに、今は自分一人だけではなく、仲間がちゃんといる。お互いがお互いの事を理解し合える仲間が。

 みんなさえいれば、他に何もいらない。

 私たち二年E組は、()()だ。




 ──さて、また少しズレてしまったが、何にしてもまあそこそこ平凡な日々を送っていた。………けれど、そんな日常がゆっくりと壊れ始めていっているなんてことは、この時はまだ知らなかった。






不定期ですがよろしくお願い致します。

後書きには(毎回ではありませんが)能力の詳細等を載せさせていただきます。

少しでも気に入って頂けるよう頑張ります。

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