プロローグ
一話3~4000文字ほどでまったり書き進めていく予定です。
別の作品との同時執筆となるため、場合によっては投稿スピードの遅滞も予想されますが、それでもという方は、何卒ご愛顧いただければ幸いです。
自分の「生」に価値を見出せなくなったのは、一体いつからだっただろうか。
何事を成すこともできず、誰かに必要とされることもなく、誰かを護ることもできない、無意味な存在。そう思うようになったのは、何故だっただろうか。
日々を無為に生きるための労働に従事し、壊れた機械のごとく、同じ日常をただ繰り返す。消えることが最良とわかっていながら、死に恐怖し、日常を懸命に生きる人々の真似事しかできない自分に、果たして存在する意味は、価値は、あるのだろうか?
いつか、誰かに言われた、「自分たちの分も幸せになれ」という言葉。
どこかで、誰かに言われた、「お前には幸福を享受する権利がある」という言葉。
彼らの言葉を、否定するつもりはない。そうすれば、俺は彼らの思いを、願いを、踏みにじることになるんだ。
幸せというものがどういうものかなんて、とうに忘れてしまった。でも俺は、言葉を、祝福を託してくれた人たちの思いを、無駄にしてはいけない。
だから俺は、今日を、今を生きて。
そうして俺は、いつかの未来で、「幸せ」を知ることになったのだ。
◇
この物語は、1人の少年の、英雄譚でもなんでもない、日々を綴った物語。
空虚な瞳が、未知なる世界を映し、鮮やかに色づくまでを記した、幸せの物語。